ケイウーディー 7366 Thorn 1930年代 オペラパイプ

 オペラ鑑賞中、休憩時間にショートスモークをきめる、その時ポケットに入れやす
い様、変形したボウルのものをオペラパイプ、と言う。 だがそれはウソだ。 
ポケットに入れるなら灰が飛び散らないためにウィンドキャップが必要であり、こんな
形状ではウィンドキャップはつけられないだろう。

 普段より少しお洒落をして出かける夜会には、パイプもちょっと気の利いたもので
御夫人方の興味を惹きたい。パーティー会場で大きなパイプをふかすなどは無粋でも
あろう。

 ダンヒルにはタキシードに似合う夜会用パイプ、漆黒で銀巻きのDressシリーズがある。
それはおしなべて小さい、誠に洒落たパイプである。 このケイウーディーを見ていて
それを思い出した。デザインは1960年代と言っても良いほどモダンで、
サンドブラストなのに表面にはツヤがある。シンクロステムのアルミのシールドが
ポイントになって凛とした表情。 まさに正装パーティー向けである。 

 ボウルとマウスピースの接合部も複雑な曲面なのに完璧な連続性、くだらない作家
系のパイプよりよほど難易度の高いシェイプである。 実用一点張りのケイウーディー
にも、こんなオシャレなパイプがあったとは楽しい発見であった。

 しかしこのパイプ、煙道に無理があって不味いうえ、変形ボウルのために前方下半
分に火がまわらず、燃え残ってしまう。 それでも純粋に観賞用として残しておきた
くなるほど魅力のあるパイプだ。 フリーハンドとは言え、抑制が利いている点、
イタリアンや北欧系とは一線を画していてさすがに東海岸、ニューヨークのメーカーだと
思った。