| カステロ 1950年代 SEAROCK BRIAR |
| イタリアの高級パイプの歴史は戦後からだ、と言われる。1947年に高級パイプ を作り始めるカルロ・スコッチのブランドが Castello である。 ダンヒルに対抗しうる唯一の量産メーカーと言われ, 以前から吸ってみたいパイプで あった。 これはイタリアのパイプ屋にずっと出ていたパイプである。おそろしく高い値段 なので、PCの「お気に入り」に入れて、何度となく眺めていた。 高いのはわかる。 なにしろ初期のカステロはほとんど売りに出ることはない。 生産本数が極端に少ないのだ。 だがやはり最近のものより、最初期のものが吸ってみたい、という点は譲れない。 そしてこのパイプ、サイズもシェイプも私の好みにぴったり一致、こんなカステロ 見たことがない。 ある日、思い余ってメールをする。 「このパイプが高価なのは、アナタがこれを売りたくないからだろう。 たしかにこれより古く、これよりスタイリッシュなカステロはどうしても見つからな い。 私の持っている高価なパイプを下取りしてくれれば買えるだろう。 Chonowitsch ではどうか?」 このページで紹介したコウノヴィッツの写真を添付した。 すると 「ありがとう。おっしゃるとおり私は手放したくないパイプには高い値段をつける。 しかしウチも商売だからワカる人には売ろうと思う。ただ下取りはしていない。 ちょうど今このネット・ショップを改装するところでもあり、 このパイプの良さがわかってくれて嬉しいからディスカウントしよう」 値切ってもいないのにいきなり値引き、しかも表示価格の4割引きである!! まさしくイタリアン、気分だけで商売をしている。こっちも好意に答えなくては、 とイタリア人になったつもりで即、購入をきめた。 イタリア製のパイプをイタリア 人からイタリア風に買えてラッキーであった。 コウノヴィッツを提示したことで好感度が高かったのであれば、 コウノヴィッツも「こやし」とばかりも言えない霊験あらたかなパイプ、ひと働き してくれたことになる。 さて届いたパイプを眺めてみる。英国勢のどのブラスト、ラスティック仕上げより も表面積の多い仕上げ、同じイタリアのサビネリ・シーコーラルなどを彷彿とさせる。 初期カステロのバー・ロゴは象牙のようで高級感がある。クラシックシェイプのよう でありながら少し大きく開いたボウルが、なにごともデザインせずにはおけないイタ リア人の面目躍如といった感じだ。 吸ってみると確かに驚異的にクールではある。しかし木の味がしない。つまりアメ リカ戦前モノほどの木は使っていない、ということだ。表面積を増やしたラヂエー ター効果だけで吸わせるパイプである。 悪く言えば、最上とは言えないブライヤーをその手法で誤魔化している。オイルキュ アリングの味はしない。 少しがっかりした反面、安心もした。初期のパイプにしてこの程度、ということは もうこれ以上新しいカステロを買うような寄り道をしなくても良いからである。 サビネリのシーコーラルなども同じであろう。 ラヂエーター効果をつきつめても木が悪ければ、あの無味乾燥なメアシャムパイプ の味に近づくだけだ、という半ば予想していた結論を得た。 カステロがパイプを作り始める頃には、コルシカ、カラブリアなどのイタリアン・ ブライヤーも、最上のものは採りつくされていたのだろうか。だとすれば悲劇と言う ほかはない。 ダンヒルの喫味が60年代いっぱいまで優れていたのは、優れたキュアリング技術に 助けられたからである。 いっぽうイタリア勢は表面積を増やして勝負した。 したがってこの両方を施したパイプがあれば、木の質が落ちる戦後においても、 戦前と同等以上のパイプを作れたはずである。 カルロ・スコッチは開業前の修行を英国で行なうべきであった。 カステロがダンヒルに対抗し得るとは、ダンヒルがキュアリングの手を抜き、 木質もますます悪くなっていく70年代以降にして初めて言えることではないか? |
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