| リレハンメル GL GL Best Make |
パイプ世界一周の旅、ノルウエー編。 インターネットで世界中のパイプ関連のページを眺めていると、不思議と気になる メーカーに出くわすことがある。一般には知られていないが、カルト的なレアもので ある。 Lillehammerもそうしたパイプで、冬期オリンピックで有名になったノルウ エーの小さな町のパイプだ。 調べてみたら歴史は古く、初代はトルコとフランスでメアシャムパイプ造りを修行 したのち1844年開業、とある。20世紀初頭息子の代からはブライヤーパイプに 移行した。二代目の亡くなった1914年のあと、ファミリーには無関係の会社に買 収されるが、リレハンメルの質実なパイプづくりは維持された。世界中のパイプメー カーがフィルターを仕込んだが、彼らは決してフィルターを採用せず、木質と仕上げ だけで勝負したのだ。 60年代後半、フリーハンドパイプ・ブームに押され、経営危機に陥る。70年代に はデンマークの Kriswillを買収し、そのフリーハンド・デザインを導入して建て直 しをはかるが、アイデンティティーが失われただけであった。曲折を経てStanwell に名前だけ売られ、イタリア製リレハンメルなども出回るが、1980年代初頭、こ のノルウエー最後のパイプ工場は閉鎖されるのである。 昨年、e-Bay でリレハンメルが出た。ウォッチしていたらダンヒルくらいの値段で 落とされていて驚いた。以来、どうしても一本は欲しい、吸ってみたい、と思うよう になった。 そして最近、e-Bay で久々に1本出たのでウォッチ開始! 終了前日、高めの入札 (50年代のダンヒル程度)を入れておいた。競争入札なし、これは9.9ドルでイ タダキだろう、と思っていた。 が、数時間を残すところであっさり抜かれる。そこで思い切って戦前ダンヒル上物く らいの値を入れた。しかし競争相手がじわじわとつり上げてくる。 血の気が引いて ゆく………。 午前2時、闘いに勝利。結局入札したのは相手と私の二人だけだった。こういう場 合には相手に連絡を入れるとおもしろい。 「今回は私が勝った。だがあなたはなぜリレハンメルにこうも夢中なのか? 私はま だ吸ったことがなく前からネラっていたのだが。」 すると即答、 「私はリレハンメルを2本持っている。小型だがよく出来た美味いパイプだ。今回も 逃したがいつもこうだ。残念だがそのパイプを楽しんでくれ。届いて吸ったら感想を 聞かせてほしい。」 出品者にもメッセージを入れた。実はほかにも同時にこの人から古い Loewe を安 く落としていた。 「いやあ、ビックリの高値でしたね。」 するとこれも即答、 「私はパイプのことはワカらんが、なぜこの古ぼけたパイプがこんな値段になるのか 教えてくれ! 実はリレハンメルがもう一本あるんだが同じ値段で買わんかね? 写 真を送ろう」 なんだって!? だがもう一本買う金などない、 「冗談じゃない、今回のは高すぎた! 予定外の出費で大変だからカンベンしてくれ」 翌日写真が来る。驚いたことに一本目と同じく極上なうえ、グレードがひとつ上の GL Best Make ではないか! 悩んだ……… 「100ドルだったら買おう」 なんと言ってくるかその晩は寝つけない。 結局翌日、それより少し高い額で妥 結、しかもオマケに無名パイプを2本つけてくれるという。届く前にこれほど楽しま せてくれたパイプもない。出品者、競争者と会話をするのが eBay を10倍楽しむコ ツであろう。なお、資金捻出のため、当校クラブ員にベッカーのアーミーマウント (紹介済み)を売却した。 さてこの2本は推定50年代以前のものである。このように古いものは刻印が Made in Norway しかし後年は Handmade in Norway で、形状も北欧フリーハンド・ スタイルになり興味がわかない。なお「GL」はモデル名やグレードではなく、 Gudbrand Larsen Pipefabrikの略、つまりこちらが社名である。Lillehammer のセコ ンド・グレードは Bastia というパイプになるから、安く済ませたいたいならこちら で充分だろう。 さて吸ってみたら低グレードのパイプのほうが美味い。 Best Make のほうは例に よって木目が良いだけだ。 しかも低グレードのほうがリップに凹み加工がしてあっ て手が込んでいる。ボウル内部が外観とは裏腹にテーパー状にすぼまっているのもス ムースなエアフロウに一役買っている。入念に出来た良いパイプで、喫味は私のコレ クションでは最高レベル、アルジェリアンの味である。北欧家具のような静謐感があ り、出来れば戦前のものも吸ってみたい、と思わせた。 北欧の小さな町に咲いた可憐な花、ロマンチックなパイプだが買う時は気をつけたほ うが良い。世界をカバーする e-Bay 空間でマニアが虎視眈々とネラっているから競 り合う覚悟が必要だ。なにしろ e-Bay Swedenを含めて、世界中で年間1〜2本しか 出ないパイプなのだから……….。 |
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