BBB Own Make 1920年

 何年か前、アメリカから古いダンヒルと一緒に買ったパイプ。当時は小さすぎてカ
ラいパイプだと思い、当クラブ員に譲ったもの。しかし最近思うところあって取り戻
したのである。「あのパイプ、ちびちび吸えば美味かったのかもしれない。」

 やはり思ったとおり、そうやってパイプの特性にあった吸い方をすればかなり良い
パイプであることがわかった。当時はわからなかったが、アルジェリアンの味であ
る。しかし以前紹介した、これより20年古いWDCの似たようなポーカーよりは木
が劣る。

 20世紀初頭以前の英国パイプで、木質がアメリカものを上回るものには出会った
ことがない。たまにほぼ同等くらいのものはある。 高級食材同様、産地の限られる
特級品ブライヤーも卸し元は少数寡占状態だったのではないか?それを早くからアメ
リカ勢に押さえられ、英国勢は特一級のものが手に入らなかったのかもしれない。逆
にこのあたり、英国勢がパイプ工作の精度を上げ、キュアリング、サンドブラスト探
求に邁進した理由になったとも考えられる。

 BBB(スリービー)は A.Frankau & Co という会社の1ブランドにすぎない。こ
のパイプにも AF&Co の刻印がバンドに打ってある。1920年という年はBBBが
のちに Cadogan に連なるオッペンハイマー・グループに買収される年である。オッ
ペンハイマーは20年代、すでに Comoy’s 、Loewe、にも深く関わり、後年
Kaywoodie を英国でも作らせた。GBDなどのフレンチ・メーカーを大挙して英国に
進出せしめたのもオッペンハイマーである。

 この個体がオッペンハイマー以前であるかどうかはわからない。だがブライヤー産
地サン・クロードに強力なコネを持っていたオッペンハイマー以後、BBBのクオリ
ティーが逆に良くなったことも考えられる。そう考えるとBBBのみならず、オッペ
ンハイマー傘下のパイプの評価は少なくとも木質の点では、オッペンハイマーとの関
係の始まる年代の前後をいろいろ吸ってみる必要があるだろう。

 全長わずか12cmほどのパイプ、会社のオーナーがどう変わったにせよ、こんな
小型のくせに堂々とした雰囲気を出せるシェイプ感覚はただものではない。ブリ
ティッシュ・パイプ黄金期の開幕を体現しているパイプであろう。

 肉薄のボウルであるからすぐに過熱してしまい、かなりちびちび吸う必要があるか
ら上級者向けである。それゆえこんな小さなパイプでもロングスモークになってしま
うのが面白い。


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