ピーターソン Irish Free State  1921~1930

 程度が悪かったゆえに安く手に入れた古いピーターソン。「アイルランド自由州」
とは悲しい呼称で、終戦直後の日本製品が「 Made in Occupied Japan 」と表示され
たのと同じくらい屈辱的であろう。パイプ自体もなんとなく沈鬱な表情を持っている
ようにも感じてしまう。

 残念ながら造りは雑である。マウスピースを外すとPシステムにはなっておらず、
穴が大きくずれてあいたりしているのが興ざめである。しかし木はすばらしく良い。
軽く、香ばしい煙があたかも微細な金粉のように立ちのぼってくる。パイプの持つ沈
んだ雰囲気とはそぐわず、不思議な感覚に襲われるのである。

 おおまかに言って、ブライヤー・パイプは古いほど木が良いと言える。だからと
言ってこのピーターソンが優れていることにはならない。英国勢が極めた細かい細工
といった美点が感じられないのであれば、古くて木が良いから吸えるだけのパイプ、
と言わざるを得ない。銀巻きだから低グレードではない、と思われるが、であればこ
そピーターソンの格式を疑いたくもなる。

 木が良いパイプには感動し、細工が入念なパイプには感心する。両方そなえてこそ
良いパイプである、ということを考えさせられたパイプであった。最初のピーターソ
ンはまぐれ当たりの Beginner’s Luck だったのだろうか。


パイプ目次1へ戻る パイプ目次2へ戻る