Swiss Dry−Smoker 1930年代(?) (ボヤージュ#1)

フレンチパイプ・シリーズ、最初に紹介するのはいかにもフランスっぽい斬新なアイ
デアを盛り込んだパイプだ。銀巻きにホールマークが打たれているが、現在までのと
ころ解読が済んでいない。手元の資料でもメーカーの詳細は不明、フランスのもの、
ということだけはある資料で判明した。

もっとも Algerian Briar  Made in France と刻印されているから調べる前からフレ
ンチであることはわかった。

非常に汚れた状態で、なんとかここまでキレイにした。だがクリーニング中にとんで
もない細工がされているのを発見してびっくりした。なんとボウル側のエアホールが
2本あけられているのである。

現代イタリアのRadiceなど、マウスピースに二本の穴が開いているものは戦前
からたまに見かける。しかしボウルに穴が2個とは初めて見た。(マウスピース側は
一本)

2本の穴にはアルミのチューブが圧入されていて、同じチューブはマウスピースにも
入っている。クール&ドライの為の細工であるのは間違いない。ご覧のようにボウル
の底に正確に穴がふたつあいているというのは、よほど高い精度が要求される仕事で
ある。

吸ってみると古いフレンチものでは当然の、優秀な木だけでじゅうぶん美味いパイプ
ではあるが、この細工の恩恵はほとんど感じられない。フランスではアルジェリアの
最高のブライヤーが当然のように手に入る以上、他と差別するためにはなにか新奇な
細工が必要であったのかもしれない。

年代は推測するしかないが、非常に優秀な木であり、細工も凝っているから戦前と判
断した。Made in France の英語表示はアメリカ輸出用に作ったもので、50年代く
らいまでは下るかもしれない。全長16cmという大きなサイズは、英米のパイプで
標準サイズになるのは戦後だと思うが、今までのところ、かなり古くてもフランスの
ものは大きいパイプが多い。したがってこのサイズは年代特定の手がかりにはならな
いと思う。

それにしてもこのパイプ、掃除が大変だ。2本のアルミのチューブが飛び出してつけ
られているから、そのまわりをキレイにするのは至難である。またチューブは圧入さ
れているから取り外すことが出来ない。現に手に入れた時は穴が2本ともヤニでぎっ
ちりつまっていた。たしかに掃除をする気にさせないパイプである。

ちょっと理屈が先走りすぎて整備性が悪い、なんとなく特殊なサスペンションを装備
したシトローエンのようでもある。フランスならではのパイプであろう。


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