| ノルマンディー 1937年 (ボヤージュ #3) |
ノルマンディーと言ってもパイプメーカーではない。第二次大戦戦前の1935年に フランスで建艦された豪華客船の名前で、同艦はイギリスのクイーン・メリーとライ バル、室内装飾はアールデコ、技術的にも当時の最先端であった。俊足でもあり、 北大西洋航路の速度記録の勝者に与えられるブルーリボンを最初の航海で取得した。 なおブルーリボンは パイプの世界でもComoy’s の Blue Riband に名前をとどめる 由緒ある勲章である。 おそらく当時の豪華客船の地位は今とは比べられないほど高かったろう。ノルマン ディーのブルーリボン記念にこんなパイプも造っているのだ。船の形を模したシェイ プは、現代の作家系パイプにもないほど優雅である。ただし豪華客船であるから最高 のメーカーに造らせた筈、と思いきや、造り込みは一級品のパイプとは言えない。 最初に紹介した St.Claude の名前入りパイプのような彫り物パイプはフランスで は多く見かける。パイプというものが英国などよりよほど身近な実用品であったこと を思わせる。あるいはパイプに人格を認めず簡単に広告媒体にしてしまうところが あるように思う。 このパイプのように本体を船の形に造形してしまうような感覚もフランスならではだ ろう。 フリーハンドパイプ革命以前、戦前においてはパイプを自由に造形することはなかっ たことを考えれば、フランス人にとってパイプがどのようなものだったかを推し量る ことが出来る。 オペラパイプのように扁平のボウルだが燃焼にはなんの支障もない。マウスピース が少々厚く、くわえ心地がもう一歩だが喫味は良い。 |