GBD サンクロード製  (1950年代?)   (ボヤージュ#6)

サンクロード製の退化したGBD。 こういう生アルジェリアンを何本も
吸ってみると、これをもって低級とみなし、キュアリング技術を研究・確
立した英国勢の凄さにあらためて嘆息する。現代のどんな高級パイプ
より美味いと言って過言でないレベルのブライヤーにしてもなお、当時
の英国人に不満を憶えさしめたものは何であったか?

イギリスは食べ物が不味いと言われるが、英国人は香りに対しては卓
越した感覚を持っていると思う。紅茶、ウィスキー、ビールなどは多様な
香りを作り出し、味わう文化がある。高級車に使われるコノリー・レザー
の匂いなども人為的に醸した芳香と言ってよい。ご婦人方の香水と言え
ばフランス製がメインだが、男性用ではダンヒルを初め英国勢はヴァラエ
ティーが豊かである。

哲学・思想史は門外漢だが、20世紀初頭の英国パイプ界には、自然の
ままを尊ぶ自然主義よりも、なにごとも人間が手を加えて改良し、自然を
手なずけてゆく進歩主義の思想があったのかもしれない。生ブライヤーと
いう自然の産物では避けられない「当たり・はずれ」をキュアリングによっ
て克服すれば、製品の均一性を管理し、高品質を保つことが出来るので
ある。メーカーごとの特色を出せるようにもなった。

さてこのパイプ、サンクロードの田舎パイプという評価を下さざるを得ない
のは少々酷だが、もともとフランスは地方と首都パリの格差が英国よりも
大きいのである。のどかなフランスの田園風景、葡萄畑、と言った情景が
思い浮かぶ喫味だが、やはりパイプ趣味は都会的であったほうが好みに
あう。華の都パリのパイプこそがフレンチ・パイプの精髄であろうかと思う。


サンクロードに一流品なし、と結論せざるを得ない。


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