ドクター・プラム 1930年代(?)   〜カドガン本の要約その2

カドガン本によれば Dr. Plumb はカナダ・モントリオールのルヴィノビッチ、
英国人(と思われる)レスリー・ワッツ、カドガンのコール(著者)の3人がカ
ナダ市場用にサンクロードのヴェルゲに作らせた戦略パイプである。当時
どこのメーカーでも花盛りだったシステム・パイプをより複雑なフィルターで
進化させて、安価で売り込もうとしたのである。

1925年のことであった。


カドガン・グループはパリにおいてはGBDという有名ブランドを持っていたが、
サンクロードではこれと言ったブランドは確立されておらず、ドクター・プラム
は急速にサンクロード側におけるブランドとして認知されていった。世界中で
人気を博し飛ぶように売れたのである。

だが英国で人気が出てくるとジレンマが発生。当時英国は輸入パイプへの
関税が高かったのだ。そこでオッペンハイマーはプラムを英国でも作ることに
した。サンクロードにすればせっかく苦労して英国で販路を広げたこのブランド
が、英国で売れなくなるのは惜しかったらしい。結局サンクロードはオッペンハ
イマーの植民地みたいなもので、言いなりになるしかなかったのだろう。193
2年から英国での生産が始まる。

1976年に書かれたカドガンの本には、その年までの50年間にサンクロード
だけで六百万本以上の Dr. Plumb が作られた、とある。ドクターのネーミング
は流行し、Dr.Grabow ( Mastercraft :アメリカ)などのフォロワーをいくつも
生んだという。

サンクロード製のこのパイプは、駄パイプに入れてしかるべきだった。しかし歴
史的に重要であるのに日本では無視されているようなので、あえて紹介した。
また、喫味が良いのも理由になった。いつもどおりの生アルジェリアンであるが、
とても落ち着いた味なのだ。肉厚ボウルではあるが味に輪郭もある。おそらくこ
のフィルターが仕事をするのだろう。

Plumb とは英語で配管の意味もあるが、たしかにこのフィルターは名前どおり
に複雑だ。

当時のキャッチ、 Smoking Through Ice そして Perfect Pipe とはいかにも
言い過ぎだが、たしかに良く冷えるフィルターである。(もちろん最初のうちだけ
であるが)

このフィルターがなければ他の駄フレンチと選ぶところは無かったのかもしれな
い。逆にこのユニークなシステムが、なんであれ存在感を示し、プラムの個性を
形成せしめたのか、と思う。

パテ埋め10箇所以上という安パイプだが、駄パイプではない。不思議と手が伸
びるパイプであるが、もう一本欲しくはならないところが安パイプのゆえんだろう。


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