コモイ製ケイウーディー 1930年代(?)

コモイの味に目覚めたのがこのケイウーディーであったとは実に皮肉なことである。

e-bay で発見した時はなんとなくいつものケイウーディーとは違うな、くらいの気持
ち。

カタチが良いので落札したに過ぎない。今思えばケイウーディーにしては高かった。

手元に届いてから Made in England の刻印に気付き、コモイ製であることがわか
った。ゴールデンコントラストがそれを主張していることに気がつくべきであった。見
る目のある人が入札していて高くなったのだろう。

吸った第一印象は、高かったのにハズれたか、というもの。 しかしハズれたと思っ
ても高いものは何回も吸って自分を納得させたいものだ。3回目くらいに啓示が降り
てきた。「これはケイーウーディーではなく、全く別のパイプである」

そこで、昔買って気にいらなかったコモイを吸ってみる。久しぶりにコモイを吸った
らひらめくものがあった。コモイのキュアリングとは味をくすませるものだ、と気が
ついたのである。

こうしてコモイのなんたるかを理解して、もう一度吸ってみると美味いパイプに早変
わりした。どんな趣味でも好み・鑑賞眼は進歩するものであると痛感する。またひと
つパイプに教わった。

このパイプには英国勢の意地のようなものを感じる。コモイ、なかんずくイングリッ
シュ・パイプの凄みを必要以上に強調している様に見えるのだ。まずアメリカ製とは
比較にならない繊細なスティンガー、一番細い部分の外径は 1.4 mmしかない。ア
メリカ製では 2mm以上であり、こんなに細くては雑に扱ったらすぐに曲がろうと
いうものだ。

だがそれには理由があった。いつものように磨いても光らないところを見ると、アル
ミではなくジュラルミンで作られている気配が濃厚なのだ。ジュラルミンはアルミよ
り硬く、高価であるのは言うまでもない。 Drinkless の文字がこの極細のスティン
ガーにちゃんと刻印されているのも、時計の世界のような精密機器を思わせる(写
真で米国製と比較)

スティンガーを限界まで細くして空気抵抗軽減をねらうあたり、なんともイギリス的
でニヤリとさせられる。これを見てしまうと、オートバイで言えば米国製ケイウー
ディーは市販レーサー、英国製はワークスレーサーほどの違いがある。

全体の作りも実用品っぽいアメリカ製とは異なり、明白な高級感がある。アメリカか
ら製作依頼があった時に下請けとしてではなく、格上のハイグレードとして作ったの
だろう。

コモイ製ケイウーディーはオッペンハイマーが中に入った企画であったというから、
オッペンハイマーも味なことをするものだ。アメリカに輸出されてこれを吸ったス
モーカーが、私のようにコモイの真髄に触れて、コモイ購入に走るようになったこと
もあったろう。

オッペンハイマーはそこまで考えていたかどうか……..。

表面的な歴史だけでなく、パイプ業界の裏側、人脈、相関図などにますます興味が
湧いたパイプである。 また、英国パイプの底知れぬ深淵を垣間見せてくれたことで
もあった。


パイプ目次1へ戻る パイプ目次2へ戻る