BBB by WDC 1930年代(?)

以前紹介したBBBの小型ポーカー、不思議な魅力があって愛用しており、
古いBBBはもっと欲しいと思っている。

これはBBBでも極めて珍しいパイプで、WDCが特許を取った Hesson と
いうシステムを採用している。ネジ式テノンに長いアルミのチューブがつい
ただけ、という芸のないもので、効果のほどは疑わしい。BBB Own Make
2945 Hesson Pat’d Dec. 221925.の刻印がある。

OWN MAKEはBBBのトップ・レンジのはずだが、どうもこのパイプは高級
感に欠ける。そもそもWDCのパテントを使うとはどういう経緯からだろうか?

吸ってみたら謎が解けた。間違いなくWDCの味なのだ。BBBのあのキュ
アリングされた味がしない。つまりこのパイプ、WDCで作ったものにBBB
の名前を刻印したものと思われる。BBBがWDCのパテントを買って作った
ものではないのだ。

BBBは Adolf Frankau 社、そしてそれはオッペンハイマーの傘下にあった
ことは述べた。考えられるのはオッペンハイマーがBBBの名前をWDCに限
定的に売ったのではないか、という線、ブランド名の使用許可を買ったWDC
はこのパイプをBBBとして販売したという訳だ。

William Demuth はアメリカではカウマンなどと並ぶトップメーカーであった。
だが1930年くらいになると英国パイプのほうがWDCより格が上になってい
たことが想像される。そうでなければこの取引は成立しない。

比較のため、手持ちの Hesson のついたWDCと並べてみると、マウスピー
スの互換性もあり、またパテントの刻印も字体まで完全に同じ、アメリカのW
DCで作られたことは動かしようがない。

英国でWDC味のパイプなどは、すぐにBBBの味ではないことがバレたであ
ろう。

「BBBの名前を使っても良いが英国では売らない」という条件があったのでは
ないか?このパイプはニューヨークから落札した。ニューヨークのWDCがそこ
で売ったものがそのままアメリカにとどまっていたとすれば、この仮定も多少は
補強される。

こうして見ると、30年代、カウフマンがますます好調なのに反して、ディミュー
スのほうは下り坂であったろうことがわかる。本当のWDCの味を知りたけれ
ば1910年代以前を吸わなければならない。その頃まではカウフマンと同等
であり、アメリカン・パイプの両横綱を張ったWDCであるが、転落の途上でオ
ッペンハイマーとの取引によって浮上をはかったと考えられる。

スリービーもまたオッペンハイマーによって玩弄されたブランドであったと言え
るだろう。クルマの世界を見てもわかるように、欧米におけるブランドネームの
売買は、そのブランドが好調な時には決して起こり得ないからだ。


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