サンライズ・ナチュラル (by Comoy's) 年式不明

Sunrise Natural はコモイのセカンドクラスである。その証拠にパイプの
どこにもコモイの名前が刻印されない。オールド・イングランドに Sasieni
銘が入らないのと同様である。こういう場合マニアでないと無名メーカーの
パイプになってしまうから、値段も格安で手に入れられることが多い。

20ドルほどで落としたパイプであるから、何本か所有するコモイのなかで
は最も安い。だがこのパイプはそのどれよりも美味いのである。まさしく典
型的なコモイ味、これを最初に吸っていればもっと早くコモイの真髄に触れ、
高い評価を与えていただろう。

「コモイ味」をどう表現したら良いのだろうか? 悪く言えば甘ったるいチュ
ーインガムのような味、良く言えば、抑えに抑えたアンチ・ナチュラル(生)
の味と言えようか。どちらにしても英国勢では最もユニークなキュアリング
と言ってよい。同時に好き嫌いもはっきり分かれるだろう。

この強力なキュアリングはおそらく木の優劣に大きく左右されないであろう。
それゆえ品質が安定し、70年代以降ほとんど良い木が入手不可能になっ
ても、ひとりコモイはコモイであり続ける。逆に言えばこのパイプが30年代
であっても60年代であっても他のメーカーほどの違いはないのではないか?
ビジネスの観点からみればコモイのキュアリングほど成功したものはない、
と言って良い。

とは言え、この個体は木も優秀であると見た。サンライズはコモイのフランス
支社で作られたらしいが、サンクロードのあの安パイプ、生アルジェリアンに
キュアリングを施すとこのような味に昇華するのか、と思うと驚きを禁じ得ない。
確かにベースの味はアルジェリアンであろう。同時にあの「生味」を殺すには
コモイほどの強力で個性的なキュアリングが必要であったか、とも想像する。

サンライズ・ナチュラルとはどういう意味か考えていたが、このパイプ、コモイ
特有のコントラスト・ステイン(黒い染料で木目を際立たせる手法)がされてい
ないようだ。「ナチュラル」とはそういう意味であろう。コモイにはあまり詳しくな
いが、「坊主」のこのパイプが最もコモイらしい味であることを見れば、ひとつ
確実なのはステインの有無は味には無関係、ということである。


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