形意拳紹介 No.1



始めに

形意拳・・・・・このシンプルにして拳理の高い拳法は、中国の山西省に源を発する。
伝説では、宋代最後の頃に岳飛という武将が形意拳を伝えたといわれている。この岳飛は槍術に優れていたとされており、形意拳の勁道の多くが槍術と共通していることからもこの武将に伝説が結び付けられたのであろう。
この岳飛伝説以降、史実において有名な人に姫際可という人がおり、この人が後に河北省に形意拳を伝え、その地で盛んになったようである。現在の形意拳は、大雑把に分類して山西派・河北派・河南派に分かれ、山西派は形意拳の古伝の形として近年マスコミでも注目を集めているようである。
この山西形意拳に関しては、小生の門弟の一人が中国留学時に山西省の大学の教授が伝承されており、そこで実際表演して頂いたそうである。

さて、小生が形意拳に初めて接したのは今から十数年前、故徐文忠氏が名古屋に講習会に来られた時であった。
その時小生は、中国の関節技である擒拿の対打コースを選択して、東京より徐文忠氏に同行された馮正宝氏に学んでいたのだが、たまたまそのメンバーの中に三重県で形意拳を学んでいるというSクンに出会った。彼の先生は、いわゆる残留孤児として帰国された方の家族の方で、週に何度か先生の住まれている団地に出かけて近所の公園で学んでいるということであった。
その後彼とは親しくなり、小生は当時自分が学んでいた螳螂拳の先生を紹介し、彼からはその形意拳の先生を紹介してもらった。また、彼からも直接形意拳を学んだりして、小生も少しではあるが河北派をかじるようになった訳である。
ただ、この当時の自分には形意拳は非常に使いにくく、威力もまったく無いものであった。これは自分の理解力の乏しさと共に、具体的な戦闘法を誰からも学ぶことができなかったためである。
もっとも、当時は螳螂拳ですら使いこなせるレベルではなかったので,、論外といえば論外であるが・・・・・(笑)

その後、自分から中国武術としての散打が優れていると噂に聞く団体の合宿に参加させて頂き、そこで今迄自分が学んだ形意拳とは異なる形意拳を学んだ。ここでの練習は噂に違わぬ対人練習がメインであり、自分が今迄疑問に思っていた「中国武術」における闘い方の段階的な方法を学ぶことができた。
また、そこで行われていた形意拳の威力にも驚いた。そこで学ぶ套路は、お世辞にもかっこいい型ではなかったし(古伝ということ)、自分の方が形意拳の基本功という意味では、不遜ながらずっと正確であったと今でも自負している。しかし、いかんせんいざ使うという段になると、こちらは「キックもどき」なのに対して、向こうは初心者から内家拳といった風情がある。これには内心大いに反省させられた。
そしてそこの師範の見せる技は、劈拳の一発で相手が吹っ飛び、腰勁で人が宙を回転しながら転がされるといった夢にまで見たような威力の数々!挙げ句の果てに自分自身も練習場の壁に自分の身長よりも高い所に打ち飛ばされる始末であった。(苦笑)
この時の動作を示している師範の方々は、誠にソフトであり、少しも気張った所が無い雰囲気が小生には衝撃的だった。(目から鱗よりもすごい衝撃で、目から瓦状態!)

それまでの小生の知っている闘い方とは、スパ−リングであり空手の組手であった。
兄弟弟子の散打大会に出る練習相手としてスパーもしたし、出稽古でフルコンの友好団体で組手などもさせてさせて頂いた。また、いわゆる市街における喧嘩の仕方なども研究されている空手家から学ぶ機会もあったのだが、小生の求めていた中国拳法と合致することはなかった。
しかし、この団体にはそれがあったのである。


形意拳と槍術の共通性

小生は形意拳には、槍術の影響が非常に強く出ていると考えている。(私見)
その定式である三体式は、槍を相手に向かって構えた姿勢そのもである。(下記写真の比較参照)
この槍術との関連は、形意拳の勁道をより良く理解していくにも為になり、更に実際こういった兵器による身体の運用法を行うことは大きな成果がある。

昔日の槍というものは、現在の表演会に登場するような短くて軽いものではなくて、非常に長くて重いものであった。その事から推察すると、この三体式というのは非常に重いものを持つのに安定感がよく、また前足三割・後足七割といった重心配分は、前方に重い物があることを仮定しているのではないだろうか?


「劈」について

五行拳一本目の「劈拳」も、槍を振り下ろす動作と考えれば非常にぴたりと合点がいく。
元々形意拳における五行拳は、基本として学ぶものであるが、これが非常に雰囲気を出すのが難しいのである。(体験者は理解できるであろう)
劈拳も、一番最初に学ぶ動作でありながらその動きに満足がいくには、相当の時間が必要である。特に伝統拳の「のり」というものは、師に対する質問等が中々できない雰囲気があり、分かった振りをしながら盗むということを繰り返すようなものである。こういった習慣(?)は、動作が大きかったり奇抜な仕種等入る技は案外理解しやすいが、シンプルで何気ない動作には「習得」に苦労をさせられることとなる。(苦笑)
さて、下の写真は槍で「壁」の動作をしたものである。
詳細な解説はしないが、劈拳を理解するのに参考にはなるのではないかと考える。


「崩拳」について

「壁」が切り下ろす動作ならば、ここで解説する「崩拳」は間違いなく相手に対して突き込む動作である。
崩拳もただの中段突きとして理解してしまうと、ぶち当てるといった単純な動作になってしまいやすい。その勁道を見極めるには、長い物を相手に刺すが如く突き込む動作であり、殴るといったイメージを捨てなければいけない。(崩拳の定歩は、小三体という)

また余談であるが、崩拳の勁道が理解できてくると、この技が相手の胴体部を目標にした打撃の質であることが分かる。崩拳は、あくまで重い物にめり込むような特質であり、頭部などには同じ五行拳の「砲拳」を使った方が効果が高い。
*反省・・・・・普段槍を使わないので、少し先端が下がってしまいましたね〜。(汗)




形意拳紹介No.2

「形意拳&八卦掌」錬習会

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