スタンド・エクササイズ @
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明けて二日目である。
昨夜泊まったホテルでは、グランドの練習から堅い床によって全身余すことなく打撲ができており、どういう風に横になってもベットからダメージが…。ともかく、たっぷりの疲労があったのに残念ながら安眠はできなかった。(笑)
さて会場は昨日と同じ、、、本日はスタンドがメインである事を祈りつつ、練習室となる会議質に入った。
この日は、初日に都合のつかなかった九星会からの参加者が更に増えている。
そして、二日目のスタート!!
いきなりシステマ・ジャパンのアンディ氏の顔面をMr.アレックスが殴り、会場に「コツーン!」と骨の鳴る音が響き渡った。昨日のハードな練習をくぐり抜けた者達は平気な顔をしており、新しい参加者達の顔には明らかに「引き」の表情が一気に宿った。(笑)
本日二日目のシステマのメニューは「ストライク」…つまり打撃なのである!
現代格闘技ならば、打撃は通常ミットを使って行う。
しかし、人間が本来持つ動きや感覚、反応を指導するシステマでは、人体が立派なミットの代わりとなってしまう。
勿論、ミット打ちもシステマを紹介するビデオ内には納められているのだが、ガンガンと相手を殴る方がある意味ナチュラルといえる。
それでも、殴られる方はたまらないが…(汗)
さて、この点システマで考慮されているのは、スタンドでのエクササイズが「スロー」で始まるところだ。
ともかく、相手からのスローな打撃をまず自らの身体で受けていく。エクササイズのポイントは、逃げたり避けたりはせずに、打撃が当たってから、上手にその威力を体内で吸収すること。ここで、更に初日に学んだスパイラル運動が活きてくる訳だ。
このエクササイズは、相手を打つ方も練習ではあるが、打たれる方がメインに感じられた。
打つ側になって面白く感じられるのは、打撃とは無意識に「手応え」を求めて行っていると云う感覚である。
逆に打たれた側は、防衛反応的な緊張を回避して呼吸とリラックスを繰り返す事により、自分の体の内にでき易い「芯」を消す作業に専念する。そしてこの感覚は、打撃に限らない。
実際にシステマのエクササイズの中で、打撃ではなくスタンドの状態で相手を引っ張ったり、或いは押し飛ばす練習があったが、自分の身体から「手応え=芯」を消していると相手にひっくり返されない。このエクササイズは本当は相手側からの影響を受け入れて、その干渉からグランドに回避していくのであるが、小生は自分の芯を消していたため身体に響かないので、倒しに来た者全てをひっくり返した。その後Mr.アレックスがやってきて、体能の高さを褒めてく認めてくれたのだ。(笑)
このエクササイズが自分にとって上手にできたのは、太極拳の推手を普段からこなしていた事にって培われた技量があったからだ。
話を戻して、スローに人体の打撃を繰り返していると、受けていても打っていても、太極拳の推手の発想の原型をこなしている気分になってくる。
推手の場合、練習法が文化として時代を経る過程で昇華して、手を合わせる状態からになっていったのであろう。しかし、システマではあらゆる角度とあらゆる方向から、スローな打撃が進入してきて、それを体内に留めずに消化していく。スローとはいえ、こちらが芯を残していると、明らかに打撃がヒットした気分になるから、これまた自覚しやすくて面白いのである。
現在の太極拳の推手は、この点を見失い勝ちである。つまり、武術的には既に失敗していても、負けの自覚がないために、反省による上達を見失ってしまう事が往々にしてあるのだ。
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スタンド・エクササイズ A
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ともかく殴って殴られて…システマのスタンドは一見「?」な感じではある。
格闘技を特集したディスカバリーチャンネルの番組内で、システマはコサック民族の伝統武術と舞踊に端を発しているという説明があったが、Mr.アレックスもロシアの舞踊における身のこなしと、システマには関連がある事を述べられて、一般の武術よりも極限まで関節の駆動を使用するのは、ダンスにおける「表現力」の部分から来ているのかもしれない。
誤解を招かないようにいえば、武術と舞踊の結びつきに軟弱さなど無い。
大東流六法会の岡本先生も大東流の運足には、能の摺り足に共通する部分があると指摘されているし、中国拳法も京劇に影響したり逆に訓練法などで影響もされたりもしている。
そういう観点から客観的に見ていると、このシステマの講習風景は組んでの踊りにも見えてくる♪
さて、打撃のエクササイズは蹴り技にも及んだ。
このシステマには、蹴りに関しての決まった形は無いようである。フィギアエイトと呼ばれるスパイラル運動を展開し、その運動エネルギーに沿った動作が蹴りになっていく。
これは実際のエクササイズでは、一人の周りを自由に動きながらあらゆる距離、あらゆる角度、あらゆる高さからアドリブでの蹴りが展開される事を要求された。
つまり、膝裏を腿で押すような技から、跳ね上げるような蹴り、背後に立つ相手の脊髄を足を回して蹴り上げたりと、通常の格闘技では思いつかないような奇襲技がすべてありなのだ。
また、その威力も先に述べたスパイラル運動を止めずに発揮していれば、殆ど衰えるような事はない!
パンチもそうだが、我々はある種の脳への刷り込みにより知らぬ間に没個性の「パターン」を持ってしまっている。このパターンは「試合」という武術として限定した局面に確かに効果を発揮するが、アドリブを必要とされる戦闘場面で、実際どの程度の効果が発揮できるのか、そろそろ確認した方が好いのではないだろうか?
今回のシステマの講習会には、自分は受講者でもあるがライターとしても参加したのだが、同じ「秘伝」誌の記者さんとお話をしていて、実は二人で不思議に思ったのが「タイミング」…合気道などで云うところの「呼吸」である。
まずシステマの呼吸法は、とても優れている。これはその運度に結びついている部分もあるが、戦闘時における感情のコントロ−ルを具体的に行う方法でもあると解説を受けたし、その九星会でもこの呼吸法を取り入れたが、明らかにメンバーの身体のコントロールが良くなってきている。
後々システマジャパンの指導員の方にお話を伺った際に、システマの呼吸法とロシア正教における祈りの聖歌の関連を聞かせて頂き、更にキリスト教関係の方からも、カソリックやプロテスタントと異なってギリシャ正教やロシア正教は礼拝時、賛美歌に大変多くの時間を割き、また唄の上手下手も教会の指導者における資質となると聞かされた。
話がそれてしまった。。。(笑)
武術における呼吸は、どちらかというとタイミングの事である。
これは打撃系の格闘技をこなしていても、伝統武術が持つ独特のタイミングは伝承がないと容易に理解できない。
何故かというと、伝統の武術には本来武器(兵器)を使って行う形があり、この形から学ぶタイミングが、徒手の打撃でも活きてくるのである。
そして、システマにはこの武器術において修得できるタイミング(呼吸)が存在するのだ。
それが、コサックのサーベル術からきたのか、或いは銃器の使用はそういったタイミングに繋がるのか…この点今後興味深く調べていきたいと思う。
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スタンド・エクササイズ B
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最後にストライクの極めつけ。。。ラブ・パンチ!
名前こそコミカルだが、このエクササイズが一番システマの核心であろうと思えると共に、理解できない部分でもある。(笑)
エクササイズのみ記す。
一人が呼吸法によるリラックス状態で立ち、もう一人がサイドに寄り添うように立つ。
寄り添った側は、相手の肩に手を置き中国拳法のように聴勁をするようにして、おもむろに反対の手で一撃!
当たるポイントは、みぞおちも含めて身体の全面全てである。
このパンチから逃げてはいけない!!
ひたすら呼吸を合わせながら、リラックスをしなければいけない。
「秘伝」誌の小生の記事で中扉に使われたのが、右の写真。 |
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ラブ・パンチのエクササイズが終わった段階で、自分はこの最後のエクササイズでの疑問を相手をしてくれたシステマジャパンのアンディ氏にぶつけた。
まず、どうしてこのエクササイズで、相手の攻撃を直接受け止めなければいけないのか?
そしてそれに矛盾して、自分の中でアンディ氏に打たれたラブ・パンチから、「LOVE」の名前がこのパンチに付く意味が分かる感覚…。
その答えは。。。システマの講習会へ行ってみるのが一番!(爆)
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総 括
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講習会自体は、もう一日ありそこではより応用編である多人数捌きが行われたようである。
しかし、翌日に次回の練習を控えた九星会のメンバーが参加するのはこの日まで。。。参加した全員がそれなりに好い意味で変わる事のできた講習会であった。
システマでは、組んでの練習の後必ず相手になってくれた方に対して、握手しながら大袈裟なくらいのお礼をする。
これは、直接に顔面を含めた人体を打撃する練習を行うため、相互の信頼が不可欠になるからだと感じた。
そしてエクササイズの終了時には、車座になって各自が感想を述べる。そしてその瞬間は、まるで周りにいる者全てが戦友のように思えてくるから不思議だ。
これがシニア・インストラクターの力量によるものなのか、或いはどのシステマの講師にもそういったパワーがあるのか迄は分からない。
しかし、日本で初めてのシステマ講習会2日目を終えられたMr.アレックスは、この集まった者達に向かって次の言葉で賞賛してくれた。
それは…
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「君達は、アメージングだ!」 |