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| 管理番号 | 書名 | 備考 | |
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| T019-003 T019-004 |
航空宇宙軍史 仮装巡洋艦バシリスク 星の墓標 |
近未来、太陽系内での、人類の戦争史 | |
| T019-020 T019-021 T019-026 T019-027 |
覇者の戦塵 1943 電子兵器奪取 1943 空中雷撃 1944 翔竜雷撃隊 1944 マリアナ機動戦 1 |
技術者の視点で見た仮想戦記 パラレル太平洋戦争 |
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| T019-022・023 T019-024・025 |
パンドラ1・2 パンドラ3・4 |
ハードSF作家の侵略テーマSF | |
| 管理番号:T019-003 | 19 ミリタリーSF | ||
| 書名:仮装巡洋艦バシリスク | 航空宇宙軍史 | 発行 1985年 | |
| ハヤカワ JA200 早川文庫1870 | 価格:\360 | ページ数:262P | 装丁:文庫 |
| 初版発行:85/4/30 | 購入:85/5/12 | ||
「星空のフロンティア」「砲戦距離12,000」「襲撃艦ヴァルキリー」「仮装巡洋艦バシリスク」の4作からなる短編集です。いろいろな意味で、谷甲州節が光ります。わくわくするのは、2番目と3番目でしょうか。 「星々のフロンティア」は、外宇宙の開拓・探検にと太陽系を飛び出す船乗りたちの物語です。むろん、谷甲州節ですから、夢と冒険のおとぎ話ではありません。 舞台はカトマンドゥの貧民街で、宇宙軍に生涯かけて償う負債があると聞かされた主人公が徘徊するところから始まります。そして、目的も行き先もはっきりと教えられない航海に、志願ではなく強制され、機械油と閉所恐怖症の立ちこめる薄暗い宇宙船の中で物語は進行します。 科学的な、ハードな皮をかぶったファンタジーですね。 「砲戦距離12,000」「襲撃艦ヴァルキリー」の2作は、誰かわからない技術者が必死の思いで作った兵器に翻弄される船乗りの物語です。 登場する兵器、ヴァルキリーとは、高出力レーザ砲を一門だけ搭載したロボット船。冷たい真空の中でじっと息を凝らして待ち続け、敵を感知したその瞬間に生き返り、大加速をかけて突進し、常識を越えた距離で敵を撃破する、通り魔のような兵器です。 この2作は数十年の間をおいています。間をつなぐのは、最初は若い少尉、次に老練な中佐としてこれに遭遇した船乗りです。 「仮装巡洋艦バシリスク」は、外惑星動乱戦争、つまりつぶされた独立戦争の時に活躍し、死んでいった外惑星同盟の仮装巡洋艦を、150年の未来に回収し、彼らの生き様、戦い様、死に様を回収に当たった船乗りが調査した様子を描いた物語です。 この時期の谷甲州作品は、単なるハードSFの範疇ではありませんね。出てくる人物が非常に少なく、世界が非常に小さいことが第一の特徴でしょうか。それから、いろいろな意味で狭いこと。思考の幅が狭いというような誹謗ではありません。意識して小宇宙を描いているのだと思います。 |
| Ver. 2.17 |
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| 管理番号:T019-004 | 19 ミリタリーSF | 出版社:早川書房 | |||||||
| 書名:星の墓標 | 航空宇宙軍史 | ISBN978-4-15-030244-8 C0193 | |||||||
| ハヤカワ文庫JA244 ハヤカワ文庫2246 | |||||||||
| 価格:480Yen | ページ数:377P | 本のサイズ:文庫 | |||||||
| 初版発行:1987/7/15 | 購入:1987/8/23 | 表紙イラスト:横山宏 | |||||||
この本も、前作と同じような構成です。4つの短編からなります。一編ずつ内容は違います。しかしこれは、「バシリスク」の短編とは違いますね。ひとつのテーマが通っています。 第一話 タナトス戦闘団 ダンテ隊長ことヘロム・フェルナンデス中佐に率いられたタナトス戦闘団とは、外惑星連合のカリスト防衛軍警備隊に所属する、おそらく唯一と言っていい陸戦部隊です。中隊規模ぐらいかな。 外惑星動乱の勃発後二ヶ月たち、最初の奇襲のあと内惑星の反撃が活発になってきたころ。 降伏と外惑星連合からの離脱を画策するタイタンへ特殊任務の命令を受けたタナトス戦闘団は、秘密の研究所に潜入し、「ラザルス」というものを発見します。これは一体何なのか。 戦争のなかで無理に作られた不幸な知性と、絶望する男たち。 第二話 ジョーイ・オルカ ジョーイとは、元は「海のシェパード」となるため訓練されていたシャチ(オルカ)です。人を襲ってしまったことで処分されるところを、世話をしていた技官の手で施設から脱出しますが、やがて人間に再び捕らえられます。 たぐいまれな知性を持っていたジョーイは、なぜ捕らえられたのか。捕らえた軍関係者は、ジョーイをなにに使おうとしているのか。 呼び出された長谷川技官の見たものは、何だったのか。 第三話 トランパー・キリノ トランパー、つまり一匹狼の船主兼航宙士であるキリノは、不景気のどん底に落ち込んだセレスで仕事にあぶれています。 同じような境遇のオロイがなにかサルベージしようしている計画を聞きつけ、隙あらばとさぐるうちに、「ヴァルキリー」という名を聞きつけます。何か昔の戦争の秘密兵器らしい。さらにかぎ回るうちに、遠い昔のタナトス戦闘団の生き残りと名乗る男にも出会う。彼の仲間は「ラザルス」に殺されたという。いったいどういう事なのか。 最四話 星と海とサバンナ かつてサバンナから宇宙に出てきたオロイの語りで話は進みます。 40年前に終わった戦争の記憶を引きずる彼は、宇宙でかつての過去を見つけられたのか。 「ラザルス」の記憶の中にいるものはなにか。 そこで彼は、過去の亡霊に出会います。ラザルス。ヴァルキリー。タナトス戦闘団。ダンテ隊長。 そして、ジョーイ。 俺にタイタンで言ったのと、同じことを言わせる気か? 同じ死ぬんなら、星の海で死にたいとは思わんのか。こんなところでくた ばるつもりか? ここで消されちまったら、また同じことが起きるぜ。航空宇宙軍が、あわれな奴らをどこかから見つけだしてきて、ラザルスをまた 作る。そうさせないためにも、生き延びる必要があると思わないか。 むなしさと、寂寞感と、そこはかとない未来への期待。谷甲州節ですね。久しぶりに読み返しました。 (07/11/23) |
| 管理番号:T019-020 | 23 仮想戦記 | ||
| 書名:電子兵器奪取 | 覇者の戦塵 1943 | 発行 2005年 | |
| 価格:\900 | ページ数:211P | 装丁:新書 イラスト:佐藤道明 |
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| 初版発行:05/5/25 | 購入:05/6/11 | ||
舞台はニューギニア島東部。オーエンスタンレー山脈をはさんでポートモレスビーの反対側。北岸。コーリングウッド湾に望むワニゲラ沖を走る蛟龍から始まります。 侵攻する米軍に逆襲する上陸地点を捜して偵察しようとする北原海軍中尉。残念ながら適地が見あたらない、というより、敵の警戒が格段に厳しくなっている。さて困った。 状況は、あまり変わっていません。しかし不思議な情報が流れています。敵の対空砲火が、以前と比べて格段に効果を上げている、という。 なぜ、どのように被弾率が高まっているのか、よくわかりません。 敵兵の技能が急に上がったのか、敵の高角砲が新技術でいきなり良くなったのか。あるいはその組み合わせなのか。 技能が上がった、と言う説を唱える人は、見当違いの所に撃つ砲が多く、技能それ自体は日本軍の方がむしろ勝っている、という話で水を差されます。 新技術という説に対しては、射程が伸びたわけではないし砲撃の数自体が増えた、つまり単位時間あたりの砲撃数が高くなった訳ではないと否定されます。 しかし、正しい方角に撃たれた高角砲の弾丸は、ことごとく標的の近辺で炸裂すると言う。 本土から紆余曲折の末にこの現象の解析・対策を主任務として派遣された深町技術中佐は、新型攻撃機「銀河」に便乗してソロモン海上空を飛びます。目的は、新型高角砲の観測。 しかし、小河内大尉の操縦する試製「銀河」は、敵の攻撃を受け、不時着する羽目に。 この新型機を狙う米軍の部隊。 この混乱を奇貨として作戦行動に出る陸軍部隊。呼応する海軍。 奪取された敵の秘密兵器とは何か。 谷甲州節ですね。人の言動の裏の裏を探り合い、自己憐憫に陥る内向性。もっと明るくても良いと思うんだけど... あ、そうか、今回はあの人が出ていないから、ちょっとじめついているのか。 結果はおおむねわかっているので、それほど驚きません。 むしろ、どのようにこの敵の秘密兵器、技術的成果を語るのかが知りたかった。 そうなんだよ、問題は秘密の発見や解明じゃないんだよ。 いかに自分たちがそれを模倣できるか、対応策を作れるか、改良できるかなんだよね。 谷さん、よく書いた。 一定基準の能力の出る、まともな真空管の量産ができなかった日本で、目の高さからコンクリートの床に落としても壊れない真空管を、月産何十個ではなく週に何百個、何千個作る技術的な基盤があったか。ありません。 この観点もなく、漢(おとこ)たちががっきと手を握り滂沱の涙を流せば何でもできると思いこむ仮想戦記は、やはりマンガです。(05/6/25) |
| Ver. 2.17 |
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| 管理番号:T019-021 | 23 仮想戦記 | 出版社:中央公論新社 | |||||||
| 書名:空中雷撃 | 覇者の戦塵1943 | ISBN978-4-12-500997-1 C0293 | |||||||
| C☆NOVELS 41-36 | 価格:900Yen | ページ数:213P | 本のサイズ:新書 | ||||||
| 初版発行:2007/9/25 | 購入:2007/9/30 | 表紙イラスト:佐藤道明 | |||||||
ほぼ二年半の休刊でしたねぇ。お忙しいのはわかりますが、もうちょっとアナウンスがあっても良いと思うけどな。「日本沈没 第二部」に名を連ねていたのは知っていますし、ご活躍のようでしたけどね。(ちなみに、ぼくはそもそも「日本沈没」と小松左京氏が趣味に合わないので、全然読んでいません) 軽巡「香取(かとり)」の艦上で、無人遠隔飛行している94式水偵と、それに向かって打ち出される捕獲された敵の秘密兵器を見つめる深町中佐から始まります。秘密兵器といっても、砲弾それ自体ではなくその心臓部である信管だけが本物。それ以外は海軍の標準的な12.7センチ高角砲です。 その恐るべき性能と、ふと見えてきた気になる欠点。そして、深町中佐の頭の中を駆けめぐるさまざまな思惑。当たるを幸いといった感じで難問に飛びつく彼の姿は、作家の憧れがあるのでしょうか。 ちょっと支離滅裂な感じもしますけどね。 大和田通信隊に所属する大津予備中尉が、もう一人の主人公ですね。それにからむのは、アメリカ生まれの日系二世であるたたき上げの小谷兵曹。彼ら二人の、嫌というほどまだるっこしい、やりとりとも言えないやりとりで語られるお話とは、通信情報を積み重ねて敵艦隊の動向を探る、通信解析による索敵。 慈父のごとく辛抱強く理解の遅い新参者を見つめ、彼が自分自身で答えを見つけるまで待つ事ではじめて評価すると言う考えって、理解しにくい。戦争中であろうがなかろうが、相手の理解力があろうがなかろうが、理解の遅いヤツにはさっさと説明して理解させるのが組織というものだと思うんですけどね。 作家の考えるあるべき技術者や軍隊って、何か違うように思う。 腹芸を期待し、裏の裏を読み合い、ちょっとした一言で感情的な誤解が生じて仕事に差し障りのあるしこりになる... 変ですよ、そんな軍隊って。わざとパロディ化しているのかな? ま、エピローグで一応まとめてありますね。深町中佐も大津中尉も、曲がりなりにも一歩前進しています。次号もこんな感じで戦闘シーンのない人間もようだけの戦記物だとすると、はたして売れるのか心配になります。(笑) (07/10/1) |
| Ver. 2.20 |
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| 管理番号:T019-022・023 | 15 ハードSF | 出版社:早川書房 | |||||||
| 書名:パンドラ1 | 早川文庫JA907 タ4-22 早川文庫6178 | ISBN978-4-15-030907-7 C0193 | |||||||
| 価格:700Yen | ページ数:383P | 本のサイズ:文庫 | |||||||
| 初版発行:2007/11/25 | 購入:2007/11/24 | 表紙イラスト:岩郷重力 | |||||||
| 書名:パンドラ2 | 早川文庫JA908 タ4-23 早川文庫6179 | ISBN978-4-15-030908-0 C0193 | |||||||
| 価格:700Yen | ページ数:354P | 本のサイズ:文庫 | |||||||
| 初版発行:2007/11/25 | 購入:2007/11/24 | 表紙イラスト:岩郷重力 | |||||||
![]() 出だしは、チョウゲンボウという鳥を、ロボット鳥で追う朝倉知幸(動物生態学者)から始まります。この鳥がヒマラヤ山脈を越えるという。ネパールからインドへ抜けるルートをさぐるためにロボット鳥を飛ばし、それをモニターするのは主人公の一人、朝倉知幸(あさくら・ともゆき)。出だしから見事に甲州節ですね。推論。不可解なデータ。意外な展開。理論に合わない状況を説明する新しい理論。パートナーへの疑念。聞けばいいのに聞かずに悩むもどかしさ。新たな視点と新たな理解。傲慢な口調で割り込む第三者。 おやおや。変わらないなぁ。 このチョウゲンボウという鳥は、ハヤブサの一種の猛禽なのだそうな。調べないとわからなかった。こういう無駄な知識も面白いね。 さて、軌道上の国際宇宙ステーションで、マレーシアの熱帯雨林で、異常な現象が起きます。 宇宙での出来事は、原因不明の事故から始まり、あり得ないような不気味な生命体が現れます。これは生命体なのか。意志を持っているのか。何もわからぬまま、犠牲者は増え、乗員帰還機(CRV)が死体と何者かを乗せて地球に落下する。 乗っているのは「アルジャーノン」なのか。彼は地球の生物なのか、それとも宇宙から襲来したのか。 熱帯雨林では、動物の異常な行動が単なる異常のレベルを超え、戦争と言っても良い状態になりました。何が起きたのか。最初は猿、オランウータンを中心にした暴走と思われたのが、それだけではない。「ティムール」と名付けられた類人猿はいったい何者か。 しかし事態はどんどん推移します。 宇宙から落下した「アルジャーノン」らしき勢力が、オーストラリア沿岸からボルネオにむかう。何が起きているのか。 原住民たちの不可解な行動。不思議なラジオ。 海が変質しているという報告がありました。酸素分圧が変動している。これは何を意味するのか。 他の惑星を、地球に近い状態に変質させることをテラフォーミングと呼びます。 彗星パンドラの接近によって発生したこの事態は、パンドラフォーミングなのか。 恐怖の結末が見えてきた中で、主人公たちはどうするのか。 この本は四分冊の前半二冊です。後半の展開はどうなるでしょうか。 そうそう、「ハードSFの極北!」とは、エライ持ち上げ方ですねぇ。(笑) (08/5/16) |
| Ver. 2.20 |
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| 管理番号:T019-024・025 | 15 ハードSF | 出版社:早川書房 | |||||||
| 書名:パンドラ3 | 早川文庫JA909 タ4-24 早川文庫6194 | ISBN978-4-15-030909-1 C0193 | |||||||
| 価格:700Yen | ページ数:363P | 本のサイズ:文庫 | |||||||
| 初版発行:2007/12/25 | 購入:2007/12/8 | 表紙イラスト:岩郷重力 | |||||||
| 書名:パンドラ4 | 早川文庫JA910 タ4-25 早川文庫6195 | ISBN978-4-15-030910-7 C0193 | |||||||
| 価格:700Yen | ページ数:344P | 本のサイズ:文庫 | |||||||
| 初版発行:2007/12/25 | 購入:2007/12/8 | 表紙イラスト:岩郷重力 | |||||||
![]() 彗星パンドラは太陽系の彼方から飛来します。しかしそれは先兵にすぎなかった。パンドラの後から、ほぼ同じ軌道を描いてもう一つの彗星が飛来することが発見されます。発見者が自分の名前を付けることを断固として拒否したために、その彗星は単にパンドラ2と呼ばれます。そのパンドラが地球に接近し、コンタクトが取られたときどうなるか。一つのシミュレーションの結果が朝倉を驚愕させます。 「最も悲観的な条件を採用した場合、20年後に人類は絶滅します」 「では...最も楽観的な条件下で、シミュレーションした場合は?」 「その場合は数値が特定できません。おそらく人類が、絶滅することはないのでしょう。たぶんパンドラ・フォーミングされた地球環境に適応した亜人種が、細々と生きていける程度だと思いますが。全人類の半減期が、数十年から数千年の幅で変動していますので」 「それが楽観的、ですか」 すでに地球に接近して流星雨を起こしたパンドラの先兵が、オーストラリアから東南アジアにかけて猛威を振るい、ジャングルの奥に消えています。その影響下にあったと思われる住民たちから、驚くべき英知を備えた赤ん坊が生まれてくるという予測もある。 この上本番となるパンドラ2が飛来し、その彗星の尾が地球を被ったとき何が起きるのか。 人類は宇宙の彼方でこれを迎撃する方法を模索します。 さて、ここからがいよいよ本格的な谷甲州節です。まあ宇宙戦争となると、この人独特の世界がくっきりしますね。 コミュニケーションの不足、独善的な信頼関係の齟齬。互いに足を引っ張りあい、利害と縄張り意識むき出しの人間模様。 相手の視点に立たない自分だけの視点での描写。そして、狭い船内で少人数による人類の存亡を賭けた戦争。 亜光速にまで達するロケット推進を行えるテクノロジーを持ちつつ、5、6人が搭乗する宇宙機は1Gを遙かに下回る加速で太陽系を進む。 全人類の叡智を結集するという建前で宇宙船を建造できる世界各国にその建造が割り当てられたために、規格品であるはずなのに粗製濫造の役にも立たない機体が作られ、計画は大幅に後退。アメリカの威信、したたかな中国、割り込もうと画策するロシア、実直に貧乏くじを引く日本。結局9隻が3艦隊に別れて進発する予定が、最初の出発時に間に合ったのは日本の「きりしま」一隻のみ。それと、無人のタンカー。 なんだなんだ、こりゃ。 それに、欧州のロケットがすっぽり抜け落ちてはいないか、これ。世界はアメリカとロシアと中国、それにインドと日本と東南アジア、それ以外にも核となる工業国はあるのですけどね。 「きりしま」と言うネーミングはどこから来たのかなぁ。この名が、日本に潜在的な恨みを抱く周辺諸国の抗議を受けないとは、不思議。 「霧島」とは、某国のいう憎き日帝海軍の誇る、第二次大戦で大活躍した高速戦艦の一隻なのですけどね。自分の軍備は棚に上げて日本が何かをすると右傾化・軍国主義と騒ぎ立てる連中が、この名に文句を言わないのかねぇ? 中国製の宇宙機、「長江」と、そこに搭載された二機の小型艇「天狼」と「北辰」が面白い役割を果たしますね。パンドラ2を攻撃する兵器もなかなか面白い。意表を突いたアイディアは、谷甲州さんの十八番かな。 この方のファンにとってはたまらないでしょうね。「黙示録巨編!」というオビの文句も納得できるかな。 鐵太郎は、こういう侵略テーマが、常にアメリカ式に「人類の勝利!」で終わるのがよいとは思いません。 いろいろなアイディアがあっていいし、いろいろな結幕があって良いと思うし、いろいろな哲学があって良いと思う。 スケールが大きくても小さくても、それなりに面白ければいい。 でもね、主人公たちの考え方、行動、生き方。そしてパンドラと人類がどう戦ったか、その結果はどうなったか。 いろいろな面で、この本には共感できなかった。ぼくの楽しめるSFとは違う世界だった。 こんなことも、あるよね。しかたがないな。 (08/5/28) |
| Ver. 2.22 |
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| 管理番号:T019-026 | 23 仮想戦記 | 出版社:中央公論新社 | |||||||
| 書名:翔竜雷撃隊 | 覇者の戦塵1944 | ISBN978-4-12-501051-9 C0293 | |||||||
| C・NOVELS 41-37 | 価格:900Yen | ページ数:213P | 本のサイズ:新書 | ||||||
| 初版発行:2008/9/25 | 購入:2008/11/29 | カバーイラスト:佐藤道明 カバーデザイン:しいばみつお(伸童舎) | |||||||
今回、ニューブリテン島が舞台ですね。まず、昭和18(1943)年12月、ニューブリテン島の密林を歩くラバウル憲兵隊の国枝(くにえだ)軍曹から始まります。 彼は、5人の討伐隊を率いて敵の斥候を追跡し、南東島の海岸に追い詰めます。そこで彼が行ったことが、島の南岸で、米潜水艦が侵入するという情報に従って警備を行っていた第八艦隊の駆潜艇18号の目を引き、現れたアメリカ潜水艦とのささやかな戦闘に至ったのでした。 この駆潜艇の先任将校勝原(かどはら)中尉は、数ヶ月後に給油艦「佐多(さた)」の艦上で、大津(おおつ)予備中尉を迎えることになります。「佐多」は、史実で実際に潜水艦救難設備が装備された艦です。 平行して、九州大分県にある佐伯基地で、不思議な新型兵器の訓練をする梶川一飛曹の描写に移ります。 521空(第521海軍飛行隊)で新鋭の陸上爆撃機「銀河」を保有する彼らに、「翔竜一一型」という大型の奮進爆弾(ロケット弾)の実戦配備と訓練をしろと言う。しかも、未完成・未成熟な兵器を。 憤懣やるかたない彼らに、川島と名乗る特務少尉が不思議なことを言う。「誘導方式の─」と。 これは何を意味するのか。 ![]() ニューブリテン島に進出した521空。 引き上げられたアメリカ、ガトー級潜水艦。 恐るべき、凡人の設計した凡庸な艦。 アメリカ機動部隊の急襲。 暗号表。暗号名。 距離2万メートルでの攻撃。 不思議ですね。 いつもと違う。この本では、いつもの甲州節のくどさがちょっと影を潜めている。(おいおい) 話のつじつまがみんなきれいにあっている。 変だよ?(くすくす) もう一つ変だと思ったこと。守りが堅いはずのラバウル航空隊が、あっさりやられましたな。 まあ、サブの話だから仕方がないにしても、扱いが軽すぎましたね。 ややこしく入り組んでいて、なかなかほぐれないもつれ目みたいな所があるはずのこのシリーズですが、この本はあっさり簡単な話でした。 表紙のイラスト、飛んでいく「翔竜一一型」奮進弾、どこかで見たようなミサイルですね。(笑) (08/12/19) |
| Ver. 2.23 |
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| 管理番号:T019-027 | 23 仮想戦記 | 出版社:中央公論新社 | |||||||
| 書名:マリアナ機動戦 1 | 覇者の戦塵1944 | ISBN978-4-12-501085-4 C0293 | |||||||
| 原題:書名アルファベット (発行) | 翻訳者: | ||||||||
| 本のデータ | 価格:900Yen | ページ数:211P | 本のサイズ:新書 | ||||||
| 初版発行:2009/8/25 | 購入:2009/10/21 | カバーイラスト:佐藤道明 カバーデザイン:しいばみつお(伸童舎) | |||||||
前回から11ヶ月での刊行はちょっとペースアップか、とは作者の弁。生きている限りやめませんよ、という作者の心意気やよし。 さて、主人公となる人は二人かな。 アメリカ軍の情報収集にあたる軍令部特務班の大津予備中尉。トラック環礁への攻撃が続く中で、次の攻撃先がどこであるか、懸命に調査中。潜水艦の通信を調べるという方法によって、どうやら攻撃目標を絞り込めそうになっています。 地上発射式の「翔竜」奮進弾の視察に来たのは、空技廠の技手(ぎて)である竹川。出会った相手が、海兵隊第一連合機動部隊指令の蓮見(はすみ)大佐だと言うんだから、こりゃあただ事ではない。 ただし、この竹川技手はメインじゃないな。 大峰(おおみね)という不思議な改装艦に艦上爆撃機「彗星改」で着艦するのは、香坂大尉。このフネがちょっと特殊。もともとは荒島(あらしま)型防空巡洋艦として起工されたものだが、建造途中に艦の後半分に飛行甲板を設けた航空巡洋艦に改造されたのだそうな。角度を付けた飛行甲板とカタパルトにより、戦闘機と彗星改を運用して艦隊の防空任務に就くほか、もともと搭載されていた31センチ砲三連装三基だった主砲が、後部の一基が撤去されたほか、前部の二基がなんと40センチ連装砲に換装されたという。 この、大津予備中尉と香坂大尉を中心に話が進みます。とはいえ題名通りのマリアナ近海での決戦は、次巻以降に持ち越し。今回はそこまではいきません。戦闘シーンもごくわずか。 各務(かがみ)大佐というとんでもない我が儘陸軍参謀の話が出ますが、本人は出ませんね。この大佐は、アドミラルティ諸島にアメリカが来ると、根拠もなしに断固として主張しているらしい。 突っ込みどころとしては、むろん元防空巡洋艦・大峰ですね。三連装31センチ砲搭載でなんの防空艦なのか。どこが巡洋艦なのか。アラスカ級に対抗したいわゆる超甲巡ならば、単なる巡洋艦という範疇ではない。まして巡洋艦を名乗る防空艦なら、そもそも15センチ砲で十分。それより対空砲である12.7センチ砲か長10センチ砲を、十分な火器管制装置を付けてありったけ並べた方が効果的ではないか。 航空兵装を付けた対艦用の水上打撃艦ならば、「防空」ではなく航空巡洋艦とでもいえばいいのに。それなら40センチ砲に換装しても意味はある。そもそも31センチ砲搭載艦の防空能力では、防空の役には立つまいに。 挿絵を見ても、この艦には対空砲が描かれていないんですよ。変なの。 これにアングルドデッキを付けて、しかもエレベータは二基と相当贅沢。主砲の爆風が大きすぎるので、露天繋止をしないですべての飛行機を艦内の格納庫に収納しなければならなくなった、という設定なのですが、これができるぐらいの大型のフネならば、これはそもそも巡洋艦の大きさではないよ。もともと3万トンクラスの横幅の船体であったのでは。 なんか変です、これ。 あとは、いつもの谷甲州節です。コミュニケーションが上手く取れない主人公たちの、他人の顔色をうかがいつつのまだるっこしい会話の進め方は、谷さん独特ですね。この点は、いつも読んでいて疲れますよ。 こういう書き方は、もう変えようがないのでしょうね、多分。 ま、ストーリー展開はそこそこ面白いんですけどね。 (09/10/21) |