池澤夏樹の声(2001.10.15転載)
以下、作家の池澤夏樹さんの配信されたメールです。小泉首相が全く対話のできない、
ファシスト的なアジテーターであることがとてもよく分かります。
新世紀へようこそ 001<第一回目のはじめに>
この時期に、この世界の動きについて、言いたいことがぽつりぽつりと出てきま す。
われわれは2001年の9月11日から真の21世紀に入りました。
結局のところ人間はこういう形でしか新世紀に入ることができなかった。
今までは、作家という特権的な身分のおかげで、書いたものを発表する場には事欠
かないと思っていましたが、それでは間に合わなくなってきました。二週間先に刊行
される月刊誌では事態の方が変わってしまう。
そこで、しばらくの間、半ば私信のようなこの形式で、考えたことをお送りしま す。
当面は一日一通を目指しますが、ご存じのとおり決して勤勉な性格とは言えないの
で、抜ける日もあるかもしれません。次第に間遠くなることも考えられます。
内容にしても一般メディア以外の情報源があるわけではなく、少々の思考力と同じ
く少々の知識がたよりというだけです。
一回ごとにテーマを限って、文体もメール風に、短く簡潔に書きましょう。
以下に載せる一回目はいささか総論的ですが、後はなるべく各論として具体的に進
めたいと考えています。
もしも幸いにして共感してくださったら、お知り合いの方に転送を。
池澤夏樹
新世紀へようこそ 021 <小泉氏の話法>
今の総理大臣である小泉純一郎氏は二つの話法を持っています。一つは、メモをぼ
そぼそと読み上げるだけの消極的なもの。もう一つは、きっと前をにらんでガンガン
まくしたてる積極話法。 まるで正反対に見えますが、原理は同じです。覚えた内容
についてはまくしたてる。覚えきれなかった場合は読み上げる。どちらの場合も、対
話になっていない点が問題です。国会の答弁を見ていても、質問の内容に対して決し
て直接には答えない。いつも話を逸らす。頭の中に用意してある数個の論旨の一つを
選んで投げ返すだけ。打席に立っているはずなのにバットではなくボールを持ってい
る。ピッチャーを前にしながら自分もピッチャーになってしまう。野球にならない。
しかしながら、小泉氏が頭の中に用意してある数個の論旨はとてもうまくできてい
ます。単純明快で、威勢がいい。対話と説得の言葉ではなく、煽動の言葉です。Aで
ある。従ってBであり、Cである。何が悪いか!
悪いのは、論理を運ぶステップごとに、本来いくつもあったはずの選択肢をすべて
無視して、自分に都合のいいものだけで一直線に組み立てていることです。
具体的に見てみましょう。 小泉氏は言います──
1 テロは悪い。
2 テロは根絶しなければならない。
3 徹底的に戦わなければならない。
4 そのために英米はじめ国際社会が団結し ている。
5 日本だけが何もしないではいられない。
入口はわかりやすい。
「1 テロは悪い」──WTCのあの場面と亡くなった人々のことを考えれば、あ
れが霞ヶ関ビルか、横浜のランドマーク・タワーか、大阪ならば梅田スカイビルだっ
たらと考えれば、誰しも納得します。しかし、一歩引いて考えれば、テロの善し悪し
は立場によります。第二次大戦でナチス・ドイツに占領されたフランスはレジスタン
スで戦いました。ドイツの側から見れば、フランス人がしたことはテロでした。
「2 テロは根絶しなければならない」──テロは天然痘のように根絶できるで
しょうか?テロは社会の底の方から湧いて出ます。収賄や、組織ぐるみの選挙違反
や、援助交際とおなじくらい根絶しにくいものです。
「3 徹底的に戦わなければならない」──勇ましいけれども、戦うにも相手の姿
が見えないのがテロです。正々堂々とは戦わないのがテロなのです。軍事戦略が
通用 しない相手。狂牛病対策に自衛隊を出して牛を撃ちますか?
「4 そのために英米はじめ国際社会が団結している」──国際社会というのは、
お金持ちクラブです。そこに貧国の視点はない。だからこそテロが起こるのです(こ
の話は今月11日に「一か月」というタイトルで書きました)。
「5 日本だけが何もしないではいられない」──ここが小泉氏の論法のもっとも
大きな飛躍です。自衛隊を出す以外の方法は最初から視野に入っていない。おまえも
来るかとボスに言われていそいそと駆け寄る、国としての主体性のない、尻馬に乗る
だけの情けない応対ではないでしょうか。
その自衛隊を出すことについての小泉氏の論。
6 戦闘地域には行きません。
7 武力行使もしません。
8 人道的支援をするだけ。
9 それがなぜいけないのですか!
人の生命がかかっている言葉です。意味は明確でなければいけない。
6 について言えば、戦闘地域はそんなにはっきり定義できません。巡航ミサイル
が発射されるインド洋は戦闘地域ではない? 大砲を撃つところは戦闘地域の外で、
その弾が当たって人が死ぬところが戦闘地域? そんな自分勝手な線引きはないで
しょう。
いかなる線も引けないのがテロです。今回ニューヨークは戦闘地域の中だったので
すか、外だったのですか? 小泉氏が本当に言いたいのは、敵の弾が飛んで来るとこ
ろに自衛隊は行かないということです。では何をしに行くのか。海外に行ったという
実績を作りたいだけ。テロ撲滅について実際には何の効果もない。むしろテロの標的
として日本は名乗りをあげることになるのではないでしょうか。パキスタンの反米デ
モの参加者が掲げたプラカードにKOIZUMIとあったのは何を意味するのでしょう。
「7 武力行使もしません」──では自衛隊員諸君を丸腰で送り出しますか?
ブッシュ氏はこれは戦争だと言っています。そこに丸腰というのは常識に反します。
隊員がかわいそうです。 どこまでが武器使用か? 小銃はよくて、機関銃もよく て、
大砲はだめ? 小泉氏が言っているのは憲法と現実の間をつなぐための、ゴムの
ように伸び縮みする言葉でしかありません。今やもう憲法そのものが伸びきったゴム
輪で、切れる寸前なのですが。
「8 人道的支援をするだけ」──このあたりが最も大きな欺瞞です。人道的とい
う口当たりのいい言葉に気をつけましょう。米軍のために「後方」で食料などを運ぶ
のは人道的でしょうか。本気で人道的支援をするというのなら、アフガニスタンの
人々が今もっとも必要としている小麦粉や井戸掘りの道具をたくさん用意してアフガ
ニスタンに入り、相手の顔を見ながら手渡しで配ってください。なにしろ戦闘地域で
すから相当な危険を伴うと思いますが、人道的にふるまうにはそれくらいの覚悟がい
る。 毛布とテントを隣国の空港に届けたくらいで人道的などと思い上がってはいけ
ない。人道というのはまずもって相手の立場に立つことです。日本国内の問題を(具
体的に言えば憲法と日米安保のねじれを)解消するために、アフガニスタンの餓死寸
前の人々の存在を利用することを人道的とは言えないでしょう。
「9 それがなぜいけないのですか!」──これは問いのように見えますが問いで
はありません。小泉話法による断定の典型です。問いかけるように見えて、実際には
反論を遮断している。
ファシズムは暴論を用いません。その時々、だれにもわかりやすい、国民みんなの
心に響く、情緒的な、一見反論しにくい、聞く者を興奮に誘う話法を使います。
ファシズムとは、一国ぜんぶを巻き込むカルト宗教です。実態は羽毛布団のだまし
売りと同じです。 後になってファシズムを糾弾するのは簡単です。しかし、振り
返ってみれば、その時には国民はこぞって支持したのです。1930年代のドイツで
は、国民の多くがヒトラー氏の政策を歓迎したのです。わかりやすい敵を指さし、戦
いを煽る。みながその気になって棒を持って走り出す。そういう方へ誘導する話法が
あるのです。
ナチス・ドイツが崩壊してから今までの数十年間で広告戦略は格段に進歩しまし
た。買いたくないものを消費者に買わせる誘導的な話法が徹底的に改良されて、今、
ブッシュ氏や小泉氏によって使われています。彼らの背後に広告代理店の有能なディ
レクターの姿がちらほら見えるような巧妙な展開です。
一歩の距離をおいて、冷めた頭で彼らの言うことを聞きましょう。買いたくないも
のを買わされないよう気をつけましょう。
(池澤夏樹 2001−10−14)
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発行:有限会社インパラ
ラオスの様子(2001.10.24転載)
以下、知人からラオス在住の日本人の方に様子を尋ねてもらいました。
「アメリカのテロの事件はラオ人にもある程度は衝撃だったようです。ラオ人の中には、昔アメリカに爆弾を落とされた歴史もあって、「ざまぁみやがれ!」と嬉しそうに話すラオ人もいれば、「かわいそうに」と同情を示すラオ人もいます。が、最終的には「ラオスにいれば大丈夫」でした。
なんだかんだいって保守的な姿勢はこんな所でも垣間見ることができました。まぁそれなりに考えてはいるようですが、所詮私の住んでるところは田舎なんで、しかもラオス(の人々と自分)と直結してないですからね。こんなもんなのかもしれません。」
戦争を巡る対話 7 (2001.11.1)
以下、公共哲学ネットワークのMLへ投稿したものです。
小林さん、29日はありがとうございました。田中甲さんもとても面白かったです。
また、池内さんにも直接お会いしていろいろと伺うことができ、状況の深刻さを一層
感じ取ることができましたし、イランのAさんからは、イスラームの内側から見た状況
をお教えいただいて、さらに立体的な視点を持てたように思います。抽象化された
他者ではなく、具体的に対話する「他者」としてイスラーム世界のひととむきあえる
ことの大切さ、そして可能性を、改めて感じました。
Sさんが提起された「いのちを大事にすることの内実が問われる」という趣旨の
問いかけも、今まさに私たちが直面する問題として、深く心に響いています。
田中さんは小学生時代から政治家を目指し、そのこともあって非常に早く結婚され
たこととか、政治学をされる別の参加者の方にも幼稚園から目指していると教えてい
ただいたり、私にはほとんど想像を超えた別世界でもありましたが、それがまたとて
も刺激的で面白かったです。異文化・異領域が接する楽しさですね。
研究会を通して改めて日本の侵略、原爆、特攻、テロ、そして「いのち」という問
題を考えました。どこかできっと小林さんの提起されている「大和」の問題にも接続
していくと思います。
以前、日本は侵略戦争の最後に、追いつめられて特攻に走ったことが、アメリカの
目から見て今回の事態につながっているということを書きました。確かに自らのいの
ちを投げ出して敵に当たるという点で、そして、それがアメリカにとって悪魔の仕業
であったという点で、両者につながりを見ることができます。
同時にその間にはなにか根本的に異なるものもある。その違いを考える時に、ひと
つ大きな手がかりになると思えることがあります。それは、あの自爆テロの犯人と目
される人物が、実は何年も前に家族でアメリカにやってきて、直前までを家族と共に
暮らしていたらしいことです。その家族を(おそらく故国に)帰して、そして彼らは
自爆へと向かった。
日本の特攻隊の場合、隊員は追いつめられていた。彼らにとって「死」はもはや既
定のものであり、ただそれが早いか遅いかだけの違いに過ぎなかった。家族と切り離
された生活の中で、同じ死ぬのならせめて階級の特進を得て父母に年金を残したいと、
そう思って「一歩前」に踏み出した(目をつぶって志願の意志を表明)例が多いとい
います。玉砕もまた、彼らに精神的な「退路」が残されていない状況での自殺だった。
どちらもある種の自暴自棄がベースにあります。処理しきれなくなった矛盾を自らの
いのちと共に「水に流す」行為といってもいい。
それに比べ、今回の自爆テロの実行者たちは決して「貧しさ」の故に、自暴自棄に
なり、激情に駆られてテロを行ったのではない。教育水準も高く、手に技術も持ち、
すでに西欧社会の中でもそれなりの生活が可能だった人々です。そして、家族との暮
らしという幸せの中に、彼らはいた。その全てと引き替えに、彼らは何かを求めた。
その「精神性」の「深さ」は一体どれほどのものでしょうか?オサマ・ビンラーディ
ンたちは、その「深い」「精神性」をこそ、組織しえているのです。(もちろんそこ
には「私」を越えたという意味での、ある種の「公共性」が成立している)
アメリカという国は、あるいは開拓時代のアメリカ先住民との闘争にその起源を持
つのかもしれませんが、徹底した暴力性を基礎にその民主主義を可能にしている。湾
岸戦争の時も、今回も示された極端に高い戦争支持の世論を、民主主義と切り離して
考えようとする方がありましたが、私は賛成できません。自由と民主を理念とした自
分たちの共同性が脅かされたときに、それは彼らにとってごく自然に、当然のことと
して発動される暴力性であり、その民主主義と何の矛盾もないのだと思います。原爆
投下を彼らが未だに否定できないどころか、むしろ積極的に語り続けることと、それ
は全く整合的な出来事です。
そして今、記者会見の場でアフガンでの民間人誤爆の多さを指摘されたアメリカの
マイヤーズ統合参謀本部長がこう語ったそうです。「意図しない民間人犠牲者の数に
懸念はするが、正直にいえば私の心の中で、もっとも重要な数字は、9月11日にテ
ロリストに意図的に殺された5千人以上という数字だ」(25日)。そこにも同じ精神が
基調として流れていると感ずるのは私だけではないでしょう。
正確な文言は再現できませんが、田中甲さんによれば、オサマは無差別テロを非難
するアメリカの論調に対して「女性や子どもまで原爆で虐殺したアメリカに、そのよ
うなことを言う資格など無い」と語ったそうです。そのことばだけを取り出せば、ほ
とんど否定しようもない主張かもしれません(否定する可能性があるとすれば、「過去
のいきさつによらず、お互いにそれを言う資格は持たねばならない」という形か?)。
(注:下に実際に田中さんから紹介された内容を補足しておきます)
前に「原爆による虐殺を受けながら、私たち日本人は報復へとは向かわなかった。
それが戦後の私たちの培った平和思想への基礎にあった」と書きました。実はそのよ
うな思想が、同時に日本が加害者として現れる侵略の問題についての、極めて不誠
実な態度とも不即不離の関係にあること(山本2001)はとりあえず置くとして(という
か、その点を抜きには本物の思想は生まれないはずですが)、そこから何かを世界に
対して語る責任がある。そういう思いを今も持ちます。
ただ、そう主張する基盤を、私はアメリカやオサマたちの行き方によって、世界は破
滅的な状況へ向かうから、それは避けるべきだという形でしか今は語れない。でも、
きっとそれだけでは弱いのです。そういう言い方だけでは多分今回のテロリストに届か
ない。彼らの「精神性」の「深さ」は越えられない。
かりにテロリスト本人には届きようが無くとも、せめてそれを支持する人々に届くこ
とばがほしい。ではそれをどう深めたらよいのでしょうか?それともそのような作業自
体を、非現実的なものとして放棄すべきなのでしょうか。
注:研究会当日の田中さんによる紹介
「最後にひとつビン・ラディン語録というものがちょっと入手できましたので、
次のお話にもつながると思いますので・・・民間人をテロに巻き込んでいる
ことの批判に対してというインタビューに対して、ビン・ラディン氏はですね、
「攻撃対象に民間人、軍人の区別はしない」といっているのですね。その理
由と聞かれたらですね、「アメリカは広島、長崎で、民間人と軍人の区別ど
ころか赤ん坊も無差別に殺した。したがってアメリカが私のテロを責めるの
は明らかにダブル・スタンダードだ」というビン・ラディンの声明があって・・・」
米国の言論弾圧とそれへの対抗(2001.11.12)
米国の高校生が反戦サークルを作って停学になり、裁判所もその処分を支持したというニュースがありました。
異様な精神状況の中、言論人に対しても圧力がかかってきているようです。
日本でも同様の事態が起こり始めているらしいことが朝日新聞によって報道されました。
私たちは断固として自分たちの言論の自由を守っていかなければなりません。
以下、サイード他が出した声明です。賛同される方はお名前などお送り下さい。
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緊急アピール「アメリカの言論の自由を守れ!」
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Date: Mon, 5 Nov 2001 22:31:38 +0900 (JST)
From: Oil Birds <oilbirds@yahoo.co.jp>
Subject: 転送:アメリカからの呼びかけ「言論の自由」
To: katote@ff.iij4u.or.jp
皆様
アメリカで、ブッシュ政権の外交政策を批判する声をあげている研究者たちに、大学当局などから圧力かかったりし始めたそうです。これに反対し「アカデミズムの自由、市民の自由を守ろう」という大学教員らの声明が回ってきました。簡単な訳と、原文を回します。どうぞ広めていただけます様にお願い致します。
秋林こずえ
コロンビア大学教育学大学院
************************************************
以下の声明に賛同される方は、英語で名前、所属、連絡先をacademicfreedomnow@hotmail.comへ送ってください。
大学関係者も、そうでない方も歓迎です。声明をNYタイムス紙の全面広告または他のメディアに出そうと計画していますが、ご存知の通り、かなりの費用がかかります。カンパは小切手で以下(Academic Freedom Adと書いておいて下さい。)へお願いします。
Center for Economic Research and Social Change
P.O. Box 258082
Chicago, IL 60625
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声 明
9月11日のテロ事件に関して、アメリカ国内の学者、大学教員などアカデミズム関係者の多くが、このテロ事件の原因、意味を問う様々なイベントに参加しています。アメリカがアフガニスタンで戦争をしている今、アカデミズム関係者はこのような行動を続けています。
しかし、これらのイベントの参加者の中には自らの意見を表明したがために、脅迫・攻撃を受ける人たちが出てきました。ニューヨーク市立大学の理事会は、10月はじめの集会でアメリカの外交政策を批判した教員への正式な弾劾を行おうとしています。テキサス大学オースティン校、マサチューセッツ工科大学、ノースキャロライナ大学チャペルヒル校、マサチューセッツ大学アマースト校などでも、同じ様な事が起こっています。AAUP(AmericanAssociation of University Professors、大学教授協会)の理事、ルース・フラワーはボストン・グローブ紙で、これらの動きに懸念を示しています(10月6日)。
ブッシュ政権の戦争政策に疑問を呈したり、反対を表明したりした大学教員に対する攻撃が始まるのと同時に、連邦政府から各大学に学生に関する情報の提供をするように圧力がかかり始めました。議会のなかでも海外からの学生ビザの発行を制限する動きが出てきています。
アカデミズムの自由、市民の自由を擁護するために、研究・教育に携わる人々が声をあげるよう訴えます。これは抽象的な理念だけではなく、実践です。このようなときにこそ、良識ある声、とくに批判的な声をあげる自由を保障するべきではないでしょうか。
<呼びかけ人>
Anatole Anton
Professor of Philosophy, San Francisco State University
Dana Cloud
Associate Professor of Communication, University of Texas at Austin
Donna Flayhan
Assistant Professor of Communication & Media Studies, Goucher College
Phil Gasper
Associate Professor of Philosophy, Notre Dame de Namur University
Richard Gibson
Associate Professor of Social Studies, San Diego State University
William Keach
Professor of English, Brown University
Tom Lewis
Professor of Spanish, University of Iowa
Edward Said
University Professor, Columbia University
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原文
Date: Sun, 28 Oct 2001 16:12:44 -0800
From: Academic Freedom <academicfreedomnow@hotmail.com
To: academicfreedomnow@hotmail.com
Subject: Academic Freedom Statement
The following statement in defense of academic freedom is being circulated by concerned faculty members. If you would like to endorse the statement, please send your name, academic position and affiliation, and contact information to academicfreedomnow@hotmail.com<academicfreedomnow@hotmail.com>
Non-academic endorsers are also welcome.
We hope to publish the statement as a full page ad in the New York Times and possibly other media outlets with the names of hundreds or thousands of endorsers. The cost will be many thousands of dollars. If you would like to make a contribution towards the cost of publishing the statement, please send a check to:
Center for Economic Research and Social Change
P.O. Box 258082
Chicago, IL 60625
Mark your check "Academic Freedom Ad".
Please contact the email address above if you have any questions or comments.
------------------------------------------------------------
To fellow teachers and staff members:
In the crisis precipitated by the terrible events of September 11, members of academic communities across the U.S. have participated in teach-ins, colloquia, demonstrations, and other events aimed at developing an informed critical understanding of what happened and why. Now that the U.S. is waging war in Afghanistan, such activities are continuing.
Unfortunately, some participants in these events have been threatened and attacked for speaking out. Trustees of the City University of New York are planning formal denunciations of faculty members who criticized U.S. foreign policy at a teach-in during the first week in October. There have been similar efforts to silence criticism and dissent at the University of Texas at Austin, MIT, the University of North Carolina at Chapel Hill, the University of Massachusetts at Amherst, and elsewhere. AAUP director of public policy Ruth Flower told the Boston Globe on October 6, "We're watching these developments with a lot of concern."
Attacks on faculty who have questioned or dissented from the Bush administration's current war policy have coincided with other ominous developments. Colleges and universities are being pressured by agencies of the federal government to hand over confidential information from studentfiles. And there are moves in Congress to limit visas for students from abroad.
We call on all members of the the academic community to speak out strongly in defense of academic freedom and civil liberties, not just as an abstract principle but as a practical necessity. At a moment such as this we must make sure that all informed voices-especially those that are critical and dissenting-are heard.
Anatole Anton
Professor of Philosophy, San Francisco State University
Dana Cloud
Associate Professor of Communication, University of Texas at Austin
Donna Flayhan
Assistant Professor of Communication & Media Studies, Goucher College
Phil Gasper
Associate Professor of Philosophy, Notre Dame de Namur University
Richard Gibson
Associate Professor of Social Studies, San Diego State University
William Keach
Professor of English, Brown University
Tom Lewis
Professor of Spanish, University of Iowa
Edward Said
University Professor, Columbia University
**************************************
Patrick G. Coy, Ph.D.
Center for Applied Conflict Management (CACM)
Kent State University
Box 5190
Kent, OH 44242 CACM web site: http://www.kent.edu/cacm
Email:pcoy@kent.edu
Phone: (330) 672-2875 "Research in Social Movements,
__________________________________________________
戦争を巡る対話8 (2002.2.18)
以下は公共哲学ネットワークのメーリングリストへの投稿です。小林正弥さんが同メーリングリストに投稿した時評(このHPにもこちらに転載しています)を読んで、改めてアジアの中での日本の位置の問題を考えて書いたものです。
小林さま みなさま
山本@前橋国際大学 です。
小林さんの時評、いろいろと共感しながら読ませていただきました。
新たな世界秩序形成にむかってのアメリカの暴走を、あらためて
「帝国主義」と位置づけられたところ、とてもしっくりと読めます。
現在の状況がまるでスターウォーズのようであるけれど、
皮肉なことにそこでのアメリカの役割は帝国側だ
ということを誰かが書いていたのを以前に読みましたが、
そういう戯画化のレベルから本格的な議論のレベルまで、
あらゆる面でアメリカは「帝国主義」として人々の前に現れてきているんですね。
なんにせよ、国家単位で考えたときのこれからの世界秩序形成は
アメリカ帝国主義による一極支配に向かおうとする方向と、
ヨーロッパやロシアや中国などを中心とした多極化の方向と、
その二つのせめぎ合いになるのかなと素人ながらに感じていますが、
現在のアメリカの恐ろしい暴走を考えても、
やはり多極化が必要だという気がしています。
秩序の構造としてどちらがより安定的なのかはよくわかりませんが、
少なくとも環境問題などを含めて考えた世界性を持てているのは、
現状ではアメリカではないと思います。
また、あのアメリカの単純な議論では、多様な世界が窒息してしまう。
そんな風に思います。
そんなことを考えるときに改めて思い起こしたのは
この正月に北京で開かれた「日中知の共同体」の会議のことでした。
中国思想史の溝口雄三さんや日本近代思想史の孫歌さん(中国社会科学院)などが
中心になってここ数年にわたって続けられている知の交流活動ですが、
今回中国側がテーマとして設定してきたのが中国の農民問題でした。
今までは戦争責任を巡る問題にずっと焦点を当ててきたので、
この新しい提案は溝口さんにとっても当初大変驚きであったとのことです。
けれども、中国側の主要メンバーの黄平さん(社会科学院。「読書」の編集長)は、
ポストモダンに関する議論が華々しく展開している中国の中で、
農民問題こそが今も、これからも中国が直面している最大の問題の一つである
という議論を必死で展開し、大きな反響と成果を呼んでいます。
今、中国の厳しい現状に真剣に取り組もうとする知識人にとって、
この問題は最大の苦悩のひとつになっているわけです。
彼らから一番苦悩しているその問題について、共に語り合いたいと言われたとすれば、
その苦悩を共有することこそ、日中の知の共同にとってふさわしいことであると、
溝口さんも判断されたようでした。
議論は経済問題から文化の問題まで多岐にわたりましたが、
アメリカの暴走問題に絡んで思い起こしたのは
王建さん(中国マクロ経済研究会秘書長、中国マクロ経済研究基金会秘書長。
中国国家計画経済委員会所属)と温鉄軍さん(国務院農業部農村研究センター等を経て
現在中国経済体制改革研究会所属の雑誌「中国改革」の編集長)の議論でした。
この東アジア地域での経済的な統合を、将来的には通貨統合まで視野に入れつつ
押し進めることが日本にとっても中国にとっても極めて重要だというのが
彼らの主張です。
以下、素人の理解で記憶に頼って書きますので、不正確なところや
大事なところで抜けていることも多いと思いますが、
私が理解したのは大体以下のようなことでした。
(なお、最初の段落部分は話の筋を見やすくするために、以前の会議で黄平さんが
報告して下さった中身を含みます)
中国は周知の通り現在でも一定の高い水準の経済成長を維持しています。
その中国の経済成長の構造として一つの特徴は、
日本などとは異なり、膨大な人口を抱えた農村部、さらには
農村部から都市部への流入人口が大きな市場として
機能し続けることだと言います。
「先進」資本主義諸国が南北格差を利用して外部に市場を確保し、
また安い労働力をそこに求めたりして経済発展を続けてきたのに対し、
中国はある意味で国内にそのような南北構造を持つことによって経済を発展させている。
実はこのような構造は今に始まったことではなく、歴史的にずっと持続しているそうです。
(中国は国としてみるより、少なくとも欧州規模の「世界」として見た方が
いろんな面で適当だと感じます)
ただし、問題は現在進行している南北格差の拡大が、歴史上かつてないほど
激烈なものになってきていること、長い中国の歴史でも全く経験したことのない状況が
現在進行していることだそうです。これにどう対処することができるのか。
現在の好調な経済を背景に楽観的な見方をする人は、
この状態で沿岸部の経済発展を続けていけば、
内陸部の貧困問題に対処できるくらいの国力ができると考えるようです。
そのことによって、農村問題は工業化・都市化の流れの中に解消されるわけです。
(西部大開発のことも当然視野に入っていると思いますが)
これに対して王さんや温さんは全く悲観的です。
その理由は、私の理解できた範囲では大体以下のようなことだったと思います。
中国は13億という膨大な人口(たしか一人っ子政策を続けても16億まではいく予定)
を抱えています。そしてそのうち7割程度が今も農民です。
都市化・工業化によって、その数は確実に減少していきますが、
現在の「先進」諸国のように、その大部分を都市化・工業化の流れの中に吸収することは
今後数十年にわたって不可能だと彼らは判断しています。
ところが農村に残らざるを得ない数億人の農民人口に対して、耕地は圧倒的に少ない。
アメリカの農民がスケールメリットを利用して豊かな収入を得ているようなことは
中国では絶対に不可能だと彼らは言います。
将来的にもその貧困を約束されている農民層に対して、
国が社会保障を行う余裕はこれからも出ないだろうと彼らは考えています。
したがって現在がそうであるように、これからも国民の相当の部分について、
土地(及び親族システム)がほぼ唯一の自前の「社会保障」とならざるを得ず、
その意味でも農民は絶対的に不足する土地に縛られ続けます。
そしてますます都市との経済格差は大きくなり続けるわけです。
定量的な予測の話は会議の性格もあり、そこではほとんど出ませんでしたし、
実際楽観・悲観のどちらの見通しがより合理的であるかは私には判断できませんが、
これは世界レベルで見たときには「先進富裕国」と「後進貧困国」の差が
決して解消されず、今回のテロの一つの背景となるような極めて不安定な状況を作ることが
必然であるという話にもつながるのかも知れません。
そのような構造的な格差を中国社会が今後も抱え続ける中で、
現在中国は段階的に戸籍制度の改革に取り組んでいて、
農民が戸籍上農村に縛られることがなくなってきます。
そうするといずれにせよ現在の盲流以上に余剰労働力が大量に都市部へ流れ込んでくる。
農村は将来にわたってそういう労働力流入の源になり続けます。
この戸籍制度の改革にはそうやって「消費者(市場)を増やす」という狙いもあるようですが、
問題はもちろんその「消費者」を吸収するに足る労働力市場ができるかです。
もともと農村と都市に大きな格差が生じて不安定なところに、
さらに農村が養えずに都市に流入した労働力の吸収がうまくいかなければ
大変な社会不安がそこに発生する。
これにどう対処するかが中国にとって極めて深刻な課題のようでした。
日本の場合同じようなことが起こっても、
国内資本による工業化によってそれを解消できたわけですが
先にも書いたようにどうも中国ではそれは無理だというのが彼らの分析のようです。
その意味で彼らはどうしてもさらに大規模に外資を必要としている。
そこで日本に、もっと本格的に中国でもうけろと言うのです。
ただ、単に資本の獲得ということだけであれば、
その相手先は日本である必要がありません。
しかし彼らはあえて日本を含む東アジアでの経済統合に強くこだわっていました。
その大きな理由と思えたのが、アメリカに対する対抗の必要性ということです。
実は王さんの話は経済の話より、アメリカの軍事戦略の話から始まりました。
今後も相対的に世界経済のトップを行く成長エリアである東アジアに対して、
アメリカはこれから軍事的プレゼンスを必ず強めてくると王さんは言います。
アメリカの狙いは東アジアがそれ自体で相対的に自立した経済圏を作るのを阻止し、
自分たちがリーダーシップを取れる経済圏にすることです。
そのためには一種の冷戦構造をこのアジアで再生産するように動くはずだと
王さんは考えていました。言うまでもなく分断統治をねらってのことです。
もちろん、彼らの世界戦略から言って、アメリカの一極支配(覇権主義)は
決して容認できないものであるはずです。その意識がベースになり、
「当然地理的にも歴史的にも近いもの同士が
地の利、人の利を生かして経済圏を作るべき」と考えているようです。
なにしろ専門外のことなので私の理解がどの程度正確か、
ある程度正確だとして彼らのその見方がどの程度的確かは
私にはよく分かりませんが、
いずれにせよ環境問題に象徴されるように、
地球の未来に対して極めて危険なアメリカの暴走に対しては、
やはりそれを相対化するつながりがどうしても必要ではないかと思います。
そこで東アジアでの関係はまず足下として大事ではないでしょうか。
その意味で、王建さんたちのような議論は
そのマイナス面を含めて真剣に考えて行くべきだという気がしました。