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【4】座位による視点の違い
住宅の中で最初に椅子座が取り入れられたのは食堂である。一般的に普及するのはやはり戦後の51-C型以降で、DKという台所と食堂が合体した部屋にテーブルと椅子が置かれた。それ以前は「畳敷きの部屋」にチャブ台を置いて食事をしていた。さらに明治以前は畳の上に平善を置いて食事をしていたということなので、日本人の食卓はここ100年でかなり変化したようだ。
椅子座と畳座は単に生活様式の違いだけでなく、家の造りにも変化を及ぼした。椅子座を基本とした部屋は床が畳敷きから板敷きとなった。DKは元々板敷きだったところに食堂を組み込んだのですんなり椅子座になったのに対し、居間や寝室が板敷き(フローリングとも言う)に変わるのは高度経済成長期に入ってからである。
床がフローリングになった部屋は、窓の高さも椅子座に適した高さに変化した。51-C型時代の「和室」は、畳座の生活に合わせて窓の高さが400mm程度に開口されていたのに対し、洋間の部屋が主流になる高度経済成長期後は「和室」であっても床から900mm程の高さの腰窓が開口されるようになっていく。

畳敷きの部屋の窓の高さ 洋間の窓の高さ
ここで注目したいのは畳座と椅子座では座ったときの視点の位置が違うというところだ。900mmの高さの窓では床に座っても視界に入るのは壁であり、開放感どころか圧迫感を受ける。畳が敷いてあれば直に床に座りたいところだが、このような腰窓が開口された「和室」は座り心地が悪く、畳敷きではあるものの椅子座向きの部屋となっていたのである。
このような「和室」はカーペットなどが敷かれて洋室化するか、寝るだけの部屋として用途が限定されるか、さらには居室ではなく納戸として使われてしまうケースも出てくる。これは生活スタイルよりも間取り(平面計画)が先行した家造りの弊害と言えるだろう。
「和室」は必ずしも畳座の生活を前提としなくなったと判断できる。
「和室」は建築大辞典にもあるように木造を基調にした部屋であることが多く、大壁の部屋に比べると材料費や大工手間がかさむ。その費用対効果が薄れた使われ方しかしないとなれば、あえて造らないという選択にも納得がいく。
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