現代和室考』 2004年度 建築塾修了論文

 

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【5】「和室」と家具

 「畳敷きの部屋」では畳座の生活が基本で、部屋の中に固定的に置かれる家具は少なかった。この理由としては畳座の生活様式自体があまり家具を必要としていなかった(もちろんチャブ台などの家具は存在したが、使用目的に応じて動かすことができた)ことや、「畳敷きの部屋」が続き間であることが多く、建具で仕切られているために壁が少ないことなどが挙げられる。
 公団住宅の初期(昭和30年代)の2DKでも、入居当時は二部屋ある「和室」で畳座の生活をしていたので、狭いながらもすっきりと暮らしていたと思われる。前項でも述べたが、当時の「和室」は座の空間としてちゃんと設計されていたので、起居様式を変えなければ快適に生活できた。その後、ライフスタイルが洋風化するにつれて、ソファーやベッドなどの生活行為ごとの固定家具が増え、家具に埋もれた生活へと変化していく。
 住宅が物理的に狭かったこともあるが、「畳敷きの部屋」に比べて「和室」は個室化した部屋であるために、壁が多く家具を置くことに対する抵抗感が少なかったことや当時の住宅は押入(収納)が小さかったことも無視できない。

 そもそも6帖や4.5帖といった部屋の広さは、「畳敷きの部屋」としても決して広いとは言えない部屋なのに、そこに固定家具が入ってきたら家具に占拠されたような部屋になってしまうだろう。洋室は家具を置くことが前提の部屋なので、家具が増えてもある程度は我慢できるのに対して、「和室」はそれを前提としていないので、「和室」+固定家具=居心地の悪い部屋→納戸化とう悪循環ができあがる。

 また家具だけでなく、高度経済成長期を経た日本は生活の中に電化製品を始め様々なモノであふれるようになっていく。最近収納率という言葉を聞くことがあるが、これは床面積に対する収納の割合を指す。現在の生活には最低10%の収納面積が必要とされているが、一昔前の住宅は収納率が数%しかなく、所有物の多い現在の生活には収納面積が足りない。十分な収納スペースが確保されてない住宅は住宅自体が納戸化していく。

 固定家具が置かれると「和室」が納戸化していく。


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