現代和室考』 2004年度 建築塾修了論文

 

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【6】高齢化社会と「和室」

 住宅における「和室」の状況について述べてきたが、今後はどうなるのであろうか。来るべき高齢化社会との関係を踏まえつつ展望してみたい。
 2030年には65歳以上の高齢者が全人口の1/3を占めるとの統計学的な予想もあり、高齢者が在宅で元気に暮らせるような住宅造りが目下進行中である。そこでのスローガンは「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」である。この二つの目標を達成するには家の中から段差をなくして、椅子座基本の生活空間の確保が先決であると言われている。

 「バリアフリー」は生活の中で障害となる要素を取り除くことを指すが、ここで槍玉に上がっているのは、「玄関」と「和室」だ。確かに玄関土間や和室と廊下との段差、畳座の生活が高齢者にとって住みづらいということは理解できる。しかしながら「和室」←→「洋室」という構図ができあがってしまっているために、生活しづらい「和室」はなくして「洋室」にすべきだという短絡的な意見が主流となっている。住宅の中の段差は日本の風土や生活風習の中で生じたモノあり、物理的なレベル差だけでなく精神的な意味合いも含まれているはずである。居住者の身体能力を踏まえた上で、総合判断で対処しても遅くないと思われる。また、尺貫法による設計が住宅の廊下を狭くしているとの批判も挙がっており、メーターモジュールを推奨しているが、これに関しては論点がずれているような気がしてならない。
 「ユニバーサルデザイン」は、年齢、能力、障害の有無などによって区別することなく、誰にでも使いやすいデザインを設計の段階から目指した生活環境づくりのことである。「誰にでも使いやすい」という考え方は福祉の世界では非常に重要であると思われるが、慎重にデザインを検討しないと「インターナショナルデザイン」へと発展する可能性がある。特に全人口の1/3が高齢者になるのなら、地域性を加味した「ローカルデザイン」の方向付けも重要だと思われる。

 生活の洋風化、高齢化社会の到来、どちらをとっても「和室」の未来は暗い。しかしながら、畳の上でくつろぐ行為や床の上に地べたに座ることが否定されている訳ではないと思う。この際、戦後に普及してしまった居心地の悪い「和室」は住宅の中から追放することにして、その代わりに「畳敷きの部屋」のエッセンスを再び住宅の中に戻してはどうだろうか。


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