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■建築条件付き住宅
住む場所を決めて土地を探すのは実に大変だ。クライアントは一年以上もの土地探しを経てようやく条件に合った土地にたどり着くことができたが、敷地は小規模開発による7棟分譲住宅地の一区画であった。はじめは分譲ということもあり自由設計をあきらめていたが、事業主の(株)ハセベが予想以上に柔軟な対応をしてくれたおかげで、当事務所の設計で建てることができた。
「建築条件付き」という物件を設計するのは僕自身初めての経験で、どの程度の条件があるのか全く想像も付かなかった。たまたまハセベが「プラスワンシステム」という建物の躯体だけの販売も行っている会社だったので、「分譲」を「プラスワンシステム」+ハセベによる施工という条件だけで設計ができることになった。これはクライアントの特名でハセベに決めることと同じで、制約は皆無に等しいと言えた。逆に標準仕様の設備機器や材料が建て売りの掛け率で入るというメリットがあり、こだわるところそうでない部分を明確に分けることで弾力的な設計をすることができた。
■高断熱・高気密
様々な素材や方法による断熱・気密化が行われている中で何を採用するかがポイントとなった。内断熱と外断熱の断熱方法による性能の違いは大差がないので、気密化の施工性及び断熱材の内部結露のことを考慮してアキレス(株)の外張り断熱ボードを使うことにし、アルデ排気型集中換気システムで常時換気を行うことにした。集中換気システムを適正に動かすには隙間相当面積(C値)2cm2/m2を切る必要性があったが、建物の構造を工夫することで1cm2/m2の性能を確保した。
高断熱・高気密住宅は開口部をできるだけ小さく、気密は高い程良いと思っている人も多いようだが、確かに数値だけで検討すればそういう考え方もあると思う。しかしながら住宅の中で「いかに快適に暮らすのか」が重要で、高断熱・高気密住宅はそのための一つの選択肢にすぎない。つまり高断熱・高気密にしたからといって年中窓を閉めっぱなしにするのではなく、外の方が気持ちのいい季節は窓を開けて自然の風を取り入れればいいと思う。窓を閉め切って生活をしなければならない季節に適正な換気が得られるための気密度と、その土地の室外環境に適した断熱材を使えば十分と考える。
建築技術評論家の南雄三氏は「高断熱・高気密住宅は開けたり、閉めたりが忙しい」と言っている。昔の家でももちろん窓の開け閉めを行っていたが、断熱・気密が低いので、窓を閉めても外部の環境の影響を受けやすかったのに対して、高断熱・高気密住宅では内部の環境を温存できるので、ちょうどいい頃合いに閉めようと思うと案外忙しくなるということである。僕はこの考え方が好きで、この住宅の住まい手も天気をにらみながら、窓を開け閉めしてもらいたいと思っている。
■準耐火構造
平成15年10月より荒川区では新しい防火規制が導入され、準防火地域では木造2階建ての住宅であっても準耐火建築物で建てなければならなくなった。これにより構造となる柱や梁は基本的に耐火被覆を施こさなくてはならない。この住宅も制度導入後に確認申請を出しているので準耐火建築物となっている。2階の梁や柱を一部化粧としているが、耐火被覆分を加味して設計してるので本来必要とされる大きさよりも太くなっている。階段の段板も構造的には40mmもいらないが準耐火性能を確保するためにこの厚みとなった。木造を木造らしく造るのに様々な制約がかかるようになってしまったが、これも時代の流れなのだろう。
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