中山道を歩く 完結編  2009.4 笠原 伸二

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近江高宮―京都三条大橋

200946日(月)

今回が「中山道を歩く」の最終回である。昨年の124日、高宮まで歩いており残り64Kを妻と共に歩くために残しておいた。妻は琵琶湖対岸の大津市和邇(わに)の妹宅に4日から滞在している。98分、近江鉄道高宮駅で妻と合流し今日の宿泊予定地武佐宿をめざす。行程約18Kゆとりを持って歩き始める。高宮は多賀大社の門前町であり近江上布で栄え本庄に次ぐ中山道第二の宿場町であった。たがいに早朝からの出発で小腹がすいたので店を開けたばかりの古い和菓子屋でよもぎ饅頭といちご大福を食べた。街道沿いの圓照寺に立ち寄ると徳川家康が越しかけたと伝えられる「腰掛石」が梅ノ木の根元にたたずむ。多賀大社一の鳥居、昔ながらの提灯屋を見ながら南西に進む。宿のはずれには増水による「川止め」を解消するため彦根藩が造らせた「無賃橋碑」が建つ。わずかに残る「つづら松並木」の高宮布を背負った女性の「おいでやす碑」に見送られ鈴鹿山脈の山並みを左に見ながら進むと丸紅、伊藤忠の創設者となる伊藤長兵衛屋敷跡がある。

愛知川宿を過ぎ、御幸橋を渡った国道8号沿いの店で昼食をとる。食後再び国道を離れ旧道を歩く。途中てんびん棒をかつぎ全国を渡り歩いて財を築いた近江商人の像に出会う。老蘇(おいそ)の森の奥石(おいそ)神社は昔からの信仰を今に伝えている。1510分、歩き出して6時間ほどで武佐宿に着いてしまった。春も深まり日没まで3時間あまりある。明日の歩行予定は34Kとやや妻にとっては長い。無人の武佐駅のベンチに座り二人で相談した結果、先に進み電車でここまで戻って来ることにする。道は国道を通る事が多くなり時々左右に入れ替わって旧道が残る。義経元服の池や古墳の有る「桜生(さくらばさま)史跡公園」を見ながら17時48分、スタートから8時間40分、距離32KJR野洲駅に到着した。近江八幡で近江鉄道に乗り換え1820分、旧旅籠の中村屋旅館に入る。

 

200947日(火)

朝食を済ませ756分、武佐発の電車に乗り昨日のゴールであるJR野洲駅に向かう。

816分、角田夫妻との合流地点JR石山駅をめざして歩き出す。歩いて数分で朝鮮人街道分岐点に到る。守山宿へは1時間ほどで着く。右手に比叡の山並みが見える頃、桜満開の大宝神社を通る。1023分、スタートから2時間7分、距離8K草津宿到着。ここからは東海道と合流して京都に向かう。常夜灯を兼ねた道標には「右東海道いせみち 左中仙道美のじ」と彫られ旅人にとって大切な目安であった。五街道の中で最大規模を誇る本陣は修復保存され多くの人を迎い入れてくれる。街道交流館や無料の休憩場も新たに開設され町として街道文化に取り組む姿勢が強く伺われる。驚いた事に街道が商店街のアーケードとなって賑わっていた。草津宿を離れた頃、前を行く年配のご夫婦と前後しながら歩いた。東京から来られ5年かかってここまで来たとの事。1345分、瀬田の唐橋に到着し、互いに写真を撮り合って別れる。1510分、JR石山駅にて角田先生ご夫妻と合流。琵琶湖に突き出た膳所(ぜぜ)城址公園に寄り道し、大津宿をめざす。1640分、大津駅裏の角田先生宿泊ホテルに到着。スタートから7時間55分、距離25K.で今日のゴールとする。

先生のご好意により愛車「シェンタ君」で和邇まで送って頂き宿泊とする。走っている国道は45年ほど前の高校一年の夏、新潟から大阪の母の実家へサイクリングをした道である。遊泳場のある湖畔のバンガローで一泊したのはどこだったろうか?

 

200948日(水)

琵琶湖を見下ろす高台の妹宅から歩いて5分のJR和邇駅発81分の電車に乗り山科で東海道線に乗り換え836分、JR大津駅に着く。角田夫妻は既に待ち合わせ場所に来られている。848分、三条大橋に向け最後の行程12Kをスタートする。しばらくは交通量の多い国道1号沿いをゆるやかに登りながら歩く。途中には蝉丸神社、逢坂の関碑などがあり東海自然歩道が歩道橋で横切っている。平行して走る京阪京津線の追分駅手前の交番から国道を左に別れ旧道を歩く。JR山科駅前で小休止。1Kほど進んで東海道線をくぐり、御陵付近で三条通から左の旧道を歩く。ところがこれが東海道かと疑りたくなるほどの細くて全く表示の無い道が続く。地元の方に道を尋ねながら不安一杯で歩く。日ノ岡峠にさしかかった辺りで再び三条通に合流する。そこには石畳に荷車のわだちを刻んだモニュメントが置かれていた。あとは三条大橋に向かって大きな通りを下るだけ。左手に広大な京都浄水場が続き蹴上信号を左に曲がる。周囲は満開の桜。めざすゴールは2K余り。はやる気持ちを抑え、計画通り円山公園に立ち寄る。さすが桜の名所、平日にもかかわらず観光客で一杯。有名なしだれ桜の古木をバックに写真を撮り、早々に元の通りに引き返す。

1232分、ついに三条大橋に到着。今日のスタートから3時間44分、距離13.2K標高40M。弥次さん、喜多さんを背に角田先生手作りの「中山道完歩証」を胸に記念撮影。近くの和食の店に入り昼食を取りビールで乾杯。昨年69日から始めた「中山道を歩く」は11泊、21日間、実歩580Kで完結した。道中最大の難所・和田峠と締めくっくりとなる琵琶湖から三条大橋まで一緒に歩いて頂いた角田先生と奥様に感謝いたします。

めでたし、めでたし。