ふってわいたダイエット
去年の11月ごろからはじめたダイエットの話をしよう。私自身、すでに年相応の体型になってきていることは自覚している。が、標準体重は一応キープしてきたので、ここにきてこうも熱心にダイエット食作りに励むことになるとはおもいもよらなかった。きっかけは夫の体調不良だ。夫は私と違って標準体重を二割ほどオーバーした肥満型。しかも、この数年の体重の増え方には急激なものがあった。よく言われることではあるが、肥満はあらゆる習慣病の元凶。それが、突然の血圧の上昇や悪心という症状であらわれだしたのは半年あまり前のことだ。内科医に通っても、特段悪いところはないと言われるし、総合病院のドックで脳を含めた検査を受けても病名が告げられるわけではない。ただ、肥満傾向に追随する自覚症状や数値が散見されるということなのだ。ならば、まずはこの肥満傾向の改善に取り組んでみてはどうかと思った。幸い本人にもその意思がある。ここは頑張りどころだと言えそうだった。
とはいえ、ダイエット法と名のつくものは世の中に数多くある。どんなやり方がいいのか見当もつけられないでいたら、知り合いの若い内科医から糖尿病の患者さんたちのための食事管理法を使ってやってみたらと勧められた。ルールは、たったひとつ。「80キロカロリーを1点と換算して、1日の食事を20点以内に収める」。それだけである。
この食事管理法をはじめる際買い求めたものは、食品交換表とデジタル式の秤である。食品交換表はどの食材が何グラムで80キロカロリーあるのかを示した具体的な資料であり、これがなくては始まらない。ただ、正式な交換表は食品名と80キロカロリー分に相当する重さが羅列されているだけの楽しくないものなので、これは敬遠。女子栄養大学出版会から出されている写真中心のガイドブックを購入することにした。
食材を点数で見直していくということには、すぐハマった。まるで、ありふれた食材が点数という新しい価値をもって私の前にたち現れたかのような、新鮮な体験だった。かたっぱしから食材を秤に載せていくうち、まず、今までいかに無防備に食べ過ぎてきたかを痛感させられた。揚げ物を避けた食事作りを心がけてはいたが、そんな半端な心がけでは話にならない。1人前と思って盛り付けているメインディッシュのその量自体が軽く2〜3人前だったし、そもそもひとつひとつの食材にこんなにカロリーがあるものとは思わなかった。たとえば、ごはん一膳は2点。卵1個、納豆1パックはそれぞれ1点。食パン一枚にバターをぬって食べれば、もう3点。1日20点に抑えるためには1食6〜7点だから、副食に相当の工夫をしないとすぐにカロリーオーバーになってしまう。
具体的に進めたのは、まずおかゆメニューの充実から。なにしろ食べてきた量自体が多い。この量を減らすことが大切なのだが、量的に一気に制約しようとしても長続きしないだろう。ということで、まずは満腹感が得られるおかゆをということになったわけだ。進め方としては、とにかく五倍くらいのかゆを作って朝と夜に必ず膳に出すことからはじめることにした。残りご飯で作るかゆのこともあったし、玄米から炊き込んだかゆのこともあった。幸い夫はかゆが大好きなので、少しもいやな顔をせずに食べてくれる。気をよくした私は図書館でおかゆの本などを借りてきて、中華粥や小豆粥などのバリエーションを工夫することにもなった。副食は煮炊きした野菜と魚介が中心。これについては、低カロリーの副食を新たに学んで、ということは一切していない。自分の従来からもっているバリエーションを見直すようなつもりで作ることを心がけた。青菜の煮浸しや胡麻よごしなどを作る頻度がとても増えたが、ローテーションを充実していくことまでは気にかけないで、「続けてみること」だけを最優先にしたのだ。やがて、今まで自分は何点ぐらいの惣菜を作ってきたのかが大まかにわかるようになり、膳に並べた食事を前に「今日のは、全部食べて6点」などと告げることがいつのまにかできるようになってきた。
さて、夫の食生活の大転換を進める傍らで、子供たちのための食事作りが新たな課題になってくる。食べ盛りの15歳と育ち盛りの10歳の子供たちに同じメニューというわけにはいかないからだ。相対的に今までより野菜が増えるのはよいことだろうが、肉や脂の摂取を必要以上に絞り込むことはない。結果、どうしても夕食メニューは子供向けと大人向けの二種類を用意することになった。これは続けるのがなかなか大変なことで、食事作りのために台所に立つ時間はどうしても増えることになる。それでもなんとか続けてこられたのは、ダイエットをしている本人が協力的だったということと、私が家を空けなければならないような仕事をしていないことによると思う。働く主婦たちに今私がやっているようなことを毎日家に帰ってからやれといっても、これは到底無理な話だ。
あと、もうひとつ。病気になってしまってからの待ったなしの食事管理ではなかったことも、続けられている要因のひとつではないだろうか。くじければ即病気が悪化するというのではつらすぎる。失敗してもまた太るだけという段階であったからこそ、どこかで楽しみながらやれるのだ。
夫が文句もいわずについてきてくれるのにも、実は訳がある。彼の好きなお酒については特に制限してこなかったことだ。「一日に摂取可能な点数内であれば、飲んでいいことにしよう」という提案をしたときの夫の満面の笑みは、今でも忘れられない。彼は今、自分で計量しながらお酒を飲みつづけている。
ダイエットをはじめてから三ヶ月が経過した今、夫の体重は見事に8キロ減っている。目標とする体重までは後6キロ。まさに道半ばであるが、今年の夏には二度目のドック入りをして去年の結果と比べてみるのが今から楽しみである。
最後に、我が家で定番となったおかゆをひとつだけご紹介してみます。
冬ならではの食材を使った、今まさに旬のおかゆです。
大根おろしがゆ
(材料2人前)
残りご飯 2膳
聖護院大根 300g
牡蠣 200g
せり 1束(100g)
(作り方)
残りご飯を土鍋に入れる。
ご飯の量の七倍〜十倍くらいの水を入れてふたをし、火にかける。
八分どおりできたら火を止めて、家族の帰りを待つ。
家族がそろったら土鍋のふたを取り、再び火にかける。
この時、水量が足りなくなっているようなら水を足し入れる。
聖護院大根はフードプロセッサでおろしておく。
牡蠣はおろし大根を少し使ってうまく汚れを取り、水洗いしておく。
せりはざく切りにする。
かゆが温まったところで、おろし大根を惜しげもなく入れてひと混ぜする。
土鍋の周りがくつくつとなってきたら、もうひと混ぜする。
ふたたび土鍋の周りがくつくつとなってきたら、牡蠣を入れてひと混ぜする。
せりを散らして火を止め、土鍋にふたをして膳に出す。
(ポイント)
大根やせりは多めでもカロリー上問題はありません。いっぱい入れていっぱいお代わりしましょう。このおかゆは、1人分で3.5点ほどです。
聖護院大根には、とてもまろやかな味わいがあります。普通の大根でもいいですが、ちょっととげとげした味わいの仕上がりになります。今しか手に入らない聖護院がやっぱりお勧め。東京のデパートでは、小さ目のものが400円くらいで買えます。あなたの町では、どうですか?
02/02/06
02/03/25