| ク ー ル ベ 展 |
| 2001年 11月 4日 大丸ミュージアム梅田 「聖書や神話をモチーフにした宗教画や史実を描いた歴史画、王侯貴族などの上流階級の肖像画など古典主義、ロマン主義が主流の19世紀半ば、「レアリスム」(現実をありのままに描写する)というそれまでの美術界で表現されなかったことを自らの絵画制作のテーマに掲げ、フランス画壇に現れた。」 クールベと云う画家の作品はこれまでにもちょくちょくとは観ていました。印象派絵画の展覧会では必ずといっていいほど観られましたが、いつも数点だけで、クールベの作品が主役になるっていうことはなかったです。華々しい印象派へ続く写実主義の先駆者としての紹介はあっても、あくまでも脇役的な存在でした。そういう意味でも、改めてクールベ展ということで一堂に会するのは楽しみでした。 |
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| 自然を描いたバルビゾン派への先駆者的な云われかたをするだけあって、ありのままの自然を描いています。自然を描くとなると美しい風景にばかり気を取られがちですけど、クールベの風景はゴツゴツとした岩肌から流れる滝、川辺にしてもゴツイ岩壁がそそりたったり、自然にたいする畏敬の念も含めて美しいばかりでない自然を感じさせてくれます。特に海辺の風景。砂浜から水平線を見渡す感じで描かれた海の景色は、クールベ独特といえるでしょう。この構図の作品は何度か他でも観てますけど、どれもどんよりと重くのしかかる空、海の色は青じゃあないんだと言わんばかりの、暗くにごった海。はてしない水平線は、行き着く先のない人間の業ってものを思わされるような怖さがあります。クールベの色合いというのが、また暗い色調なもんだから、余計にその重たさが増すんです。 かと云って、そういう絵ばかりじゃあない。クールベの生誕の地、オルナン・クールベ美術館所蔵の作品がきているというだけあって、故郷の風景を描いた作品も多かったです。オルナンの深い木々に自然たっぷりの風景。その風景は色合いは明るくなくっても、故郷への愛情が伝わってくるものがあります。多かったのが水辺の風景。まあ、川辺を描くってのはバルビゾン派を含めありがちな構図ではありますけど…。 また、故郷にかかるナアン橋を描いたものもいくつか。こういう思い入れがある対象ってのは観ているこちらにもなんだかその気持ちが伝わってきていいもんです。 人物画は、クールベはあんまし上手くなかったのでしょうか。風景画にしても、緻密な描き方はしていないので、あっさりと簡単な描き方が多かったのかな。でも、数点はしっかりと描きこまれたのもあって「仔山羊を抱く村の娘」「オルナンの若い女性の肖像」に自画像と丁寧に描かれていました。宗教画や、史実画全盛の時代にあってこういった農民の姿などの民衆的な作品が、卑俗・野卑だと非難されたところなんでしょう。でもあの無味乾燥的な宗教画が好きでない私にとっては、こういった人間味溢れる作品は大好きです。 今回のチラシ等にも使用された目玉の作品「シヨン城」。何故にこれだけ美しいと思わされるのでしょう。左手のゴツゴツとした岩場、山肌を背にするように、真ん中に水辺に面して立つ城。右手から光があたり、その右手には青く澄んだ水面、そして右奥には白い雪をたたえた山が悠然とたたずんでいます。この明暗の左右対称がその美しさをいっそう引き立ててるよう。そうした対照的な描き方にしろ、構図的な配置にしても、それまでの暗いイメージのクールベの作品とはまた一線のある作品です。この作品はボケ〜と眺めてしまいました。他の作品がどれもこれも暗い色調だったので余計にこの絵に吸い寄せられたんでしょう。 いろんな展覧会で1、2点の作品を観るだけでは印象度も低いし、あんまし気持ちが入ることも少ないですけど、こういった一堂に会しての個展になると、その画家の背景とかストーリーに、画風とか伺えて親近感みたいなものも沸いてきます。これから印象派の絵画展でもクールベの作品を時々観ることはあるでしょうけど、今までとは違った見方になるでしょう。 |
| Created : 17 Nov 2001 | ||