ロバート・キャパ作品展
 
  2002年 2月17日  大丸ミュージアムKYOTO

ロバート・キャパ展としては、数年前に同じく大丸の梅田で大々的に催され、また写真集でも観ているので代表作というのは、だいたい観ているのですが、京都に出たついでにやっぱり気になってフラリと寄ってしまいました。
「ちょっとピンぼけ〜文豪にもなったキャパ〜」という表題。作品としては、第二次大戦の従軍写真が中心となっていました。今回は、キャパの従軍記か、日記でしょうか、翻訳されて写真とともにいくつも並べてあり、写真とともに読んでいると、写真の情景がますます伺える内容でした。

報道写真家として有名なキャパ、とにかくあちこちの戦場へ従軍しています。北アフリカ、シシリー、イギリス、フランス…、偵察隊とともに行軍、またパラシュート部隊とともに自分もパラシュート落下。その写真からはいかにキャパが兵士たちと近くにいたのかが十分にうかがえる。
ただ、戦争の写真といっても、生々しい血みどろ、粉砕した兵士の姿っていのは少ないのです。ひと時の休息をくつろぐ兵士達、行軍する兵士達、捕虜達、避難する住民達、瓦礫の町々、そんな姿が多い。まあ考えたら白兵戦となるような場面ではとても写真写してる場合じゃあないですけど。自らも祖国ハンガリーを追われたキャパは、ナチスに対する思いはひとしおだったことでしょう。
ノルマンディー沿岸 オマハ海岸へのアメリカ軍の上陸作戦「Dデイ」、キャパの写真の中でもひときわ有名な写真です。鉄柱を影に、波うちぎわをはいずり上陸していく兵士達。キャパ自身も同行し、恐怖で震える手で撮り続けた。
  現像の失敗で11枚しか現像できなかったという幻的な作品です。構図も考える暇も無く撮り続けたその写真からは、戦場の緊迫感というのがひしひしと伝わってくる。現像に失敗したというのがなんとも惜しまれる。
戦争の最終的な銃を射撃する最後の兵士、キャパの写真の中でも珍しく銃殺され、流れる血の中に横たわる兵士。まだ若い兵士、もうそこまで自軍が来ていて、銃撃する必要もなかったのに、バルコニーで倒れるその風景には、ただただ空虚感が漂っています。
キャパはアメリカの特派員としてのカメラマンであって、アメリカ雑誌に多く掲載されているためか、そのアメリカからの視点も強く感じられたり、兵士の勇ましさを伺える写真も多いのですが、私が感じるのは、戦争の空しさでした。
パリ開放、行軍する兵士を大歓迎で迎えるパリ市民。建物の隙間、登れるところには全て人人…、その大歓迎ぶりは圧巻です。とにかく侵略をお互いに繰り返してきたヨーロッパ諸国。自由を獲得するということがどういうことなのか、われわれ日本人には実感として認識はできないでしょう。

キャパは日本へも来ており、その時撮った写真もいくつか。親しかった作家ヘミングウェイの写真も。
そして、最後はキャパ生前最後の写真。ベトナム従軍時、地雷を踏んで爆死する直前の写真。兵士達についていって、右手に見える土手にあがろうとして、地雷を踏んだという。最後のネガのコピーもあり、最後の写真へ続く足取りがつづられてるようで、胸の痛む思いでした。

今回の作品は150点あまり、以前観た展覧会の膨大な写真数の印象が強く残っていたし、限られた数の中で選別されてしまっていたりで、ちょっと物足りなさも感じてしまいましたが、久しぶりにじっくりとキャパ作品を鑑賞し、昨年から世界中を震撼させているテロから戦争の現実をあらためて認識させられました。
 
 
  Created : 17 Feb 2002