シャガールの傑作版画展
 
  2000年9月9日  美術館 「えき」 KYOTO

色彩りリトグラフ「ダフニスとクロエ」、三大銅版画集の一つ「聖書」、木版画集「ポエム」、生涯テーマの連作「サーカス」。代表的な連作版画を約200点、なかなかに充実した内容でした。これまで、シャガールの作品は結構観ていますが、これだけまとまってはもちろん始めて。いろんな種類の作品を観られたので楽しめました。
「ダフニスとクロエ」、一つの物語をまるで紙芝居のような、長い連作は見ごたえ十分。シャガールと云われると連想するイメージ、その色鮮やかな色彩に、浮遊しているかのような人物、動物。美術館にしては珍しくBGMが流れる中、なごやかな気持ちで鑑賞できました。物語的には、男女の純粋な恋愛に、ヨーロッパ特有の周りとのドロドロ感も加わり、最後の落ちはなんやあ〜、と先の見える話ではありましたが、青、緑、黄、赤、それぞれが見事にちりばめられた色彩には、やはり感動です。
「聖書」、銅版画ということで、モノクロ。シャガール作品で白黒を観るのは始めてでしたでしょうか。シャガールというとやっぱりあの色彩が特徴と思っているので、今回こういった作品が観られたのは新たな発見でした。題名通り、聖書の物語を連作のようにつづっていった作品群。聖書についてはもちろん数多くの画家が描いていますが、今まで観たのは神聖で高貴な神のイメージ。
  でもシャガールの描く神はどこか親しみがある。丸みのあるような人物画、独特の描き方が、やわらかく、素朴感もある。色つきの人物はかなり簡単に描かれていますが、銅版画では細かく線が描かれ、可愛らしいと云うのは変だけど、なんだか愛敬もあるような神様たちで、ああこういうのもありか、と…。
「ポエム」、これもまた面白い作品群。わりとしっかりと太い線に、木の質感をいかした色付け。「ダフニスとクロエ」の濃厚な色合いとは違い、薄めにあっさりとした色づけ。木の年輪やざらざら感をそのままの木版画、いろんな遊びが見られた作品でした。
次にあったのが、ポスター。これが実にいいんですねえ。シャガールの作品は好きですけど部屋に飾ったりは、ちょっと。今回の連作もののように、いくつも並んでそういった物語を楽しみながら、っていう感じで、1作だけではちょっと、なんて思ってたんですが、このポスターは1作1作がどっしりと存在感あって、実によかったです。じっくりと思わず見入ってしまいました。
最後はサーカスの作品群。ああ、やっぱりシャガールにサーカスものははずせませんね。もともと浮遊感漂う人物たちが、サーカスという題材でますます躍動的に。自由きままな筆のタッチ、円形の劇場をまさに飛び回る人物、動物、そして独特の色合いが幻想感を深めてくれています。サーカスはシャガールにとって生涯のテーマということでしたが、こういう絵をみていると、サーカスからシャガールがただならない刺激を受けていたのがうかがえます。

さて、今回の作品は、今までいだいていたシャガールのイメージの作品だけでなく、いろんな作風が楽しめました。また、連作ものにしても、まああれだけの数を描ききるなあと感心。ものぐさな私は途中で投げ出してしまいそう。その根気強さに妙に?感心でした。
 
 
  Created : 9 Sep 2000