「ダリの世界」展
 
  1999年9月11日  近鉄アート館

スペインが生んだ奇才、サルヴァドール・ダリの絵画展。ダリの初期の作品から、ダリ独特の画風に晩年の作品までを取り揃えた内容でした。ダリと云うとどうしても、眼で見られる物の描写でなく、眼で見たものが様々な連想、遊びによって再現された描写と云うような絵ばかりを思ってしまいますが、今回の幅広い出展の内容によって、新たなダリの側面を見せてもらえました。
初期の作品では、自画像に父親の肖像画など周りの身近な題材を取り上げた作品が多かった。自画像はダリの独特の風貌のギラギラ感が伝わってくるし、父親の肖像画ではダリの父親に対する気持ちなんかが伝わってきます。ダリの人間味を感じさせてくれます。しかし自画像の不自然な感じの首に冷ややかなさめた眼は、ちょっと近寄りがたいイメージで、父親像も恰幅がよく威厳たっぷりで、近寄りがたいイメージが強いです。
これらに対して、彼の妻ガラを描いた作品は、かなり写実的で丁寧に描かれていて、おだやかな雰囲気に包まれた作品が多い。信仰的とまで云われる、ダリの妻に対する深い愛情を感じます。特に「見えない鏡を見つめる後ろ向きの裸のガラ」の静かな優しさには、ダリの他にない側面を見せてくれたように感じました。
ダリの作品に限らず、こういったシュルレアリスムの作家の作品は、我々凡人には理解し難いものです。どう云う意味があるのか、何を意図しているのか、考えても分からん…。ってのがほとんど。人体にぽっかり穴が空いて、棒で支えられたり、それぞれの部分が別の何かの物で描かれてデフォルメされていたり、軟体のように部分がビヨーンと細長くのびていたり…。またダリの絵に時々出てくる特徴的な物で、へにゃっとゆがんでしまっている時計があります。これもどういう意味があるのか分からないけど、物そのものの歪みだけじゃなくって、眼に見えない時間や空間の歪みをも示してるようで、観てるこちらもその時間の無い世界に引き込まれる。
2重像と云うのでしょうか、見方によってはフェルメールの手紙を読む女性と、ベラスケスの髭を生やした男性の肖像に見える絵も面白い。他に、ほとんど同じような絵を二枚並べて見方によって立体的に見えるようにしたりと、ダリの遊び心と云うのかが感じられる。また、自ら生活した建物もデザインしたり、絵画を含めて様々な試みが見られて、いろんな才能を持った人だなあと感服。
シュルレアリスムの作家は私はあまり知らないですが、今までいろいろ見た限りでは、あんましいいなあと思ったことなかったのですが、このダリの絵はいいですねえ。こう云った絵を観る時は、あんまし考えて理解するというより、何か感じられればって云う感じていつも観ているのですが、ダリの絵には心引かれます。観てるといろんな想像の世界が広がってきます。
でも、まあここらへんの絵は私にとって、時々観るのはいいけどいつも部屋に飾っておきたいって云う感じではないですがね。
今回、絵を観ている時警備員のおじさんがなにやらお客さんに絵の説明したり何かガイドみたいなことやってました。結構いかつい感じのおじさんで、説明してたのも女性にばかりでしたが(笑)…、あんな風景初めて観ました。おいおいちゃんと警備しろよ〜って思いましたが、いつも絵画展の警備や整備してる人はほとんど立ちっぱなしで、タイヘンだなあと思ってたし、警備員の人って絵を楽しんでるんだろうかっても思ってたので、まあ絵が分かってる人のようでなんだかこういうのもありかなあと感じました。
 
 
  Created : 12 Sep 1999