| 黄金期フランドル絵画の 巨匠たち展 |
| 2001年 10月 8日 滋賀県立近代美術館 美術展で滋賀県まで出かけるというのは初めてでした。まあ今まで興味引かれるようなのが少なかったってのもありますが、今回京都に引っ越してだいぶ近くになった気安さもあって出かけてきました。 「文化ゾーン」と名づけられた施設は、美術館をはじめ図書館あり、茶室あり、スポーツ施設もあったのかな、自然に囲まれたたいへんいい環境の中にありました。建物も立派でなかなか粋なものを作ってあり、こういうことに税金使ってくれるのならいいですねえ。 ベルギー北部のアントワープ王立美術館所蔵、ブリューゲル一族の作品をはじめ、フランドルの三巨匠といわれる、ルーベンス、ヴァン・ダイク、ヨルンダーンスを中心に黄金期のフランドルの美術界が紹介されていました。 今回の私のお目当ては、ブリューゲル。ピーテル・ブリューゲルは、フランドルの農民の日常生活や四季の移り変わりなどを詩情豊かに描き、その息子のピーテルとヤンもそれぞれ、父親の作品の模写や風景画、花の描写を手掛けたりしています。その後継者も含めたブリューゲル様式の絵画が20点あまりもそろうという、これまたなかなかに貴重な絵画展でした。 まずは肖像画がいくつか。この時代は肖像画も多く描かれたといいます。オランダ同様、海外貿易などの成功によって、豊かになっていった16世紀フランドル。そんな中、肖像画の需要も増えていったようです。写真の無い時代ですから、かなり写実的に描かれたものもあって、特に顔の眼の光、頬の赤らみテカリは見事です。レンブラント等にも通じるような黒を基調とした重厚な絵でした。 で、ブリューゲル一族の作品。今回は、ブリューゲル作品でも特に有名で馴染みのある「ネーデルランドの諺」「野外での農民の婚礼の踊り」等、重要な作品がそろっていたのは嬉しかったですねえ。 |
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| 婚礼の踊りの方は模写ということで、ちょっとそれは残念ではありましたけど、ブリューゲル作品とひとくくりに云っても、ブリューゲル親子を初めその子孫、後継者とこの絵画スタイルが受け継がれて幅広いのです。 「ネーデルランドの諺」についてのその諺の一覧もチラシと共に配られ、皆さんご熱心に絵と見比べてました。私は実物の絵を観るので精一杯。なにせブリューゲルの絵はとにかく人が多い。それも右習えの同じような人物でなくって一人一人個性溢れて描かれているのです。画集やなんかでは小さくてよく見えなったのも、実物は結構大きな絵でしたから、それぞれの表情に仕草が伺えて面白いのです。踊ってる人、驚いてる人、思案にくれる人、なにかたくらんでそうな人…、千差万別の百面相。よくもまあこれだけの人を根気よく描けたものだと感心してしまいます。ブリューゲルの作品はこういった民衆の姿を描いていますが、そこには人の業、エゴイズム等に対する戒めが描かれてもいます。まあ、それだけ、この時代のフランドルが自由で、民衆に活力があったというあらわれなんでしょう。 人々の表情を見るのも面白いですが、それと共に当時の風俗を垣間見られるのも楽しいです。千差万別な分、服装もそれぞれ違うのが楽しめる。この時代の男性のズボンはピッチリとしたタイツで、今みたいにチャックがないから、前はなにやら扉というのか、ついてる。な〜んか笑えます。今やったらあんなの恥ずかしくって穿けません。ファッションというのは、たとえ変でも見栄えが悪くっても流行ってしまえば、それがよく観えてしまうんですなあ〜、いつの時代も…。 他の、ブリューゲル一族の作品としては、「花、果実、野菜の連房に囲まれた聖母子」や風景画など。ヤンが描いた「〜聖母子」は、植物を描くのが得意だったというだけあって、その花、果実、野菜の連房のなんと細かいことか。野菜の葉にしても、果実のテカリ具合にしても、本物と観がまうばかりの緻密さ。さらに、他の一族が描いた風景画にしても、わずか1cm足らずの人物が描かれてましたけど、それがまた細かい。小さいからってごまかしては書いてなく、その小さい中にしっかりとした人物の動きをつけているんです。なんとまあ、ブリューゲル一族というのは、緻密でマメな人たちばっかりだったんですねえ。 さて、その後は、ルーベンス、ヴァン・ダイク、ヨルンダーンスの作品群。ルーベンスは今までも何度となく実物を眼にしてますけど、いつ観ても力強くって、スケールが大きい。キリストまでがっちりと逞しかった…。ただ題材が宗教画が多いので、あんまし宗教画が好きでない私には、いまいちかなあ。 さらに、当時の民衆の繁栄ぶりが伺える作品も。等身大以上にも描かれた家族の肖像。仲睦まじそうな両親、頬のふっくらした子供、またその服装もエリマキトカゲのようなでかいヒラヒラ襟、レース編みの細かい襟・袖の家族の姿。 |
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| また、絵画が壁一面に飾られた部屋を描いた絵もあり、どちらもこの時代のオランダ系絵画展には必ず観られるタイプの作品で、中産階級がいかに豊かだったか伺えます。豊かになって、芸術が発展するってのはいいですねえ。 オランダ絵画が好きな私ですが、フランドル絵画もお隣ですから通じるものもあって、結構好きな雰囲気です。展示数自体は少なかったですけど、なかなか中身の濃い内容でいいものがそろってたました。民衆に活力のある時代っていうのは生き生きしていてそれを絵画を通して感じさせてくれました。 |
| Created : 9 Oct 2001 | ||