ワシントン・ナショナル・ギャラリー展
     
  京都市立美術館  1月30日〜4月4日

ワシントン・ナショナル・ギャラリー(略称NGA)は、メトロポリタン美術館やボストン美術館とならぶ米国最大級のコレクションを誇る美術館です。ワシントンD.C.の中心に位置する同ギャラリーは、鉄鋼、石油、金融などの巨大財閥の総帥であり、財務長官なども務めたアンドリュー・メロンの全面的援助により、1941年に完成しました。メロンは美術館建設に私財を投じ、自ら収集した300点以上にのぼる美術品も寄贈しました。その後も数々のコレクターから寄贈を受け、半世紀の間に、パリのルーブル美術館に並び称される、世界屈指のコレクションを形成しています。
  今回のこの展覧会は、美術館の改修工事にともない、空前の規模での貸し出しが実現したものです。モネ、ルノワール、ピサロ、セザンヌ等といった日本人好みの印象派巨匠の第一級作品が一堂に公開されました。今回の作品の中での目玉は、なんと云っても、フェルメールの油彩、「手紙を書く女性」でしょう。
フェルメールファンの私としては、もう願ってもない展覧会でした。現存するフェルメール作品は、世界に30数点しかなく、所蔵美術館外に出品されることはほとんどない、美術愛好家にとってはたまらないものです。日本では実に12年ぶりの
 
フェルメール「手紙を書く女性」
公開であり、私はフェルメール作品を始めてまじかで見れるということで、とても楽しみに見に行きました。
フェルメール作品だけでなく、最近には珍しく質の高い作品が並びとても見ごたえがあり、最後のフェルメール作品につくまでずいぶん時間がかかってしまいました。16世紀から18世紀のオールドマスターの傑作の中にまじり、しかしまるで床の間にでも飾ってあるかのように、部屋の突き当たりの一番奥に1点静かに鎮座していました。この絵が目に入った瞬間何か待ち焦がれた人にやっと会えたようにドキッとして、もう周りの絵は眼中に無く、一直線に絵の前まで行くと、どのくらい見ていたでしょうか、見飽きることが無いホントに。女性にそそぐ一瞬の光、卓上の宝石や箱の金具の光の反射光の魔術師フェルメールの真骨頂が存分に味わえ至福のひ
  ととき。激しい情熱や強烈なインパクトと云うのはないですが、その一瞬をとらえた静かな緊張感とあざやかな光の輝きは見るものを引き付けて止みません。今までは画集だけでその絵を味わっていたつもりでしたが、実物は比べ物にならないすばらしさ。やはり実物を見ないことには話
になりません。特にフェルメールのように微妙な光を扱う画家の絵は実物でないとその本当の良さが分からないと云うこと実感しました。17世紀中頃の絵ですが、みずみずしさもそのままに、今も私たちを感動させてくれます。他の絵を見終わった後も、何度も近くから遠くからながめ
まわし、とても満足しました。フェルメールばかりに注目していましたが、他作品もめったに味わえない第一級作品がそろいました。私が気に入
ったのはルノワールの作品です。「髪を編む若い女性」に息子ジャンの肖像、ガブリエルの肖像等。どれもルノワー
  ルの特徴が十分にでている油がのった傑作で、中でも息子ジャンとガブリエルの肖像画は、ルノワールの愛情や優しさがあふれています。やわらかな鮮やかな色彩に、愛敬あるというのか、優しい眼差し。じっと見ていても飽きることもなく、心あたたまる作品で、とても気に入りました。私は以前は、印象派と云うと日本人は何でもありがたがって、買いあさったりと、目に余る行為が嫌であまりしっかりと観ていなかったのです。しかし、実際に現物を観るようになると、やはりいいですね。私は、印象派ではルノワールの他にセザンヌが好きなんですが、今回はセザンヌの作品も何点かあり、あれもこれもとじっくり観たい作品が多くて、ひとまわりするのにずいぶん時間がかかりました
  他に良かった作品は、モネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」に「太鼓橋」、ドガの「バレエの前」ピサロやコローの作品も良かったです。今回の絵画展は、印象派ファンには最高ではなかったでしょうか。これだけの作品が一堂に会すると云うのは日本ではなかなかおめにかかれないでしょう。
フェルメールの作品は今回の絵画展には特別出展ということで、NGAの皆様に感謝感謝…
私にとっては一石二鳥のような感じでした。
 
 
  Created : 26 Apr 1999