大原美術館鑑賞
 
  大原美術館は、1930年11月、倉敷紡績二代目社長・大原孫三郎により、前年に死去した友人の洋画家・児島虎次郎の業績を記念して大原の故郷・倉敷に設立された日本で最初の西洋近代美術館です。西洋美術の本格的なコレクションがなく、洋画を学ぶ人達にとって不便だった当時の日本の状況をかねてより残念に思っていた児島は、1919年の渡欧の際、大原に現地での美術品収集を進言します。大原の経済的援助を受け、児島は二度にわたり渡欧。1923年までに100点を越す西洋美術の収集を行いました。
その収集品は、エル・グレコ、ゴーギャン、ロートレックなど今日の大原美術館の中核をなすものが多く、また古代オリエント美術のコレクションも注目すべきものがあります。
第二次大戦後、孫三郎の子・大原総一郎は先代の意志をつぎ、さらにコレクションを充実させる目的で、西洋近代、20世紀以降の現代美術、近代日本洋画の代表作、先史イラン、古代中国の美術、工芸作品など広範囲にわたっています。今日では、民間の美術館としてはきわめて多彩で総合的な美術館として発展したのです。
                            大原美術館パンフレットより抜粋
 
  1999年5月3日

大原美術館は以前から行ってみたい美術館で、ようやくと云うか急に思い立って見に行ってきました。さすがにゴールデンウィーク、人が多かったですね。大原美術館は特に倉敷美観地区のど真ん中に建ってるので、美観地区の観光のついでに観に来てるって云う感じの人が多く、人がじっくり観てるのに、横で子どもらがバタバタ走り周るは、ちゃんと観てんのかなあと思うような、さっさと通りすぎる人達、美術鑑賞としては、あまり落ち着いてじっくりと観れる雰囲気ではなかったです。

所蔵品としては、さすがにいいものがそろってました。ルノワール、モネ、セザンヌ、ユトリロ、ピサロ、ロートレック、モディリアーニ等など、それぞれ数点ずつでしたが誰でもが知っているのばかりしかも各画家の特徴がよくでている質のいい作品がずらり、う〜ん見ごたえありました。よく絵画展のありがちなパターンで、印象派と名うって、ルノワールとかくると紹介があって行ってみると、確かにルノワールはあるけど、らしさが全然でていない小品でがっかりって云うのがあります。しかし、この大原美術館の所蔵品はすばらしかったです。寄贈でなくって、買い集めたと云うことですが、よっぽどの大金持だったんですねえ〜。

私が気に入った作品はモネの「睡蓮」。今までモネの睡蓮関係の作品はいくつか観ましたけど、今回のが一番気に入りました。奥の方は淡い緑、そしてだんだんと手前になると深い青緑になる水面、静かに浮かぶ睡蓮の葉、いやあ〜画面の構成に微妙な色合いのすばらしさ、観れば観るほどじわ〜っと味わいがでてくる作品で、何でもない睡蓮の水面を絵にするとこんなに味わい深くなるとは。セザンヌの風景画、その名も「風景」。そのままやんけ、と思いつつも、セザンヌの作品は本物を見るたびに好きになります。今回のは、油絵の具べた塗りでなくって白いキャンバスがだいぶのぞく水彩画のスケッチ風。う〜んいいですねえ。色合い的にはちょっと暗い感じもあったけど、家々の赤い屋根と土壁がはえ、やんわりとした雰囲気がなんとも暖かく感じさせます。
ピサロの作品も良かったです。2点、どちらも田舎の風景を描いたものでしたが、ピサロ独特の光があたり、ホントに眩しいばかりの日差し、そして対照的な日陰とのコントラスト、印象的な抽象的な絵なんですが、すごく質感って云うかが伝わってきてその風景が実感として感じられ、良かったです。
他では、佐伯祐三の作品2点も、とても特徴の出た1級品と云える作品。キリコの作品が見れたのも嬉しかった。日本の画家についてはあんまし知らないのですが名前だけは聞いた事或る人がずらり、どれもこれも市場に出たら高そう、今これだけの作品そろえようと思ってもそうそう買えないでしょう。とてもじゃないけど、一般人の我々が個人で所有できる状態じゃあないですねえ。こういう絵が自分の家で飾れて日々眺められたらなあ、とよく思います。まあレプリカで我慢するしかないで
すかね。

しかし、本館の他に分館、工芸館、東洋館と広くって、せっかく来たんだから全部観るぞーと、頑張ってみて周りましたがさすがに少々お疲れ。分館にあった日本の現代美術は、私としてはいまいち。ああいうのはよくわかりません。幾何学的って云うのか、超感覚的な作品ばかりでおもしろいなあと思うのはあっても、いいなあとは思えなかった。だんだん疲れてきた頭には響いてくるものはなかったです。
なにはともあれ、西洋の代表的な油絵から、日本の西洋画家、棟方志功を始めとする工芸品まで幅広い所蔵品で、そこらへんの公立美術館よりもよっぽど充実していました。やはりこういうのは金次第って事ですかね。倉敷の美観地区、チボリ公園に寄った時には是非大原美術館にも寄るといいでし
ょう。幅広くそして貴重な作品群が拝めます。
 
 
  Created : 12 May 1999