オルセー美術館展 1999
 
  1999年 8月21日 オルセー美術館展1999
                 神戸市立博物館

なんだかずいぶん久しぶりの美術展。’96年の同時期にもオルセー美術館展開催されましたが、過去の美術展の観客動員数でも4位くらいでしたかに入る観客動員数で大盛況だったと云うことで、その第二弾で再びと云ったみえみえの企画。前回の展覧会では、オルセーが世界に誇る超一級の数々が全く見られず、オルセーの名にしてはかなり不満の残る内容で、そういう声もかなり聞こえてきましたが、今回はその不満を解消してくれるかと楽しみに行ってきました。

いつもながら、土曜の午前中人の少ない時間をねらって行きましたが、やはりそれでもかなりの人で帰る12時頃になると一番前に行って観られないような混みようで、今回もまたまた大盛況の様子でした。
さて注目の今回の出展作品はと云うと、まあかなりいい作品はきていました。ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャン、日本人好みの画家の1級品がそれぞれ2、3点ずつでしたがそろい、楽しめました。ただ、全体的にインパクトは弱かったと云うのか、今回の展覧会では何をテーマにしたかったのかいまいち伝わってこない内容。いちよう「近代社会の時代精神を浮き彫りにしよう…」と云うことで近代作品中心でしたが、もうちょい絞るかしてほしかったです。
  今回の出展作で特に気に入ったのが、セザンヌの「レスタックから見たマルセイユ湾の眺め」と、ゴッホの「星降る夜、アルル」の2点。セザンヌ作品は以前から好きですが、今回のこの風景画も最高。水面の青さ、その後ろに見える山々の青さ、そして前景の赤茶けた土に緑の木々、その色の微妙なバランスは見事。斜めにはしる海岸線の構図も良く、心安らかに気持ちの和む作品でした。
ゴッホの作品はあまりにも有名な1点。それまで画集等の印刷なんかで見たことはありましたが、その夜景の暗さのギスギスしたイメージがあったんですが、実物はやはり違います。河畔の夜空に輝く星と、対岸の灯が河に映るその輝き、一瞬見ただけでゾクゾクっとさせられました。間近で見ると、濃厚な筆のタッチが楽しめ、遠くから見るとどっしりとした存在感と吸い込まれるような黄色い光りの輝きにただただ溜め息でした。
全作品1周見終わった後も、この2点の前に立ち帰りどのくらい見ていたでしょうか、私と同様に立ちつくすどこかのおじさんと二人並んで、ボケーと見とれてしまいました。
他の作品で気に入ったのは、ルノワールの「若い女性のトルソ、陽の効果」に、ロートレックの「赤毛の女」。知らなかった画家では、ヴィルヘルム・ハンマースホイの「休息」。これは解説にもありましたが、私の大好きなフェルメールの影響を受けていると云う日常の一時の室内の景色。灰色の壁と薄暗い室内、こちらに背を向けてイスに座る女性一人。静かな沈黙に緊張感も漂わせ、なかなかいい絵でした。
前回のオルセー展でもありましたが、いろんな有名な建物の鳥瞰図に計画案の図。タイヘン細かく綺麗に描かれていて、こういうのも一つの美術品として観ることが出来るのかと云うその幅の広さには、恐れ入ります。
あと面白かったのは、1800年代後半から1900年代初頭にかけてのモノクロ写真。当時の風俗や生活風景が楽しめました。ああいった古い写真を見るのは大好きで、若い農婦の可愛らしい姿、農民たちのたくましい姿。いろいろ演出が加えられてると云うことですが、今でも東欧あたりの田舎に行けば出会えそうな人々の姿はとてもいいですねえ。

絵画展を見た後は決まって気に入った作品の絵葉書を買うのですが、ゴッホにセザンヌの絵葉書はやはりいまいち。どうしてもギスギスした色合いになって、あの微妙な見事な色は出せないですね。特に本物を見た後では、なおさら実感。
まあ今回の美術展は結構満足させてもらいました。でもまだまだオルセーが所蔵する作品のほんの一部。恐るべしオルセー。なんだか出し惜しみされてるようで、不満は残りますが、昨今のあまりにも高騰する絵画の値段を考えると仕方ないのでしょうか。
 
 
  Created : 22 Aug 1999