A Field of Wisteria
イタリアの映画

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イル・ポスティーノ   小さな旅人
ニューシネマ・パラダイス   マルセリーノ・パーネヴィーノ
明日を夢見て   サン・ロレンツォの夜
みんな元気   ライフ・イズ・ビューティフル
雨上がりの駅で   BARに灯ともる頃
木靴の樹   海の上のピアニスト


 

イル・ポスティーノ イタリア 1995年 監督:マイケル・ラドフォード チラシ
イタリアの貧しい小さな島に突然、世界的に有名な詩人ネルーダが国を追われ滞在することに。世界中の彼のファンから山のような郵便が届きます。その郵便の配達に雇われたのが漁師もせず、ちょっと貧相な青年マリオ。彼は毎日郵便を届けるうちに詩人から、いろいろ詩の手ほどきをうけるようになります。そんな折、青年は村の居酒屋の娘に恋をするのです。彼女の気を引くため彼は詩人に教えてもらいながら彼女に”言葉”を贈っていくのです…。
島のすばらしい景色に、アコーディオンやピアノをおりまぜたすばらしい音楽が見事にはまり、そ
の映像だけでジーンと目がうるんできます。
ストーリーとしては、多少退屈なところがあるかもしれませんがじわりと、静かな感動がせまります。私の好きなシーンは、詩人ネルーダが島を去った後、最後のあたりマリオが誰のでもない自らの詩を見つけ、波の音、風の音、星の音、父の悲しき網の音、お腹の子供の鼓動、を丁寧に録音していくシーン。そして最後に党の集会で騒動に巻き込まれ…、彼を想い一人海辺を歩く詩人の姿。涙が次々と溢れてきて、いつまでも心地よい余韻が残りました。
主役のマリオ役は、この映画撮影後翌日に亡くなったマッシモ・トロイージ、ネルーダ役は「ニューシネマ・パラダイス」でも全世界を涙でさそった名優フィルップ・ノワレが、まさに適役の名演技。イタリア映画史にも残る名作と言えるのではないでしょうか。

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ニューシネマ・パラダイス イタリア 1989年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ チラシ
1989年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。アカデミー外国語映画賞受賞。
私に映画のすばらしさを、おおいにしらしめてくれた映画です。
それまでは、映画と云ってもアメリカのアクション系くらいでこの映画を知ったことによって、ヨーロッパ映画のすばらしさにひかれ、以後ヨーロッパ映画を観ていくきっかけになりました。
シチリアの小さな町の映画館パラダイス座が舞台。そこでかかる映画は名作ぞろい。映画マニアの人にとっては、その上映される数シーンがたまらないものでしょう。50年代のまだ検閲の厳しい中、映画に情熱を傾けつづける主人公の映画技師アルフレード、そして映画館に通いつづけアルフレードと親密になっていく少年”トト”の名演。成長続けるトトと、アルフレードの心暖まるふれあいが、すばらしい音楽ととけあい、まさに傑作の誕生。
とにかく、映画を愛する人たちの気持ちが、痛いくらい胸にせまり、特にラストのシーン、アルフレードが熟年になったトトに残した映像、検閲によってカットしたキスシーンの数々は涙なしに観れません。

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明日を夢見て      イタリア 1995年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ チラシ
映画を愛するトルナトーレ監督の映画への思いをまた痛切に感じさせてくれます。
1953年第二次世界大戦直後のイタリアのシチリア島。ローマの映画会社から新人俳優のオーディションにやってきたと語るジョー・モレッリと云う男が、古ぼけたトラックにカメラ機材一式・大量のフィルムを積んでやってくる。そこは田舎町、全盛のハリウッド映画に憧れる貧しい人々がカメラの前に立ちます。孫を売り込もうとする老人、娘をスターにするためジョーに体を与える母親、口を閉ざしていた老人もカメラの前では堰を切ったように語り出す。みんな明日のスターを夢見て…
しかし、ジョーの正体は実は詐欺師。撮影代だけとって、フィルムは使用済みのフィルム。そんな事は知らない村人達は、カメラの前で必死に演技し、真実を語り、熱い思いを語るのです。そしてあまりにも純真無垢な女の子ベアータはジョーを信じて、真剣に愛してしまい、ジョーについて旅をする。最後に訪れるのはむなしい悲劇、全ての思いが打ち砕かれ…
ジョーのカメラの前に集まる人々の表情が実にいい。老若男女の喜怒哀楽、そんな素朴な人々の姿には心温まります。そしてオンボロトラックが走りぬけるシチリアの景色も実に味わい深くいいです。最後のベアータに対するジョーの態度には少々納得いかないものもありますが…

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みんな元気 イタリア 1990年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ チラシ
映画への思いを感じさせながら、イタリアの今の姿、様々な問題をとりあげています。
イタリア、シチリアに住む老人マッテオ。彼にはイタリア全土に散らばり暮らす5人の子供がいる。夏休みの終わりになっても誰一人帰って来なかった。そこでマッテオは自分から子供たちを訪ねて驚かせてやろうと思い立つ。彼の願いはただ一つ、家族そろってひとつのテーブルにつくこと。シチリアを出発して、イタリア全土を旅する老人の眼に映ったのは…
人間の温かさに、現実の冷酷さ。子供たちを探し回るマッテオをめぐる人生の哀愁。それをユーモラスな語り口にファンタジックな映像もおりまぜながら、イタリアの現実の姿を見る事ができます。最後には一人寂しく我が家へ帰る老人、寂しげなその姿には切ない思いがつのります。
ミスターイタリア、マルチェロ・マストロヤンニ、「ニューシネマ・パラダイス」のトト少年サルヴァトーレ・カシオがいい味わいを見せてくれます。

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木靴の樹 イタリア 1978年 監督:エルマンノ・オルミ チラシ
’78年、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。他多数受賞。
「19世紀末、北イタリアのロンバルディア地方の農園。地主のために働く貧しい4家族。たんたんとつづられる物語でありながら、誕生・愛・争い・よろこび・悲哀・結婚・死・別れ・そして土への愛が一瞬も美しさを失わない映像で詩い語られる。19世紀末の物語ではあるが、1931年生まれの作者オルミが、20年心にあたためつづけ、実話の集積として映像化した」(チラシより)
ほんものの農民たちが演じる主人公たちは、素朴で力強く、自然光だけで撮影されたという四季の自然はあまりにも美しい。
ヨーロッパでは時々こういった、叙事詩的な大河ロマン的な作品を作りますが、その映像美にはいつも圧倒されてしまいます。貧しい生活、荒涼とした自然は美しいながらもじめじめとした質感が重たい。その中でひたむきに生きていく人々の姿。少年ミネクの素朴なその姿には涙さそわれます。ヨーロッパの風土を思いっきり体感してみてください。

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小さな旅人 イタリア 1992年 監督:ジャンニ・アメリオ チラシ
私の大好きな映画の一つです。
憲兵と姉弟のやりとりだけを見れば、とても心暖まるロードムービーとしてとてもすがすがしい気分にさせてくれる反面、背景となるイタリアの経済の二重構造、女性差別など大きな社会問題も内包している問題作とも云えます。
しょっぱなから、いきなり母親に売春を強要される少女が登場。その具体的な描写は画面上ではない。そこがスタート。北イタリア・ミラノ市から南イタリア・シチリアまでのイタリア半島を縦断する旅がはじまるのです。ただでさえ傷ついているのに、弟の愛憎の混じった非難のある態度で反目しあう姉弟、そしてそれを仲介するかのような青年憲兵アントニオ。しだいに子供たちの心を和らげる彼。それは傍から見るとまるで親子の旅と見間違うかのよう…。この旅は姉弟の和解の旅でもあったのでしょうか。最後の弟にそっと服をかけてやり、並んで腰をおろす姉弟の景色はなんとも心打たれます。小さな旅人がたどり着いたのは…
憲兵アントニオ役の青年が実にいい。あまりにも正直すぎてちょっと要領の悪いところもあって、同僚に子供二人をまかせられてしまう。しかしそんな正直な彼だからこそ子供達の心を開かせたのか。旅の途中にたちよるアントニオの実家、そこにはイタリアの家族が、そして祖母とアントニオのやりとり。さらに、海辺でのアントニオが少年に泳ぎを教えるシーン、海辺のレストランでジョークをやりあう二人と晴々とした少女の表情、姉弟二人の過酷で静かな葛藤を含んでいるだけに、実に心暖まるシーンです。
最後はそんな夢のような時間から、一転現実に引き戻されてしまいますが、いつまでも心に残る映画でした。

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マルセリーノ・パーネヴィーノ イタリア 1991年 監督:ルイジ・コメンチーニ チラシ
単なるおとぎばなしとだけでとは云えない優しいノスタルジーと、ユーモラスなかわいらしさに溢れ、宗教的要素も多く含んだ作品。
「マルセリーノ・パーネヴィーノ」(パンとワイン)は、14世紀イタリア中部ウンブリア地方で起きた奇跡、伝説と云われています。映画では設定を17世紀にしています。小さな田舎町、丘の上の修道院には11人の修道士が暮らしていました。ある朝キャベツ畑に赤ん坊が捨てられていた。修道士たちはその子にマルセリーノと名づけると、子育てがはじまるのです。マルセリーノに夢中になり、清らかで温かい愛情をそそぐ11人の父親。しかしマルセリーノはやがてまだ見ぬ母を求めて、心さまよい、そして現実に旅にでてしまう…
今も中世の町並みと緑豊かな自然が残るウンブリアの素朴でほのぼのとした温かな景色。慣れない子育てに夢中になる修道士たちの、ちょっとコミカルな優しさに溢れた姿が微笑ましい。そして、マルセリーノ役の少年、5000人の中から選ばれたと云う、あまりにも純粋な輝きのつぶらな瞳はホントに修道士たちの天使。
最後、屋根裏部屋でキリストの磔像にパンとぶどう酒を差し出すマルセリーノ。「ぼくのママに会わせてください…」。そして奇跡が…。消えてしまったマルセリーノの意味するのは…。

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サン・ロレンツォの夜 イタリア 1982年 監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ チラシ
イタリア中部トスカーナ地方、8月10日聖ロレンツォの日の夜の流れ星に願いを祈れば、願いは必ずかなうと信じられている。
1944年流れ星がふりしきる夏、第二次大戦末期。ナチスドイツとファシストが支配する村を脱出してアメリカ軍を探し求める危険な旅に出た村人達。一人の少女の眼を通した戦争の体験。子供の目を通してとなると、感傷的になったり妙に哀愁みたいなのを強調したりしがちですが、この映画は戦争の残酷さをそのまま描いています。あまりにもあっけなく死んでいく人々。そこには強烈な感情は強調されず、憎しみも無いのにただ殺しあう。敵対する相手だけでなく、同じ村の幼なじみや親戚との、あい撃ち合い傷つけあい、介抱の水を求め合ってはまた殺しあうと云う、かなり残酷なシーン。しかし見事な映像美の中には、泣かせ笑わせる叙情がちりばめられ、残酷さとやさしさと背中合わせになったシーンの連続に、衝撃と感動を味わう映画です。
’82年カンヌ映画祭審査員特別大賞受賞。

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BARに灯ともる頃   イタリア 1989年 監督:エットーレ・スコラ チラシ
”ここに、あったかいイタリアがある”
とっても味わい深い映画です。マルチェロ・マストロヤンニ、マッシモ・トロイージの共演と云うだけでその雰囲気が伝わってきます。’89年ヴェネツィア映画祭で主演男優賞をW受賞した二人の名演はみもの。
イタリアの小さな港町チヴィタヴェッキア。そこで兵役中の息子ミケーレを訪ねて、ローマから父親がやってくる。逞しくなった息子を誇らしく思う父、穏やかで久しぶりの再開に気恥ずかしい息子。そんな二人の親子水入らずの一日。
港まで散歩して、そして近くのレストランで昼食。そこで語り合う二人。父からのプレゼントにはしゃぐミケーレの姿は微笑ましい。町を散歩する道々、木馬に乗って子供のようにはしゃぐコミカルなシーン、二人一緒におどけた写真を撮ったり、そしてちょっと些細な事から口論になってしまう。ミケーレの彼女の家を強引に訪問してしまう二人。彼女役は、映画「ニキータ」の女殺し屋で一躍有名になった女優アンヌ・パリロー。父の突飛な質問に大笑いし、飛んだキャラクターで、親子二人だけのところに新鮮なエッセンスを加えてくれます。
夕暮れ時、最後に二人が訪れたのは、ミケーレの馴染みの「BAR」。すっかり土地に馴染み、父の知らなかったその姿に…
ああいう
BARって云うのはヨーロッパにはどこでも見られますが、日本ではみられないものです。ちょっと閉鎖的なところもあるのですが、ほんとに寛いでゆったりとわいわいと楽しめ、羨ましい空間です。穏やかな景色、穏やかな人々、イタリア庶民のあったかさを映し出す名作。

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海の上のピアニスト イタリア 1999年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ チラシ
トルナトーレ監督がまたすばらしい映画を作ってくれました。
’99年イタリア・シルヴァー・リボン賞6部門受賞。イタリア・アカデミー賞5部門受賞。
1900年、大西洋を往復する豪華客船ヴァージニアン号で生まれ、生涯一度も船を下りなかったピアニスト、その名はナイティーンハンドレッド(1900)。ピアノの上に、生まれたてで置き去りにされた彼は、ボイラーマンに拾われ育てられる。ボイラーマンの死後、ピアノの才能を開花させ、ホールのバンドマンの一人として活躍。しだいにその演奏が評判になり、名だたるジャズマンが勝負に挑んでくる。一人の少女に寄せるあわい恋など、孤独な一人の男の姿が、バンドマンの一人トランペットのマックスによる回想録といった形で語られる。最後には古びた客船が廃船処分されてしまう中、ピアニストは…
今回は豪華客船の映像が、大掛かりなセットによってたいへんスケール感が漂い見事。嵐の中、揺れるホールでピアノを滑らせながら弾くシーン、ジャズマンとのピアノ「決闘」シーンは圧巻。映画の中の曲は、ほとんどが映画のためのオリジナルと云う、いかにも即興演奏の主人公にあったはかなさをも感じさせてくれる、音楽的にも楽しめます。
どの配役も味わい深いですが、やはりなんと云っても、主人公のピアニスト役のティム・ロス。全くピアノが弾けないと云うが、その熱演はすばらしい。また寂寥感漂うその背中、表情がなんとも言えず、その雰囲気が映画全体を包み、味わい深い質感を感じさせてくれました。
最後には、この監督さんのおきまりのお涙頂戴になってしまいましたが、でもやっぱり涙してしまい、とても感動させられました。久しぶりに心から満足して映画館を後にできた作品です。大人のためのホントのロマンティズムに溢れています。

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Last Update : 4 Mar 2001