『深澤学級参観記』から深澤流学級づくり・授業づくりの原理原則を抽出する@
      群馬県太田市立韮川小学校 神藤 晃 〒373-0841 群馬県太田市岩瀬川町548-1
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【朝の挨拶編 P17】
 
 朝行事のマラソン。深澤学級の子どもたちの動きは如何。
 『登校した子はそれぞれ朝行事のために校庭に出ていきます。』

原理原則1 登校したら指示を待たずに行動できるよういしておく。 
 


 
 深澤氏はどのように鍛えたのか。記述がないので勝手に推測する。
 ・推測1 前日(朝のうち)に指示を板書しておいた。
 ・推測2 ダラダラしている子には、朝行事後に深澤氏が「厳しい」指導入れる。
 ・推測3 素早く行動できた子を深澤氏がほめている。
 スタッフ会議で聞いてみたい(推測1じゃないな、きっと)。
 ちなみに神藤の勤務校は朝行事の前に「健康観察」がある。非常に歯がゆい。
 
 朝行事後、深澤学級の子どもたちはただでは教室に入れない。
 『・・・一クラスだけ校庭に残っています。深澤学級の子ども達です。』

原理原則2 朝行事直後に指導を入れる。
 


 
 行事の直後だから指導も効く。1時間目に食い込まないように、例にのよって「短くスパッ」と指導を入れるのだろう。
 神藤も行事直後にその場で指導を入れるようにした。次は避難訓練での指導である。
 「(全員をその場に座らせてから)全員、起立。消防署の方のお話をしっかりした態度で聞けたと自信を持っていえる人は座りなさい。」
 全員立ったまま。
 「自信がない人は座りなさい。」
 全員が座る。
 「世の中に職業は数えられないほどたくさんあります。その中で、『死ぬこと』をいつも意識しなければならない職業がいくつかあります。分かる人は立ちなさい。
 ・警察官、・自衛官、・消防署員等
 「航空自衛隊のパイロットが、戦闘機の操縦をやめて地上での仕事に移ることが決まったときの話だそうです。その話を聞いてから、奥さんがとても明るくなったそうです。いつも不安そうでおどどしていたのに。不思議に思った娘がどうしてか聞いたそうです。『お父さんはさみしそうなのに、なんで』って。」
 以下省略する。要するに、命がけの仕事をしている方々に対する態度としてそれでいいのか、ということである(説教くさいな)。
 
 さて、羽鳥氏から挨拶を受けた子どもたちの反応が書かれている。
 『「おはようございます!」と、大きな凛とした挨拶の声が帰ってきます。』

原理原則3 大きい声で挨拶をさせる。
 


 
 基本中の基本である。森信三氏の「三つのしつけ」の第一である。深澤氏はどのような指導をしているのか。
 ・推測1 深澤氏自ら大きな声で挨拶している。
 ・推測2 挨拶しない子へ「厳しい」指導を入れる。
 ・推測3 挨拶でいた子を大いにほめる。
 おそらく2と3の両方だろう。「厳しい」突っ込みも深澤流のジョークを交えたものだと思う。授業が知的で、生活上の指導も明快なことも子どもが明るい理由だろう。
 
 教室に入る。深澤氏を待つ子どもたちの様子はどうか。
 『子ども達は皆、席についてまっています。』

原理原則4 子どもが席について待っている状態を作り出す。 
 


 
 恐るべきことである。チャイムと同時に授業を始めていてさえ、神藤学級では何人かパラパラと席を離れている。深澤流「突っ込み」が入るのだろうか。分からない。
 
 
 
 
 
 
【朝の挨拶編 P18】
 教室への入り方も深澤氏は「常人」とは違う(個人崇拝ではない。「普通の人」ではないという意味である。)。
 『深澤氏は後ろの入り口から入ってきます。』

原理原則5 教室へは後ろの入り口から入る(そのまんま)。
 


 
 多少の緊張感は演出できる。神藤だって時々やる。違うのはその後のはずだ。何か「やる」はずだ。そう思って次の行を読んだ。
 
 案の上である。深澤氏は「仕掛け」た。
 『入るなり深澤氏はクラス全員に仕掛けます。』

原理原則6 朝の挨拶の号令は立候補ジャンケン制。
 


 
 子どもたちがやりたがる点がすごい。低・中学年ならともかく、6年生である。「やる気」がみなぎっている。
 なぜか。
 深澤氏がほめているからだろう。深澤氏はときどき大げさにほめる。神藤も時々スタッフ会議でやられることがある。「この人(深澤氏)、変だ。」と思って吹き出してしまう。あまりにも突拍子もないことを言い出すからだ。中途半端なほめ方はしない。ジョークだと分かっていても心地よくなってしまう。
(これじゃあ、「原理原則」にならないか。ま、いいや。)
 
 教室に入ってから号令をかける子を決めて教卓の前に着くまでの間。深澤氏はどれくらいの時間をかけたのか。
 『時間にして5秒くらいでした。』

原理原則7 子どもに対しても「スピード」を要求する。 
 


 
 「早くしなさい」などと間違っても言わないだろう。当然、待つこともしない。
 その繰り返しで子どもが鍛えられるのだろう。それしても5秒というのはSF的だ。
 
※秋に佐野小の運動会を見学した。深澤学級の子どもはホントに動きが早い。
 

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【授業前の連絡編 P19】
 
 二時間目のALTとの英語の授業。その連絡を深澤氏は何から始めたか。
 『いきなり、下のように板書し始めました。』

原理原則1 用件からズバッと入る。趣意の説明すら後回し。
 


 
 「趣意説明の原則」というのがある。深澤氏も確かに趣意は説明している。しかし、板書が先だ。
 『子どもの目は黒板に集中』と、その様子を羽鳥氏は描写している。
 「前置きなし」は法則化教師なら誰でも知っている。しかし、前置きなしで「説明」している場合が多いのではないか(神藤はそうだった。佐野小運動会での深澤氏の指示の出し方を見るまでは・・・)。
 深澤氏はいきなり指示や行動からは入っていく。
 
 板書の順番、つまり深澤氏が子ども達に仕事内容を示す順番はどうか。
 『よびにいく はじめ おわり おくる 通訳』

原理原則2 仕事は時系列で示す。しかし、決めるのは一番重要なものが先。
 


 
 「微妙な呼吸・笑いのツボ・深澤流のジョーク」と羽鳥氏は指摘している。
 係の決め方全体についての指摘か、「通訳を先に決める」ことへの指摘か文脈からは分からない。
 「通訳を先に決める」、これは微妙な呼吸ではあるが「笑い」でも「ジョーク」でもない。仕事の処理の仕方の定石の一つである。
 つまり、「優先順位をつけて最重要課題から処理せよ」である。
 (5分の隙間時間にちょっとした仕事を片付ける場合ももちろんあるが・・)
 この場合、通訳の係が一番重要なのだ。その証拠に「よびにく・はじめ・おわり」は立候補ジャンケン制だが、「通訳」だけ決め方が違う。英語を習っている子を立たせる→条件を厳しくしていく→二名に絞り込む。
 だから、通訳を一番先に決めたのは仕事を処理する定石だったのだ(羽鳥氏の解釈は如何に)。
 
 さて、相変わらず深澤氏はスピード重視である。
 『子どもにとってみれば、教師に集中しなければ、事はどんどん進んでしまうのです。』

原理原則3 構わずに先にいく。待たない。
 


 
 参観記の中で何度も出てくるので、説明の必要はないだろう。とにかく深澤氏は何でも早い。スタッフ会議でレポートに目を通すのも、指導案の代案を示すのも、居酒屋で飲み物を注文をするのも。では、ついていけない子は置いてきぼりか。否である。
【授業前の連絡編 P20】
 次々と係が決まっていく。そして最後の場面。
 『「では送りに行く人?職員室まで。」残りの多くの子が立つ。「じゃその人全員で送りに行って。」』

原理原則4 フォローは最後にとっておく。
 


 
 二つポイントがある。一つ目は「必ずフォローをする」ことである。
 超特急で係が決められていく。追いつけない子がいるかもしれない。あるいは、希望の係になれなかった子だっている。
 深澤氏は「じゃその人全員で送りに行って。」の一言でこの子達を救っている(立候補のチャンスは1回か、はじめの希望に外れたらすぐ第二希望へ立候補していいのかという点は不明だが。後者だとしたら不公平である。)
 二つ目は「最後にとっておく」ことである。
 これが、「通訳」と「おくりにいく」が逆だったらどうだろうか。
 最後に大変な仕事が残る(深澤学級の子どもにとっては、そうでもないか。)
 最初に重要課題を処理する。最後に優しい仕事を決めることでフォローを入れる。 羽鳥氏は書いている。「ALTの先生もうれそうでした」と。
 子どももうれしい。ALTの先生もうれしい。しかも、テンポよく楽しく係が決まっていく。なんてうらやましいクラスだ。
 
 深澤流朝の連絡術。羽鳥氏は次のようにまとめている。
 『役を決めるのにかかった時間は、ビデオで確かめると、2分40秒間ほどでした。』
 『みんなには話しておいたが、(羽鳥を指し)空手の有段者、怒ると牛を殺したという(爆笑)。・・・』
 『紹介が終わったとたん、一時間目の始業のチャイムです。』

原理原則5 何事に置いてもスピーディーに。しかもユーモアを忘れない。
 


 
 ここまで書いてきて、「原理原則」というテーマをやめようかと思ってきた。やはりこれは「名人芸」だ。普遍性をもつ、つまり追試すれば全国どこのクラスでも通用する「原理原則」とは言えないんじゃないか。そう思ってきた。
 しかし、現象面ではそうだが、教育技術を分析したり深澤氏の教育観を探ることは神藤にもできる。続けることにする。
 深澤氏のスピーディーぶりは何回も触れてきた。多くの方々もご存じだ。では、なぜ早いのか(=早くする必要があるのか。いかにして早くするのか)。
 なぜ、早くする必要があるのか。
 ・推測1 深澤氏自身、気が短い。
 ・推測2 単に忙しい。
 ・推測3 子どもを鍛えるため。
 おそらくすべてだ。
 深澤氏は頭の回転が速い。
→短い時間で膨大なデータや様々な事象を処理できる。
→そうすると、悠長にのんびりやっているのが我慢できない。
→したがって、もどかしく感じる。
 だからといって、深澤氏が「怒った」のを神藤は見たことがない。
 以前、レポートを300枚印刷して持参しなければならなかったとき、神藤がそれを忘れたことがあった。深澤氏はコンビニまでつきあって下さり、300枚コピーするのを待っていて下さった。
 気が短いというのはいわゆる「短気」というより、次の定義の方が正確だと思う。
 つまり、

深澤氏には時間が早く流れている。
 


 
のである。
 次に、いかにして早くするのか。
 ・推測1 その場で一瞬のうちに手順を組み立ててしまう。
 ・推測2 前もって考えておく。
 矛盾する言い方だが両方だ。どちらの場合もあるというより、どちらでもあるのだ。
 つまり、職員室から教室まで歩いていく間に考えてしまうのではないか。
 以前(こればっかり)、スタッフ会議に深澤氏が授業プランを出したことがあった。そのときの深澤氏の説明がそうだった。曰く「歩いている間に考えたんだけど・・・」 一瞬のうちに組み立てるとも言えるし、前もって考えておくとも言えるというのはそういう意味だ。
 少なくともこの日の連絡については、教室に入る前までにはすべての手順が深澤氏の頭の中で整えられていたはずだ。
 そうでなければ、こんな芸当は不可能だ。(深澤氏は「違う」と言うかもしれない) 深澤氏は次の内容を「歩いている間に」計算したと推測する。
 ・始業時刻を確認する(8時45分)。
 →連絡内容を確認する(朝の挨拶、係決め、羽鳥氏の紹介)
 →優先順位を決定する(@朝の挨拶、A係決め、B羽鳥氏の紹介)
 →係決めの手順を考える(何の仕事があるか、何から優先させていくか等)
 →羽鳥氏をどう紹介するか(空手の有段者だ。牛を殺したことがある等)
 →時間配分をどうするか(朝の挨拶決めは5秒、係決めは・・・)
 始業時刻から手順を割り出していくと推測するが、どうだろうか。「最後の場面を想定」してから取りかかるのである。
 
 「個人崇拝」を厳に戒めるのが深澤氏である。次回以降、あら探しもしてみたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

『深澤学級参観記』から深澤流学級づくり・授業づくりの原理原則を抽出するB
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【国語編 P13】
 
 「深澤学級参観記その3」は次の文章から始まる。
 『8時44分、始業のチャイム。「国語やりますが・・・」』

原理原則1 始業のチャイムとともに授業を始める。前置きは一切なし。
 


 
 当然のことである。「起立、礼」などとやっていたら授業に緊張感がなくなる。
 
 最初の指示に次の部分がある。
 『はい覚えている人たちます。』

原理原則2 発問したら動作化させる。  
 


 
 子どもは発問内容に集中する。誰が覚えていて誰が覚えていないか一目で分かる。教室にも緊張感が走る。
 
 このときのIさんに対する言葉がけがある。
 『Iさんは知らない。昨日学校さぼったから。』

原理原則3 発問・指示の後にフォローを忘れない。
 


 
 学校を休んだから覚えていないのであれば、座っていることの理由付けをしている優しいフォロー(突っ込み?)である。単に覚えていないのであれば、座っていてもボーっとしている暇を与えない厳しいフォローである。
 
 板書は次の順で進めている。
 『6年のスタート』→『中学に近い』→『にあたっての決意』

原理原則4 ネタは小出しにする。最後に一番重要な情報を与える。 
 


 
 これが「今日は中学に近い6年生のスタートにあたっての決意を書いてもらいます。」と言ったらどうだろう。決して悪くはないが、授業の出だしとしては緊張感がずいぶん違ってくる。
 
 子どもに読ませるときも、ただ読ませはしない。
 『ハキハキと、美しく。日本語で。』

原理原則5 黒板の文を読むときでさえ、指導を入れる。
 


 
 日常の指導に「詰め」があるかないか。優れた指導にはこういう細かいところで「詰め」が入る。深澤氏の指事も実に短く、文章を通しても小気味よい。
【国語編 P14】
 
 一連の授業の流れをみると、深澤氏の動きは実に無駄がない。授業がシステム化されている。システム化するとは、「パーツを組み合わせて目的のために効率よく機能させる」ことである。
 教師と子ども、両者の動きを図示する。
 
流れ    決意を書く  →  決意を清書する  →  200字作文を書く
 
深澤氏 指示  指導・評定  指示・紙を切る  紙を貼る  作文指導                 
子ども  調べる   板書する    清書する 紙を貼る 200字作文を書く

原理原則6 パーツを組み合わせて授業をシステム化させる。
 


 
 空白の時間がないから子どもが集中する。いつもそのようにしているから、指示されなくても子どもが色画用紙に清書する。少し勉強している教師なら「流れ」は考えることができる。ある程度、力のある教師なら指示を出す・紙を貼るなどの「パーツ」を考えることができる。しかし、全国レベルで通用する教師でなくては「パーツを組み合わせて効率よく機能させること」はできない。
 「決意」が書けた最初の合格者に次のことをさせている。

原理原則7 子どもの意見は子どもに板書させる。同じものは書かせない。
 


 
 先日、道徳の研究授業を参観した。典型的な「副読本型」の授業で、最初から最後まで一問一答形式。子どもの意見はすべて教師が板書していた。
 子どもが板書すると、俄然、教室全体の空気が躍動する。
 
【国語編 P15】
 
 200字作文の指導中、深澤氏はいくつか指導を入れている。
 『これは関係ないじゃない。』

原理原則8 子どもに考えさせたり作業させたりするときは範囲を限定する。 
 


 
 限定するから子どもは詳しく書くことができる。作文の質も上がる。200字という限定、一枚に一場面という限定。「限定」することで子どもを鍛えていく。
 
 深澤氏は途中で次のようにも聞いている。
 『まだ一つ目の人。』

原理原則9 作業を指示したら、どれくらい進んだか途中でチェックする。  
 


 
 深澤氏の辞書に「させっぱなし」の文字はない。だから、子どもは「動く」のだ。
 これは、職場での仕事でもサークルの仕事も同様である。
 
 
 子どもへのコメントも短い。

原理原則10 コメントは短く。
 


 
 長いコメントは授業の緊張感を崩す。それにしても数秒のコメントとは。速読でもできるのだろうか。
 
 
【国語編 P16〜17】
 余談だが、ビデオカメラの位置については『研究授業の技術』(明治図書)にもあったから、定石なのだろう。
 
 さらに作文中の、深澤氏の謎の言葉。
 『伝令』『受付・書類』・・・

原理原則11 仕事の分担はいつチェックを受けるか分からない。 
 


 
 確かに、こうした緊張場面は子どもたちを鍛える。
 しかし、そのためにこの方法は子どもの思考を中断させる。早めに授業が終わったときや休職の準備時間など、全員がそろっている隙間の時間にやればよい。
 もっとも、その程度の深澤氏の「授業妨害行為」に動じないまでに子どもは鍛えられているのあろう。
 期間指導中の深澤氏の指導言。
 『上履きがなければ裸足になれ、と言ってるんだよ、K君。』

原理原則12 乱れの兆しは小さいうちに徹底して断つ
 


 
 それにしても厳しい言葉だ。神藤の力量では、言葉通りには追試はできない。このあたり、「名人芸」だな。真似すると火傷をする。
 
【国語編 P18】
 ある子が書き方を友達にきたときの深澤氏の対応。
 『教えるなよーママ。自分で調べさせるんだ、力があれば。』

原理原則13 自分のことは自分でさせる。ただし、力があれば
 


 
 子どもが「先生、○○って漢字、どうやって書くんですか。」と聞いてきたとき、神藤は国語辞典を渡す。おかげで漢字の書き方を聞かれなくなった。ちょっと、似ているかな。
 
【国語編 P19】
 日記指導の場面。N君に対する深澤氏の対応。
 『N君にだけ聞こえる声だ。近くの子には聞こえない。』

原理原則14 プライバシーに関わるような内容の指導は、教師と子どもの二人だ       けの間のものとする。
 



 
 あるいは、N君は配慮を要する子なのかもしれない。レポートの文章だけからは判断できないが。

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【社会編 P20】
 授業は深澤氏の次の言葉で始まる。
 『今日はとても難しいから、みんなの持ってる参考書じゃ歯が立たないですね。』

原理原則1 授業の冒頭から挑発する。
 


 
 教室には緊張が走っただろう。
 「今日はいったい何をするんだ」子どもたちは知的好奇心に火が付いただろう。
 深澤実践を分析・追求していく上でのキーワードはこうした「挑発」である。
 深澤氏は子どもたちを挑発する。しかし、必ず子どもたちに「壁」を乗り越えさせたはずだ。達成感、充実感、成就感を味わわせたはずだ。奈良の土作氏風に言えば、「セルフエスティーム」を高めたはずだ。
 深澤氏は子どもに成功感を味わわせているから深澤学級の子どもたちは氏の「挑発」に負けないのだ。
 挑発しただけで、「壁」を乗り越えさせることができないから大怪我をする。
 「挑発」の表面的な追試だけでなく、その裏にある「挑発を乗り越える子どもの育て方」を明らかにしていく必要がある。
 それは、「個と心の糸を結ぶ」以外に、クラス全体対深澤氏の関係であるはずだ。
 佐野小の運動会で見た(といっても、後片付けだけだが)子どもたちの動きは、「個と心の糸を結ぶ」だけでは不可能だ。それくらい鍛えられていた(説得力ないな)。
 
 次にしたのは板書である。
 『そして黒板に向かい、次のように板書する。戦国の世

原理原則2 余計なことを言わないで、まず黒板に書いて注意を引きつける。
 


 
 深澤氏がたびたび使う手法である。
 教師はどうしてもいろいろと説明したがる。
 子どもにしてみれば「結局どういうことなんだ」と言いたくなる(描写なら話は別)。 深澤氏の話し方もそうだ。まず、結論をズバッと言う。説明は後回し。これだから深澤氏の授業も講座もテンポがいいのだろう。
 (「結論先行型」の話し方はB型の特徴だそうな。関係ないか。)
 
 発表のさせ方は定石を使っている。
 『はい、立ちます。(略・神藤)同じ人は座って下さい。』

原理原則3 発表のさせ方の定石=「同じ人は座りなさい。」
 


 
 テンポがよくなる。友達の発表を聞くようになる。発表の「もれ」がなくなる。
 ここは時間をかける(内部情報の蓄積を促す)ところではないのでので、指名なし発表などやらない方がよい。
 
 
 細かいことだが、子どもの発言箇所には特徴がある。
 『はい。島津貴久』『はい。武田信玄』『はい。北条早雲』(以下略)

原理原則4 名前を呼ばれたら、「はい」と返事をさせる。 
 


 
 森信三氏の「しつけの三原則」である。説明不要である。
 しかし、神藤は次のように突っ込む(1年生でも敬語を使わせる)。
  神藤 「島津貴久?」
子ども「です。」
  神藤 「続けて言うと?」
  子ども「島津貴久です。」
 
【社会編 P21】
 そして、深澤氏の「わけの分からない絵による発問」がある。
 『はい、これは何でしょう』

原理原則5 ユーモアと厳しさと優しさで鍛える。
 


 
 羽鳥氏は「ユーモアである」と述べている。
 神藤は厳しさと優しさも含まれていると考える(あるいはそれがユーモアなのか)。
 何が何でも発表しなくてはいけないというのが厳しさ。間違えても恥ずかしい思いをしなくてよい(もともと「わけが分からない絵」だから)のが優しさ。
 深澤氏の「突っ込み」はユーモアにあふれている。そう感じるのは優しさと厳しさが同居しているからだ(体験者は語る)。
 
 深澤氏の教室の一風景が描写されている。
 『H君は自分の参考書を見ながら』

原理原則6 授業では机の上に参考書(おそらく辞書も)を備えさせる。
 


 
 問題は使いこなせるように鍛えていけるかだ。
 神藤はなかなかうまくいかない。
 辞書なら付箋を貼らせる実践が有名だが、参考書もそうなのだろうか。
 当然使い初めた子どもを大いに誉めているはずだ。それ以外にどんな鍛え方をしているのだろう。
 神藤は今年1年生担任だ。1年生で辞書を使うことに挑戦してみようと思う。
 
【社会編 P22】
 深澤氏は「ときどき」子どもを誉める(実際には頻繁に誉めているのかもしれないが、羽鳥氏のレポートを読む限りでは、挑発するケースが多い)。

原理原則6 ときどき真剣に誉める。 
 


 
 普段、けなしているわけではない。念のため。
 「真剣に」というのは、「誉めた方が子どもがのびるからそうする」という教育技術の問題ではない。
 子どもの「箕輪城」という発言は並のレベルではない。よく勉強している。
 挑発もするが、努力している子どもは「真剣に」誉めるのである。
 心にもない誉め言葉かそうでないかは子どもはすぐ分かる。
 
【社会編 P23】
 社会の授業に資料は欠かせない。
 『今から倉賀野城を見せる。』

原理原則7 資料は「本物」を使う。
 


 
 心ある教師の常識・定石・誠意である(神藤はなかなかできないけど)。
 
【社会編 P24】
 深澤氏は質問を受け付ける。
 『あと3秒ね。』

原理原則8 時間の猶予は秒単位。
 


 
 スタッフ会議でもたびだたび出る深澤節。
 「まだ、レポート見終わってないの。あと何秒ほしい。」
 ユーモアであるが、限られた時間で集中するという厳しい指導でもある。
 
 「全部分かんない」という子に対する深澤氏の指導。
 『これ読めるか?(その子:倉賀野城)わかるじゃない。』

原理原則9 「全部わからない」という逃げを許さない。 
 


 
 同時に「○○なら分かる」と自覚させる優しさでもある。
 
【社会編 P25】
 作業の途中での深澤氏の指示。
 『途中の人も色鉛筆を置きます。』

原理原則10 作業時間が終わったら、道具を置かせる。
 


 
 若い教師は「作業をやめなさい。」と言いがちだ。
 どうなるか。
 子どもは色鉛筆を持ったままだ。当然、作業をやめない子も出てくる。
 どうなるか。
 注意をしなければならなくなる。
 どうなるか。
 授業がだれる。
 どうすればよかったのか。
 「行為」を含む指示を出せばよい。それが「○○を置きなさい」という指示である。
 指示を出したら、全員が従っているか確認する。
 若い教師は徹底できないうちに、次のことを話し始める。
 どうなるか。
 やはり、授業はぐちゃぐちゃになる。
 教師の指示は明確に、しかも徹底させなければならない。
(『まるどう』読者には釈迦に説法だ)
 
【社会編 P26】
 深澤氏の説明に対して、なかなか答えが分からない子どもたちに一言。
 『これ、秘密にしておこう。』

原理原則11 授業のメインに時間をかけるため、機を見て打ち切る。
 


 
 何が授業のメインかが分かっていないと、余計なところで時間を使ってしまう。
 研究授業で「導入に時間をかけすぎました」という授業者の「反省」をよく聞く。
 神藤には、「私は授業のメイン部分がどこなのか分からない教師です」という告白としか聞こえない。
 
 元気のいいN君とのやりとり。
 『これがまた教室中に聞こえる「つぶやき」なのだ。』

原理原則12 形はその子だけに、効果は全体に。
 


 
 解説は羽鳥氏に任せる。
 この方法は神藤も時々使う。
 「A君は辞書で意味を調べてる。こういう子は国語の力がどんどん付いてくる。」
 「Bさんは地図帳で位置を確かめてるなあ。やることがちがうんだよなあ。」
 子どもたちは一斉に辞書や地図帳で探し始める。まあ、定石に入るだろう。
 
 歴史好きなY君への深澤氏の対応。
 『彼のプリントを取りあげると廊下へY君を連れ出す』

原理原則13 子どものためなら廊下でさえ活用する。
 


 
 かつて、学級崩壊していた学年を深澤氏が受け持ったときの指導を思い出す。
 「○○君は、教室に残っていなさい」
 そう言うと、深澤氏はクラスの子を引き連れて廊下へ出てしまった。廊下で授業をを続けたという(問題行動のある子どもを廊下に出すのは体罰に当たる)。
 廊下へ出て授業を受けたいという「やんちゃ坊主」の要求を深澤氏は毅然とはねつけたという。
 深澤氏にとっては、教室で授業を行うという「常識」は通用しない。
 
【社会編 P27】
 作業途中での深澤氏のコメント。
『それは重要だ。』『それは5歳の子どもでも分かる。』『鋭い子は15個くらい書く。』

原理原則14 作業途中で「個別評定」を行う。
 


 
 神藤なら次のように言う。
 「C君は、もう○個も書いている。優秀だなあ。」
 「D君は、こっちはこうだけど、こっちはこうだと比べながら書いてるなあ」
※ 資料を分析した子どもの意見をどう評価するかについては、「雪小モデル」が参 考になる。
 
 宿題でやってきたい子への注意。
 『但し、次のことはやってはいけない。友達に聞く。友達に教える。』

原理原則14 あくまで自力で取り組ませる。
 


 
 「自力で解決する」という道を通るから、その後の授業にも真剣になるのだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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【給食編 P28】
 
 専科の授業を終えて教室に入る前の「関門」がある。
 『書き順、空書きの声、そして正しい字形、この三者が揃わなくては合格にならないらしい。』

原理原則1 教室に入るときも指導を入れるシステムを作る。
 


 
 こういった指導があってもいいとは思う。
 ただし、神藤は必要とは考えない。「あかねこ漢字スキル」を使って、システム通り指導する。
 さっさと給食の準備をすればいい(深澤氏にこのあたりことを聞いてみたい)。
 
 
 さて、給食を食べ始める場面である。
 『全員揃った所で、姿勢をよくして、一人のこの号令で「いただきます。」と4人で唱和』

原理原則2 そろったグループから給食を食べ始める。
 


 
 全員で食べ始めるか、グループごとか。面白いテーマである。
 神藤の場合、専科の授業などで準備が遅くなったときに用いる場合がある。
 給食を食べるのが極端に遅い子がいる場合は、その子だけ先に食べさせるわけには行かない。そんなときも、グループごとの方法を用いる。
 スピードを求める深澤氏らしいやり方だと思う。
 
 
 ところで、次の記述がある。
 『ここで、「ダメ、やり直し。」という深澤氏の声。』
 『教師の許可をもらって「ごちそうさまでした。」と号令。』
 すべての班が深澤氏の許可を受けている。
 低学年ならともかく、6年生の指導としては随分しつこい印象を受ける。しかも、4月の学級開きの時期でもない。
 これが、深澤流の徹底のさせ方なのか。
 
 さらに、給食後の動きについて。
 『グループで机にイスを上げて、教室の後ろのに運んで掃除に行く。』
 まだ食べているグループの横で机を運ばせるのだろうか。そうだとしたら衛生面で問題がある。
 単に、文章に現れていない、つまり省略されているだけなのか。
 神藤なら、連絡帳を書かせるなどの作業を入れる。全員が「食べ終わっ」てから机を運ばせる。