003:荒野
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果てしなく続くって言葉が、こんなに似合う場所に来るのはさすがに初めてだ。地面は乾き、ひび割れ、ところどころに申し訳程度に生えた緑が返って尚のこと、この場所の荒廃ぶりを引き立てている。びゅうびゅうと容赦なく叩きつける風はどこか黴臭く埃っぽい。ダレンは思わず両の手のひらの間からかすかに覗かせた瞳を忌々しげに細め、眼前に広がる荒野をじっと睨み付けてしまった。
「何をしとる。行くぞ」
しかし先を行くこのお師匠様は、そんなダレンの不平不満など最初から聞く気毛頭ない。こちらを振り向きもしないで、さっさと歩いて行ってしまう。…ほんと、神経通ってないんじゃないの。どんなに寒い夜も酷い風の日も、平気な顔でずかずか歩き進む彼に思わず心の中、毒づいてしまう。あんたはとっくに慣れっこかもしれないけどさ。僕はこんなとこ、まるきり初めて来たんだからもうちょっと気ぐらい使ってくれてもいいじゃない。
「待ってよ」
それでもついて行くしかないのだ。
自分の未来は、全てこいつの足元にある。そう、もう決まってしまったのだから。
頭に来ながらもその隣で、ビーフジャーキーはあとどれくらい残ってたかなとか…あ、ネズミだ。3、4匹捕まえれば、晩の食事に丁度いいやとか考えてる辺り。ほんと、終わってるなとダレンは思い、思わずため息をついてしまった。「どうした」
すると、頭の上から声がした。
見上げれば満天の星空の中、前を行っていたはずのクレプスリーの顔がそこにあった。いつの間にとなりに来たんだろう、思いながらううんと首を振る。「べつに、なんでもないよ。大丈夫」
「そうか。まだまだ先は長いからな。無理はするなよ」
「わかってる」『気ぐらい使ってくれても』…思っていたくせに。
なのに、本当にそうされるとどこか照れくさいようで、少し怒ったような態度を取ってしまう。…エブラに見られたら、さんざんからかわれちゃうな…。思い、ダレンは小さく息をつき、頬を冷たくなった両の手のひらで冷やした。指先の皮が毛羽立ち、頬をちくちくと刺す。何の苦労も知らない、あの頃では考えられもしなかったこんな手のひら。
ふと見ると、すすけた赤い袖から自分以上に強張った手が見えた。
所々節くれ立って、まるで泥を流し込んだような血の気。
何だか、痛そうだなと、思った。
だからそれ以上は、別段何も思わずそっと指をからめた。何だと見下ろして来る顔の向こうに白い星が無数に輝いている。きれいだなあと思い、ダレンはにこりと微笑んだ。「何を急に…甘ったれおって」
「いいじゃない、別に」
「…悪いとは言うとらんが」
「うん」手のひらに熱が広がる。
…そういうことに、しといてあげるよ。
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