016:シャム双生児

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「……っ…」

 息が。
 引き攣れる。
 気持ちいいとか良くないとか、それよりも、機械鎧の接続部分なんかに肉挟んだりしないだろうかと見当違いな心配をする。この体を割り開く時、正面からされるとどうしたってその部分はロイの腰のあたりに来てしまうから、動くたびに鋼に擦れるその生身の体を思うのは致し方ないことだ。血の通わないそれに、熱くなった体が触れれば、さぞヒヤリと腰を冷やすだろう。

「…何、考えてる」

 体に良くないんじゃないかなー、多分。なんて考えていたとは、さすがに言えない。
 加えて、もう30路目前なんだから、とまで考えていたことは更に。

「…別、にっ」
「最中に考えごととは。余裕だな」
「……っく」

 言いながら更に律動は強まる。ああ、もう、余計訳わかんなくなって来た。エドは目の前にある太い首にしがみつこうかと思ったけれど、すぐに自分の右腕のことを思い出し、左腕で代わりにシーツを引っ掴んだ。振動が来るたびすぐに緩んで、ほとんど意味を為さないけれど。まあ、気休めってことで。

「っ、あ、あ」

 声があがるのは、何でだろう。
 大体が自分の体は、こんなもんを受け止められるようには出来ていないのだ。そのへんはロイもきっちりわきまえているから、きちんと時間をかけて、少しでも楽になるよう色々しては、くれる。でも、それでもやっぱり無理があることに変わりはない。
 ましてや。…この、体格差。
 粘着質な音がそこから漏れる。ベッドが軋む。腹壊しそー。何度やってもいつも思う。
 なんで、この、男は。
 こんな、…およそ今まで彼が抱いて来た女達とは全くかけ離れた、
 色気もへったくれもないガキで男な、おれと、こんなこと、するんだろ。
 声だってそりゃ色々で、高くなってるけど。女の子の方が可愛い声上げるだろ、きっと。
 …いや聞いたことないんだけどさ。

「エド」
「っあ、……あっあう」
「…エド、」

 名前とか呼ぶな、バカ。
 熱い。けどつめたい。会うのは二ヶ月振りで、ロイの眼は、薄く水たまりを張ったみたいに潤んでいる。俺の眼もきっとおんなじく。君の髪と眼は、蜂蜜みたいだ、甘いね。そんな脳味噌沸いてること言って指先に摘んだり、キスしたりして、…俺が居ない間、どっかの女にもこんなことしたりすんのかなって、唇を噛む。血が出てしまうだろう、舌先で舐めて、ほぐされた。

 バカ。
 バカ、変態、大馬鹿大佐。
 そんなことすんな。
 名前なんて呼ぶな。
 俺を、

 

 おれは、

 

「っ…ん、あ!」

 

 

 

 

 

“鋼の”

 

 

 

 

 一際高い声を上げて、達した俺を、
 ロイはぎゅうと抱き締めたので、奴がどんな顔をしているのか、俺には首筋しか見えなかった。

 

 

 

 

 

「…はーー」
「疲れたかね」
「ったり前だろ…あんた、いい歳して精力あり過ぎなんだよ。付き合わされる方の身にもなってみろ」
「仕方ないだろう、何しろ久し振りだからな」
「…俺とは?」
「うん?」
「いや、…」
「………。」
「………。」
「…今度はいつまで居られる?」
「明後日には発つよ。更新のために寄っただけだし」
「…そうか」
「…ちょっとどこ触ってんだ」
「君の右腕を」
「触んなよ、俺、そこいじられんの嫌いなの知ってるだろ」
「ああ、でも」
「?」
「今度、会う時には、生身かもしれないだろう?」
「…、」
「それなら、覚えておきたいんだ」
「……
「…鋼の?
…どうして泣くんだい、エド?」

 

 

 

 

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