031:ベンティングマシーン

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 クラウドはしみじみ思う。『こいつがまともな飯を最後に食ったのはいつなんだ』と。
 そう思わずにはいられないほど、彼の生活は日頃、かなり、めちゃくちゃである。家に遊びに行けば必ずLサイズのピザがある。一人で、3日かけて食べるのだ。金が続かないときにはそれがインスタント食品にとって代わる。それ以外の食事は演習の時に軍から支給される弁当と、食堂と、毎晩のように飲み歩く先でのつまみと、この。

「いやー、便利になったもんだよなあ」
「………。」

 自動販売機から出て来るスープくらいのものである。
 確かに不味くはない。むしろ美味い。美味いがしょせんは自動販売機から出て来るスープだ。種類もそう多くはない、コーンポタージュ、ミネストローネ、コンソメ、オニオン、クラムチャウダーの5種。それを飽きずに日替わりで飲み続けている、クラウドも最初のうちはつきあっていたが、一杯150ギルがもったいなくてやめてしまった。大体が、ソルジャーと一般兵士では財布の重さが違う。

「…お前、たまには自炊とかしないのか」
「んあ?しねえよ面倒くせえもん。大体俺、料理なんか出来ないし」
「………。」

 やはり冗談ではなしに、彼を構成する栄養素はこのスープのみと言っても過言ではない様子だ。

「…飯くらいきちんと食べないと、倒れるぞ」
「そんな弱くないって。なんだよもうー、クラウドママ、そんなに心配しなくても大丈夫だってば」

 がしがしと頭をかき回される、…いや、逆だろう、それ。
 クラウドは呆れた様子を隠しもせず、やれやれとばかりに息をつきながらサンドイッチをかじった。適当にそこらのものを挟んだだけのものだが一応手製である。クラウドも料理は得意な方ではない、が、黙って食べていられる範囲のものは作れる。

「いいなあクラウド、それ一切れくれよ」
「嫌だ」
「なんだよケチ!いいじゃねえかよ一切れくらい」
「そう言ってお前、横からいつも掠め取るだろう。悪いが俺は貧乏なんでな、お前まで食わせる余裕はないね」
「…冷たーいの」
「ああ、それで結構だ」
「……冷たーいの!!」
「………。」

 じゅじゅじゅ、と盛大に音をたてながらスープをすする、ちなみに本日はコンソメスープ。行儀が悪い、汚い。というかここは食堂のど真ん中、他にも人はひっきりなしにやって来る。隣に座るグループが、じろ、とこちらを睨みつけた。
 クラウドはぐったりと肩を落とした。

「…わかった、やる。すするのをやめろ」
「お、サンキュ」

 素晴らしいスピードで差し出したサンドイッチはザックスの口腔に納まった。もんぐもんぐ、…お前これちょっとマスタード多すぎ、ぱくり、うるさい文句があるなら食うな。

(…なんで俺はこんな奴と常に一緒にいるんだろう?)

 それはザックスがクラウドのことが大好きで、嫌がっても振り払ってもどこまでも引っ付いてくるからだ。
 何故そう思うのかは知らない、聞いたこともないし聞く気もない、ただ、この状況には、もう慣れてしまった。

「……っ、ぷはあ、あー美味かった」

 残ったスープを飲み干し、結局更にもう一切れサンドイッチも頂戴して、ザックスはにかあと内から輝くような笑みを浮かべた。

「ありがとな、クラウド。美味かった!」
「…ああ」
「あのさあお前さあ、今度俺んち遊びに来た時なんか作ってよ。お前の作る飯、俺けっこう好き」
「…お前は…」

 もう、

 

 もう、慣れてしまったのだ。

 

 

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