050:葡萄の葉
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ちらちら影が落ちる様子は、さながら光の乱舞劇。
ヒューゴは首を回し、うんんと伸びをした。ぱたん、腕を落とし、そして息をつく。
なんて胸を空く光景だろう。「おーい、ヒューゴぉ」
「ん、なにー?」
「お前さあ、昼飯まだ? まだだったら一緒に食うかー?」
「食う!」ぱっ、振り向く、彼方で人影がにんまりと嬉しげに笑った。ヒューゴも同じく笑い、人影に向かって駆けた。人影は作業をしていた腕を降ろし、数回まわしてほぐすとちょうど辿り着いた子供の頭をぽんと撫で、
「今日は俺のお手製だぞ」
「おー」その、彼らしい野菜尽くしの弁当箱をひろげてみせた。
気兼ねせずにお互いたっぷりと食べられる量はきちんとあるそれと、相変わらず人畜無害ににこにこと笑い続けているバーツの顔を見比べ、ヒューゴは首を傾げて、「…バーツさんて、いつもこんなに食べるのか?」
「いや? まあよく食う方だけどこんなにはさすがに食わないよ」
「じゃ、なんで?」
「また今日もお前、きっと遊びに来るだろうと思ったからさ」あたりまえのことのように言って、なんでもないことのように笑う。
ヒューゴは胸の奥がむずがゆくなり、少し困った顔をした。けれど結局は『嬉しい』の一言で決着付けて、地面に座り込んだ。ほらよ、水を差し出され受け取り、こくりと口に含む、…正直、ぬるい、でもとても澄んでいて甘い。弁当はときどき焦げや味付けの間違いが見られたが、それでも美味いと言えるもの。
ちらちらちらちら、光が舞う。
ヒューゴはゆるりと目を細めて、天上を覆うそれらの隙間から青空を見上げた。青空、葉のみどり、茶、黄色、その隙間からは真っ白な光、影が二人をおおう、首筋を行く風は涼しく。
ふと、顔を上げた。
バーツの顔が目の前にあった。すこしかさついた感触が、唇の端をさらって行った。「…食べかす、ついてんぞ?」
「………。」ぱちり、まばたいて、少し笑い、その肩に寄り添った。
ちらちら、ちらちら。
風に吹かれてゆるゆると、葡萄が無数に揺れていた。
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