Trouble Trouble Trouble


Trouble#1 前編


それは突然やってきた・・・


 いつものようにR/W18で加速しAIR SPEED 40mphで操縦桿を引く。 尻に軽くGを感じ
ながら上昇。 R/Wエンドで若干揺られるが上昇率に問題はない。          
高度約150ftでRight Turn. 前方のゴルフ場上空を目指す。               
高度計が200ftを指した頃、右の方に何かが飛んでいったのを見たような気がした・・・  
突然エンジン音が甲高くなり、減速が始まった・・・                 
                                         
    ついにこの日がやってきた。 エンジントラブルだ!             
                                         
 上昇中の飛行機が推力を失うと、あっという間に減速します。 乗機パフィンの失速は27
mph。 すぐにダウンを当てて機速をキープしようとしたがAIR SPEEDは30mphまで下がってい
ました。 その後、徐々に機速は回復しますがもどかしい。 こんな機首下げやったことな
いけど、今は機速回復が最優先。 怖いなんていってられません。           
 機首下げ操作をしながらスロットルを絞るが、エンジンはいつも以上に回っています。 
この時点でドライブベルト切れかなにかで、プロペラが回っていないのがわかりました。 
とりあえずエンジンカット。 乗機のメインスイッチはシートベルトをしたままでは届きま
せん。 ここは以前オーナーから聞いたとおり、つま先でスイッチオフ。 エンジン音が消
え、風切り音のみの世界です。 「この静寂がイヤだ」と聞いたことありますが、そんなこ
とを感じるまでは、もっともっと場数を踏まなければなれないでしょう・・・      
 機速がなんとか維持できると、次は不時着地を探す。 前方のゴルフ場が最適ですが、届
くかどうか・・・ パフィンの滑空比からすると大丈夫なはずですが、今の降下率を考えると
ちょっときついかも・・・                             
 そのとき無線から「戻ってきて」の声。 迷わず従います。 といっても立地条件が非常
に悪い我が飛行場、R/Wに入るには左270度旋回で追い風進入になります。 200ftを切
った高度からはとうていたどり着けません。 目指すはR/W36エンドののっぱら。  
ありがたいことに、滑走路より約100ft低くなっています。               
 今までやったこともないバンクで機体を旋回させます。 進入経路と速度計をチェックし
ながらの旋回です。 バンクがきついせいか、降下率が大きい・・・ かなり落ちているは
ずなのにAIR SPEEDは落ちていきます。 さらに機首をさげ40mphをキープします。    
 旋回が終了すると地面がかなり近いところまできています。のっぱら手前の松林を越え、
あとは無事接地するのを待つのみです・・・                     
足下の地面はいつも以上のスピードで流れています。 そう、追い風進入。 さらに、不時
着地はのっぱらといっても、不整地で絡まりそうな草もあります。 尾輪式のパフィンでは
前輪をひっかけてひっくり返るかも・・・ なんとか治った足がまた・・・と頭をよぎるの
でした。 が、実際は拍子抜けするほどの軟着陸。 ザザッツといって接地し、短い滑走で
止まりました。 ホンとラッキーでした。                      
思うに、尾輪式のくせに尾輪から接地する癖がいい方に働いたのでしょう!!(なんでも、
こういうのを「海軍式」というのだそうです)                    
 とりあえず無線で無事を伝え、機体回収をお願いする。 飛行後点検?を行うと、ドライ
ブベルトはしっかりついていました。 が、エンジン側についているはずのドライブプーリ
ーがありません。 さっき見たのはきっとこれだったのでしょう・・・         

それまでの布石・・・


10:00 エンジンテスト。                             
    快調です。 いつもよりちょっと回転が高いのと、フルパワーで若干回転ムラが
    あるのが気になりますが、「絶対におかしい」というほどではない。 あとでベ
    ルトの張りをチェックしよう。                      
11:30 ジャンプテスト。                             
    3度ほどジャンプしてみるが、回転ムラがある。              
    機体を戻し、オーナーにはなしてみると「いつもと一緒だった」といっていた。
    他のメンバーもちょっと回転が高かったといっていたが・・・ とりあえずベル
    トの張りを見るが問題ない。 そういえば、これからの季節はエンジンが回るよ
    うになるといっていたのを思い出し、そうなのだろうと納得してしまった・・・
13:30 ジャンプテスト。                            
    さっきと同じ感じ。 気になるが、オーナーが大丈夫といっているのだから行く
    しかない! 大丈夫だろう! と滑走を始めたのです。 このあとなにが起こる
    かわからないままに・・・                        




Trouble#1 後編


おまわりさんに囲まれて・・・


 はじめての不時着にしては申し分ないでき(?)に満足し、回収班を待つことにした。
 ここは飛行場のすぐ隣のいわゆる土砂採取場跡地。 以前はダンプカーが急な坂を上り下
りしていましたが、土砂採取が終わってからは道路も荒れ放題。 ここを機体を担いで上っ
ていくのは大仕事です・・・                            
                                         
 そうこうしているうちに、仲間が工具を持って降りてきました。 無事なのを確認し、早
速機体をばらします。 不時着したのがパフィンで不幸中の幸い。 なんとばらしやすいこ
とよ・・・ 蝶ねじ4本で片翼がはずせる機体はなかなかないでしょう・・・ とりあえず
2人づつで主翼を飛行場まで運びあげるのでした・・・                
                                         
 久しぶりの肉体労働でへとへとの体を10分ほど休ませて、今度は胴体の回収です。  
さっき上った道を下ります。  上から見る翼のないパフィン はどう見ても鉄パイプ、飛行機
には見えないのです。                               
                                         
 このままじゃ重いので、エンジンを降ろし、胴体と別々にあげることになりました。 主
翼をはずすのと違って、今度はめんどくさい!! リンケージやらホースやら、いろいろは
ずしていきます。                                 
  主翼とエンジンをはずしたパフィン は、ただのパイプになってしまいます。 あらためて
「超軽量動力機」の名前のゆえんを感じたのでした・・・               
                                         
 さて、ここで終われば、よくある?不時着話。 闇から闇に葬られたことでしょう。  
ところが・・・・                                 
 ひぃーひぃー言いながら胴体を引っ張って坂をあがっていると、上の方からあまり関わり
たくない制服を着た人物が・・・ お巡りさん登場です。               
お巡りさん:「あー、**さんは?」                        
わたし  :「あ、私です・・・」                         
お巡りさん:「あ、あなた**さん? 怪我なかった? 大丈夫?」          
わたし  :「はあ・・・」                            
お巡りさん:「実は、向かいのゴルフ場から飛行機が墜落したって通報あってきたんだ」 
わたし  :「はあ・・・」                            
お巡りさん:「ここに飛行場あるのはわかってたんできてみたんです。 怪我ないのね?」
わたし  :「はあ・・・」                            
お巡りさん:「それはよかった。」                         
お巡りさん:「いま、(機体)運んでるんでしょ? 終わったらちょっと話聞かせて」  
わたし  :「はあ・・・」                            
お巡りさん:「んじゃ、上で待ってるから。」                    
わたし  :「はあ・・・」                            
 今きた道をお巡りさんは上がっていくのでした・・・                
                                         
 風向きが違ってきたことに不安を感じながら、とりあえず機体を飛行場まで運んでくると
・・・ 赤いランプを回した車が3台も・・・ すごいことになってる・・・      
制服の方たちが約6名。 どうしましょう・・・                   
                                         
 一番偉そうなお巡りさんが近寄ってきて・・・                   
お巡りさん:「あ、あなた**さん? 怪我なかった? 大丈夫?」          
わたし  :「お騒がせしてすいません。」                     
お巡りさん:「飛行機、墜落したって連絡あったんできたんです。」          
わたし  :「はあ、すいませんでした。」                     
お巡りさん:「ゴルフ場でみてた人がね、 いつもと違う急角度で飛行機が落ちてったって。
       あれはいつもと違う、墜落したって連絡してきたんですよ。」      
わたし  :「はあ、そうだったんですか・・・」                  
お巡りさん:「んでも、怪我なくてよかった、よかった。」              
わたし  :「はい、おかげさまで何ともありません。」               
お巡りさん:「ところで、これらはなんか許可いるんですか?」            
                                         
 うっ、きた!!  とりあえず、許可証一式のコピーを見せると、                   
                                         
お巡りさん:「許可も全部あるんでは問題ないですね。」               
                                         
 法律上問題ないことを確認すると、急に和やかなムードになる制服の方々。 興味ありげ
に機体をのぞいている人もいます。 話をしていると、地元派出所の方と地元警察署からや
ってきたそうです。 最近、実機の事故が続いたのでピリピリしているといっていました。
                                         
 状況を無線で署のほうに連絡して、「解放されるかな?」と思いきや、「県警から専門家
が来る!!」とのこと・・・ だんだん大事になっていく・・・ 先にきていた方たちも、
「わざわざ来る」といった風です。                         
                                         
 しばらくすると「パタパタ」いってヘリがやってきました。 地元警察の方も「あれでき
たの? まさか・・・」といっていましたが、上空でちょっと止まっただけで言ってしまい
ました。 事故のことを知っていたのでしょうか? それともパトカーが止まっていたから
なのでしょうか・・・                               
                                         
 「県警の専門家」さん登場。 別の2人が一緒にきました。 こちらのお二人は「県警か
ら来るんであれば」と地元警察署からやってきたそうです。 警察内でも結構、気を使って
いるようです・・・                                
 地元の方々の関心は「書類がそろっているか? 違反はないか?」でしたが、県警の方の
関心は「なにが起こったか?」のようです。 どの方向に・どのようにしているとき・どう
なったか? 細かいチェックが入ります。 さすが専門家と言ったところでしょうか?? 
さきほどと違って、「和やか」とはいかず、「ピリピリ」した感じです。 これは精神的に
参ります・・・                                  
 そんな私に追い打ちをかけるかのように、制服の方、3名追加。 今度は「鑑識」です。
ドラマで見るように、紺のジャンパーにカメラをぶら下げたみなさんです。 こちらの方々
は機体がどうなったかが関心の中心で、 はずれたプーリー部 ドライブベルト 、プロペラ
写真をパシャパシャ撮っています。                         
 こんな感じで合計12人のお巡りさんに囲まれて2時間ほどの時間が過ぎていったのでし
た・・・                                     
 ところが、これで終わらないのが「航空機事故」。 鑑識のみなさんのモデルになってい
る最中、とどめの一撃が来るのです。 そう、「航空局」・・・            
警察から連絡が言ったようで、こちらにTELがかかってきました。          
そこで、事故当事者から連絡がなかったと説教され、「報告書」を出すようにとのありがた
いお言葉をいただきました。 許可の元、飛ぶことを許される私たちにとって「警察」と「
航空局」には逆らえません。 心の中で「結局、なにもなかったんだからいいじゃん!」と
思いながらも、口からでる言葉は「はい、わかりました。 すぐ出します」なのです・・・
                                         
 肉体的に、そして精神的に疲れ果て、いつもより早く帰路についた私たち。 でも、報告
書が・・・ 今日中にといってたっけ・・・ そういえば、地元警察の人が帰り際に、「警
察からの処罰っていうのはないけど、もしかしたら署の方にきてもらって話を聞かせてもら
うから」っていってました。 どんどんブルーになっていくのでした・・・       
                                         
 報告書の方はというと、書き慣れた?「障害報告書(いわゆる始末書です)」をベースに
しましたが、2カ所ほど変更を指示されただけで受け取ってもらえました。 こんなところ
で役に立つとは・・・                               
                                         
 最後に今回の事故の直接の原因はというと、「ドライブプーリーの締め付け不足」です。
でも、県警の人もいっていましたが、「右回りのエンジンに右ねじのボルト」だと、ボルト
を締め付けながらエンジンは回っています。(さすが、専門家。 鋭いご意見です・・) 
ゆるむのは珍しいのですが・・・ 前回のフライト(エンジン組立直後のフライト)ではな
んともなかったし・・・                              
 考えるに、パフィンに乗っているゼノアG50っていうエンジンは水平対抗2気筒の同時
爆発タイプです。 これって圧縮率が大きくて、始動の時にはデコンプを使っています。 
で、エンジンを止めるときなんですが、キュッツといって無理矢理止まっている感じがして
いました。 ボルトがゆるむとすれば、止まるときの慣性で少しずつゆるんできたのではな
いかと考えていますが、みなさん、どうでしょう?  ご意見 があれば、是非教えてください。
 それともう一つ、間接的な原因として「いつもと違う」と感じながらも上がってしまった
こと。 周りの声があったにせよ、納得するまで調べてから上がればよかったんですね・・・
 また、過去に一度、同じボルトがゆるんでいたことがありました。 それ以来、点検の時
はゆるんでいないか「手で」回してみるようにしていたのですが、手で回るようでは・・・
ですよね。                                    
                                         
 以上、私の初体験報告でした・・・                        
                                         
平成10年9月27日 某所にて・・・                       



Trouble#2


開けてびっくり・・・


 最近のヘッド温度のばらつき、気になったのでヘッド開けてみました。        
 どーも原因は コレだったようです。。。           
 ボトムピストンリング:固着                           
 カーボン堆積:たんまり                             
 予防保全で安全フライト『よし!』                        
 ・・・出費イタイ・・・                             
                                         
平成18年6月某日 某所にて・・・                        


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