第四章

「送信者 アル
仕事がおわってから家に帰った。宮市さんと二人きりになると、さっきのリンさんの言葉を思い出し、なんとなく緊張する。大人しい俺を不思議そうな顔して彼が見つめる。

「送信者 アブ
「……まだ…痛むの?大丈夫?」彼の額に手をあてた。

「送信者 アル
「わっ、わあ、き、急に触んな!」赤面し、思わず宮市さんの手を払い除ける。

「送信者 アブ
「ごっ、ごめん……」あんな怖い思いをさせたんだ……嫌われて当然だ……彼の額にあてた手を握ったまま俯いた…

「送信者 アル
「いっ、いや、こっちこそごめん……」なんだろう…すごくドキドキする。気まずくて何か言わなきゃと思った俺は「み、宮市さんは俺のこと好きなのか?」と口走っていた。

「送信者 アブ
あまりにも唐突な質問に一気に鼓動が高鳴った…「好き……だよ…」

「送信者 アル
「…えっと…その好きは、俺と交尾したいって意味の好きか?」

「送信者 アブ
「こっ……き…君、それ……意味わかって…言ってるの?」

「送信者 アル
「えっ?…あ…う、うん…」俺の黒い顔が、ますます真っ赤に…見えないだろうけど…

「送信者 アブ
「誰にどんな風に聞いたの?」

「送信者 アル
「リンさんから…雄同士はお尻にアレを挿れるって…で、それは好きなやつとしか、やっちゃダメなんだ」

「送信者 アブ
フフ……リンさんらしい…「うん、そうだね……だから君も本当に好きな人のために取っておきなさい」

「送信者 アル
「それでな…リンさんが、俺が好きなのは宮市さんだって言うんだ…どう思う?」

「送信者 アブ
…こっちが聞きたいよ……「どうって……それは君しかわからないよ…」思わず苦笑してしまった…

「送信者 アル
「で?あんたはどうなんだ?まだ返事聞いてない」

「送信者 アブ
「えっ?!私の答えって?!」

「送信者 アル
「…何度も同じこと言わせんな…あんたの好きは、俺と交尾したいって意味の好きかってこと」

「送信者 アブ
「…そんな……生易しいもんじゃないよ…」俯き呟いた…

「送信者 アル
宮市さんの真剣な表情に何も言えなくなり、俺も黙ってうつむく。

「送信者 アブ
「あ……そうだ!今日リンさんの帰り際にお礼を言ったら君にフラれたって言ってたよ。でも、やっぱり諦められないそうだよ。随分、気に入られちゃったみたいだね」うつむく彼に出来るだけ明るく話しかけた。

「送信者 アル
「うん…リンさんの店においでって誘われたんだけど、俺、宮市さんの側がいいって言ったんだ…」

「送信者 アブ
「君は……私の事、どう思ってくれてるの?」

「送信者 アル
「好きだよ…でも…どういう好きなのか自分でもよくわかんないんだ」宮市さんを見つめた。

「送信者 アブ
「その言葉だけで充分だよ…」彼をそっと抱き寄せて軽く唇を合わせた「……大人のキス……していい?」

「送信者 アル
「…うん」何故だろう、いつも他のヤツとしてる挨拶のキスなんかより、ずっとドキドキする…

「送信者 アブ
彼の口から「好き」って言葉を聞けただけでよかったのに……私は自分の欲求を押さえる事が出来ず、彼を強く抱き締め舌を激しく絡めながらソファの上で身体を重ねた…

「送信者 アル
いつもと様子の違う宮市さんに心臓が爆発しそうだった。どうしていいかわからないまま、ソファに横たえられる。

「送信者 アブ
舌の絡みを解き、首筋に唇を滑らせた…「ごめん……キスだけじゃ…もう…」服の裾から手を這わせ乳首に指先を滑らせた…

「送信者 アル
「あ…俺…なんでこんなに緊張してんだろ…」

「送信者 アブ
「……怖い?」

「送信者 アル
「…えっと…」すごく真面目な顔で尋ねてくる彼に言葉を濁す。怖いわけじゃないんだけど…。なんて答えていいかわからなくて、黙って首を横に振った。

「送信者 アブ
首を振る彼に答えるように額にキスをして上半身を露わにした…

「送信者 アル
「あの…俺だけ脱ぐの?」

「送信者 アブ
「えっ?!……あっ…ご、ごめん…」慌てて私もシャツを脱ぎ捨てた…「これで……いいかな?!」

「送信者 アル
「うん…」キュッと抱きついた。

「送信者 アブ
「ねぇ……生易しいもんじゃない気持ちってどんなだかわかる?!」抱き付かれたまま彼のズボンの前をゆるめた…

「送信者 アル
「…ううん…よくわかんない」

「送信者 アブ
「フフ……あのね、君の全てを私だけのものにしたいって事だよ…」

「送信者 アル
「…全て?」彼の瞳を見つめた。

「送信者 アブ
「そう…全て……この身体も純粋なところも全てだよ…」

「送信者 アル
少し考えてから「いいよ…全部やる…」と答えてニッコリ笑った。

「送信者 アブ
「でも、私の事どの位好きなのかわからないんだろ?私は独占欲が強いから大変かもしれないよ…」

「送信者 アル
「ん…と…、こんなにドキドキすんの宮市さんが初めてだし、一番好きなのあんただと思うからいいよ…」

「送信者 アブ
「ほ……本当?じゃあ、ずっと側にいてくれる?私の事、嫌いになったりしない?」彼を見つめた。

「送信者 アル
「うん…ずっと側にいるし、嫌いになったりしないよ」

「送信者 アブ
「ありがとう……すごく嬉しいよ…」ゆっくりズボンと下着を脱がし彼のモノを口に含んだ…

「送信者 アル
「ああ…」

「送信者 アブ
「ちょっと、気持ち悪いかも……ごめんね…」ローションを指に絡め後孔にゆっくり沈めた…

「送信者 アル
「うう…」宮市さんにしがみつく。

「送信者 アブ
「ごめん……でも、もう…」自分自身をあてるとグリグリとねじ込み始めた…

「送信者 アル
「あ…あ…痛…い」

「送信者 アブ
「ごめ…もう……と、止められ…ない…」彼が動かないように強く抱き締め一気にねじ込んだ…

「送信者 アル
「ううう…好きなやつ同士は…みんな、こんなことすんのか?」

「送信者 アブ
「フフ……本当に面白い事、思いつくね…」さっきまでの貪欲な欲情が彼の問いにかき消されみたいだ……

「送信者 アル
「好きだから…痛くても我慢できるんだな…」

「送信者 アブ
「あ……あのぉ、前から思ってたんだけど……君、本当にヘルス初めて?誰かと付き合うのも私が初めてなの?」

「送信者 アル
「うん…」

「送信者 アブ
「じゃあ、いつも涙腺を緩めるような事言うのは計算とかじゃなくて自然に出てるの?」

「送信者 アル
宮市さんは俺の中に入ったあと動かないで、ふんわりと包むように抱き締め、痛みがマシになるまで待っててくれるみたいだった。「計算?…何のことかよくわかんないけど違うと思うぞ」

「送信者 アブ
「ん……そうだね……」激しく舌を絡めた…「ごめん……また、痛くなるかも…」ゆっくり腰を動かした…

「送信者 アル
「ん…ん…」ちょっと顔をしかめながらも、なるべく痛そうな声を出さないように耐える。

「送信者 アブ
「……我慢しないで…自然に任せた方が痛みも薄らぐよ…」

「送信者 アル
「う…うっ…う…」

「送信者 アブ
「あっあぁぁぁ……」欲情を流し込みあっけなく彼の胸に崩れた……「ごめん……ちっともよくなかったよね…」

「送信者 アル
宮市さんの身体の重みが心地いい。しばらく二人の呼吸する音だけ響いていた。「…好きだよ…」チュッと宮市さんの額にキスした。

「送信者 アブ
「ほら!そうゆう事をさらっと言うから……だから……」情けないけど……やっぱり……彼の胸に顔をうずめた…

「送信者 アル
そのあと俺たちは、宮市さんのベッドで朝まで一緒に眠った。彼の寝室の壁には、以前俺が描いた店の広告が約束どおり額にいれられ飾られていた…。



「送信者 アル
数日後、リンさんが店にやってきた。「リンさん、この前は助けてくれてありがとう」俺は、ペコリと頭を下げた。

「送信者 アブ
「いいわよぉ、そんな事!で、どぉなの?宮ちゃんとは仲良くやってるの?」

「送信者 アル
「うん。えっと…この前、リンさんが、宮市さんは俺のこと好きだって言ってたから確かめたんだ」

「送信者 アブ
「確かめた?……なんて言ったのよ」

「送信者 アル
「宮市さんは俺のこと、生易しくないほど好きなんだって。だから俺も好きだよって言った」

「送信者 アブ
「?生易しくないほど?……まぁよくわかんないけど、とにかく良かったわねぇ……で、もう、ヤったの?」

「送信者 アル
「?…ヤったって?」

「送信者 アブ
「交尾に決まってるじゃない!!他に何聞くのよっ!」

「送信者 アル
「あ、うん…交尾は好きなやつとしなさいって、リンさん言ってたから…」

「送信者 アブ
「で!どうだったの?あっ、アンタ!もちろん初めてだったんでしょ?!」

「送信者 アル
「初めてだよ。痛かった」

「送信者 アブ
「…そのまま突っ込まれたのぉ?ローションは?」

「送信者 アル
「…なんでそんな具体的に話さなきゃならないんだ?」

「送信者 アブ
「興味あるからに決まってるでしょぉ!」

「送信者 アル
「…俺は全てに答える義務があるのか?」

「送信者 アブ
「アンタがピンチの時、助けたのは誰だったかしら?」

「送信者 アル
「……ローションぬってもらった」

「送信者 アブ
「……ローション塗られて…痛かっただけ?」

「送信者 アル
「…そうだなあ…よく覚えてないや…痛かったのは確かだな」

「送信者 アブ
「へったくそねぇぇぇ!アンタ、宮ちゃんの側にいても痛い目に合うばっかりよっ!ウチにいらっしゃいよ!」

「送信者 アル
「だめだ!交尾は好きなヤツとじゃなきゃって言ったのは、あんただぞ」

「送信者 アブ
「その時々の好きな奴って事よ!バカねぇ、ずっと一匹だけ好きなんてあるわけないじゃないのぉ」

「送信者 アル
「なんで?!ずっと一匹だけ好きかもしんないぞ?」

「送信者 アブ
「……そこまで言い切るなら、アンタ、宮ちゃんと別れたら私がアンタをもらうわよ!」

「送信者 アル
「ええ〜!…うん…わかった」

「送信者 アブ
「じゃっ、約束よ!あぁ〜楽しかった!また指名するからね」

「送信者 アル
「うん、またな」俺はリンさんと別れて、宮市さんのいる事務所に行った。「今日、指名入ってる?」

「送信者 アブ
「あのぉ……その事についてお話があるんですが…」

「送信者 アル
「なんだ?」

「送信者 アブ
「今後、指名があろうとなかろうと店に出るのをやめてマネージャーの仕事だけにして頂きたいんですが……」上目づかいに彼を見つめた…

「送信者 アル
「えっ?どういう意味だ?俺に会いたいってヤツが何匹かいるぞ?」

「送信者 アブ
「だから、そおゆうのやめてほしいんです!」

「送信者 アル
「なんで?仕事だろ?」

「送信者 アブ
「マネージャーだって仕事じゃないですかぁ」

「送信者 アル
「なんだよ、なんでそんなにこだわるんだよ?」

「送信者 アブ
「それは私が独占欲が強いからです!」

「送信者 アル
「あ〜…それはやきもちってやつ?」

「送信者 アブ
「……そんな生易しいもんじゃありません…」

「送信者 アル
「……生易しくないやきもちなんだな…」

「送信者 アブ
「……やきもちなんか……やいてません…」

「送信者 アル
「……やきもちじゃなくてなんだっていうんだ…」

「送信者 アブ
しばらく、沈黙が続いた……「もし…私が……君以外の誰かと…交尾したら……君は、平気?」

「送信者 アル
しばらく、沈黙が続いた……「う〜ん…イヤかも…」

「送信者 アブ
「かも……って…かもなの?…絶対じゃなくて?」悲しそうに彼を見つめた…

「送信者 アル
落ち込んでる宮市さんを見たらなんとなく罪悪感…「い、いや…絶対だ!そうそう、絶対だ!」

「送信者 アブ
「もう……いいんです……君の私に対する気持ちはその程だったんですね…」

「送信者 アル
「その程度ってどの程度だよ?!あんたが他の虫とヤッてるとこが全然想像できないんだ。あんたは他のヤツと交尾しちゃだめなんだ。俺は、あんたとしか交尾しないって決めてんだぞ。好きなやつとしかしちゃいけないんだ。こんな当たり前のこと聞かれても答えようがないだろ?」

「送信者 アブ
「あ…あ…あいざわくぅぅぅぅん!うっうれしいですぅぅぅ……わかりましたぁ、絶対、絶対、ぜぇぇぇぇっったい!他の奴とは交尾しません!手も繋ぎません!だから君も私以外と、例え仕事でも交尾したり手を繋いだり話したりしないで下さいねぇぇぇ!」もう、嬉しくて嬉しくて泣きながら彼に抱き付いた。

「送信者 アル
「へっ?あ、う…うん…」あまりの勢いに思わず頷いてしまった。「だけど話するくらいは、いいと思うぞ…」

「送信者 アブ
「君はいったい私以外の誰とどこでどんな内容の話しをするつもりですか?」

「送信者 アル
「あのなあ…しゃべんないで、どうやってマネージャーの仕事すんだよ?」呆れ〜

「送信者 アブ
「……じゃあ、千歩ゆずって私の見える範囲内なら話す事許可します」

「送信者 アル
見えてないとこで話してるかどうかなんて、どうやってチェックすんだと思ったけど「わかった、約束する。けどマネージャーの仕事中は我慢しろ」と答えた。やれやれ…

「送信者 アブ
「じゃあ、ずっと一緒にいて下さいね!仕事中もそうじゃない時もですよ!私から離れたりしないで下さいね!」

「送信者 アル
「はい、はい」宮市さんに抱きついた。

「送信者 アル
こうして、キリギリス宮市さんも人間宮市さんのように俺にベタ惚れのヘタレになった。部屋に住まわせてもらっているかわりに俺が家事いっさいを引き受けるつもりだったのに、気がつくと料理も洗濯も掃除も彼がいそいそとやってくれていた。そして俺も人間の保みたいに殿様になってしまった。宮市さんは冬が来ても約束どおり死ななかった。自社ビルの暖房のきいた部屋で、俺と一緒に冬を過ごした。これからも俺たちはずっと一緒だ。大好きだよ、宮市さん(^-^)




「アリの俺とキリギリスのあんた」 おしまい