第四章
「送信者 アル」
宮市の部屋を訪れた日から一ヵ月近くが過ぎようとしていた。すぐ近くに迫った大学祭の打ち合せで、あの出来事以降も頻繁に彼と顔を合わせていたが、宮市は関係ができる前に戻ったようになんの屈託もない態度で谷に接してくる。誘う素振りさえ見せない宮市に、もう気がすんだのだろうとホッとしながらも、何故か拍子抜けがしたような、見捨てられたような虚しい気持ちを抱えている自分を持て余していた。
「送信者 アル」
人を人とも思わないような見下した態度で弄ぶ宮市に身体が震えるほどの怒りを感じていた。だが、それとは別に強烈な快感の記憶を植え付けられてしまった…彼の姿を目にするだけで、それらの記憶が蘇り身体が火照り疼きだす…その夜も彼との情事を思い出し、なかなか寝付けないでいた。仕方なく自分で自分を慰める。宮市の欲望に憑りつかれた瞳、巧みな愛撫や荒い息遣いを思い返しながら、自らを刺激し精を吐き出した。その後、ひどい自己嫌悪に陥ったまま眠りについた…
「送信者 アブ」
今度の獲物もかなり凌辱される事に慣れて来たようだ。いつもの事ながら奴等の乱れ方と言ったら…最初の羞恥心はどこに行ったのやら……だが、それでいい…たかが獲物の分際で余計な感情なんか必要ないんだ…こっちを楽しませてくれる、その為だけの存在で充分だ。さて、今回も無視してもぅすぐ一か月になろうとしている…そろそろ仕上げの時かな?!奴等のパターンは決まっていてこっちが責めると抵抗するが無視されると気持ちとは裏腹に体が疼くんだ…ったく浅ましい生き物だ…
「送信者 アブ」
僕は携帯で彼を生徒会室に呼び出した。断る訳などあり得ない…たかが一か月足らずで忘れ去る事が出来るような半端なやり方で責めてはいないのだから…
「送信者 アル」
講義終了後、生徒会室に来いという宮市からの呼び出しに戸惑いながらも結局は応じていた。帰路につく後輩達と廊下ですれ違い挨拶を交わしながら重い足取りで生徒会室に向かう。ドアを開けると宮市が椅子に腰掛け、部屋の隅にあるテレビを見ていた。何気なく画面を目にし、心臓が凍り付いた…一ヵ月前の…宮市に凌辱されている自分が…責め具を装着され快楽に喘ぐ自分の乱れた姿が画面いっぱいに鮮明に映し出されていた。「やめろ〜っ!!」飛び掛かるようにテレビのもとに走りより慌ててスイッチを切った。
「送信者 アブ」
「あぁ〜あ…せっかくいい所だったのにぃ…なんで消すの?君のドキュメントじゃないですか…」僕は再びスイッチを入れた
「送信者 アル」
あまりの恥ずかしさに身体がブルブルと震え、真っ赤な顔で立ちつくす。「こ…こんなところ…で…」
「送信者 アブ」
真っ赤な顔で立ち尽くす彼に笑いながら「何、恥ずかしかってんの?君がやって来た事じゃない…」
「送信者 アル」
まっすぐに自分を見つめる宮市から視線を逸らし俯いて「お願いです…こんな所で…見ないで下さい…」と言った。
「送信者 アブ」
「やれやれ…ビデオ、止めてもいいけど……」画面を指さし「これと同じ顔、今ここで見せてよ」
「送信者 アル」
「そ…そんなこと…」画面を見る勇気もなく、ますますうなだれた。
「送信者 アブ」
「ふぅ〜ん…じゃあ、ビデオを楽しむとしましょう…」ワザと音量を上げた
「送信者 アル」
部屋中に自分の出す感極まった声が響き渡り、頭がおかしくなりそうだった、「あっ…あ…い…嫌だ…やめて〜っ!」耳を塞ぎ大声で叫ぶ。「で…でも…同じ顔なんて…できな…い…許して…ください…」
「送信者 アブ」
「ねぇ……この表情って…何してる時の顔?そんな風に考えればおのずと答えが出てこない?」
「送信者 アル」
恥ずかしくてたまらないのに、無理矢理見せられる画像が次第に快感の記憶を呼び起こし身体が熱くなる…「一人では…無理…だから…」
「送信者 アブ」
「じゃあ、用意すれば?このビデオみたいに今日も淫具必要?」
「送信者 アル」
「い…いやだ…あ…あの…抱いて…ください…」羞恥に震えながら、やっとの思いで口にする。
「送信者 アブ」
「フッ…いいですよ…でも、僕はまだ君程乗る気にはなってない…どうすればいいと思う?」
「送信者 アル」
いつ誰が通りかかるかもしれない場所で大音量のまま、つけっぱなしにされたビデオが気が気でない…冷や汗が流れ落ちる。なのに身体は今から始まる行為を無意識に期待してか熱く昂ぶっていた…「あの…じゃあ…僕が…口で…」
「送信者 アブ」
「へぇ〜……この口で僕をその気にさせてくれるんだ!」彼の唇を指でなぞりながら「そうだ…君にピッタリの物がある…今すぐに着ている物全部脱いでみてよ…」
「送信者 アル」
え…あの…鍵をかけてください…
「送信者 アブ」
「嫌だね…人が来るのが先か君が僕を満足させるのが先か……どうせならこの位のスリル、楽しもうよ」
「送信者 アル」
「で…でも、こんなところで全部脱ぐのは…無理…」
「送信者 アブ」
なんで無理なの?
「送信者 アル」
は…恥ずかしい…誰かに見られたら…
「送信者 アブ」
今ここにいるのは君の目の前の僕だけだ…
「送信者 アル」
宮市の冷酷な瞳を見つめる…どうせ彼には抗えない…絶望が胸をよぎる。早く彼をその気にさせなければ…逸る気持ちと羞恥に耐えながら谷は服を全て脱ぎ去った。
「送信者 アブ」
「……君って本当、僕の言う事ならなんでも聞いちゃうみたいだね…………フフッ…よく似合う…」話しながら近付き彼の首に鎖付きの革の首輪を取り付けた
「送信者 アル」
「い…嫌だ…こ…こんなの…」そう言いつつも身体は火照り、谷のソレは少しずつ勃ちあがっていった…それがなおさら羞恥を煽り頬を赤らめ俯く
「送信者 アブ」
鎖を引っ張り顔を近付け「フッ…正直な体…本当は首輪が嬉しくて仕方ないんでしょ?かわいい僕の子犬ちゃん…」舌を絡ませ背中に指先を滑らせながら「子犬ちゃん…シッポがないね…」
「送信者 アル」
ほんの少し触れられただけで全身がゾクリと震え何も考えられなくなる。「尻尾…って…?」朦朧とする意識の中で呟く
「送信者 アブ」
「フッ…犬にはシッポが付き物でしょ?!そうだ!いい物がある…」彼にバイブを見せ「子犬ちゃん…お尻に入れてあげる」
「送信者 アル」
上手く思考が働かない状態でも、そのグロテスクな形状には鳥肌が立った。「そんな…そんなの…入らない…」かぶりを振り、後ずさる。
「送信者 アブ」
「じゃあ、試してみようか…でも、このままじゃ無理、だよねぇ。どうすれば入りやすくなるんだっけ?」
「送信者 アル」
怖くてたまらないのに視線は宮市の手にしたバイブに引き寄せられる…「ローションで…」小さな声で答えた
「送信者 アブ」
後方からバイブで頬を滑らせ「さすが、よくわかってるね…」バイブにローションを垂らしながら「これ、好きだよねぇ…欲しかったらお尻こっちに向けてよ」
「送信者 アル」
もう自分でもどうしようもなかった…熱くたぎる欲望を今すぐにでも解き放ちたい…ためらいがちに宮市に背を向けた
「送信者 アブ」
彼を四つんばにさせ「本当に今日の君はかわいいね…これ、ご褒美…」後方に跪き蕾に舌を這わせ彼のモノに指を滑らせた
「送信者 アル」
「んっ、ふぅ…」宮市の舌と指の感触に身体が跳ねた。「あっ、やぁ…もう…」自然に腰が揺れる。
「送信者 アブ」
「子犬ちゃんのここ、すごく柔らかくなって来たね」ローションで濡らしたバイブをゆっくり入れ始め「フフフ…すんなり入ってるよ」
「送信者 アル」
「ぐっ、ふぅぅ…」無理矢理身体を押し広げられる感覚に顔を歪めるが、バイブを挿入されたそこは、ヒクヒクと別の生きもののように蠢き銜え込んでいった
「送信者 アブ」
「ほらっ、すんなり入ったよ…フフッかわいいシッポができたね…子犬ちゃん、用を思い出したから少し留守にするけどいい子でお留守番しててね。淋しくなるといけないからビデオ巻き戻しておくから楽しんでて……」首輪の鎖を机の脚に繋ぎバイブのスイッチを入れて「君の服は預かっておくから……勇気があるなら裸で外に出てみれば?」僕は笑いながら部屋を後にした
「送信者 アル」
「えっ?い…嫌だ」宮市の言葉に戦慄するのに頭の中は霞がかかったようにぼんやりとし全く動けなかった。「んあぁぁ…」複雑な動きで体内を抉るようにうねるバイブにローターとは比べものにならないほどの衝撃を感じ身悶えた。再びつけられたビデオの映像がさらに自分を乱れさせる。首輪をして鎖に繋がれ四つんばいになりバイブを咥えている…その淫らな姿に目がくらむ…谷はそのままの格好で頭を抱えうずくまり、断続的に押し寄せてくる快感に耐え続けた
「送信者 アブ」
僕は教授に借りていた心理学の本を返し少し雑談をして用を終えた。別に今返さないといけないって事でもなかったが彼が首輪を付けバイブの快感に一人で耐える姿を想像したかったのだ。部屋に戻り「ただいま。あれ?どうしたの?随分苦しそうじゃない」ワザと意地悪な事を聞いてみた
「送信者 アル」
テレビ画面は一ヵ月前、宮市に弄ばれている映像とその時のあられもない自分の嬌声が流れている。もうそれだけで達してしまいそうなのに体内をくねるバイブに全身が蕩けていく。何度も自分で極限まで張り詰めた自身を慰めようと手を伸ばしかけたが、それがばれた時の宮市の仕打ちが恐ろしく身体中びっしりと汗を光らせ呻き続けていた。ようやく帰ってきた彼に「ああ〜、はやく!早く…かわいがってください…」必死で訴えた。
「送信者 アブ」
彼の髪を掴み舌を絡ませ指先で彼のモノの先端をなぞった。そっと唇を離し「いい子だ…よく我慢したね、じゃあ、僕のを元気にしてくれたらかわいがってあげる…」僕はGパンも下着も履いたまま彼の前に立った
「送信者 アル」
夢中で宮市のジーパンのファスナーを開きボクサーパンツを引き下げると彼にむしゃぶりついた。ジュブジュブと淫猥な音をさせ舐め回す。もうこれ以上我慢できず宮市に舌を這わせながら、自分のモノに手を伸ばし扱き始めた。
「送信者 アブ」
「誰が触っていいって言ったの?」自慰し始めた彼の手を捻り上げた。「悪い子だ…そんな子にはお仕置しなくちゃ…僕が許可するまで絶対イっちゃダメ…もし守れなかったら明日このビデオ校内放送で流すからね…」乱暴に彼を押し倒しモノを口に含んだ
「送信者 アル」
「ああぁ〜っ、やめて!イク!」宮市の髪を掴み頭を引き離そうと悶えた。「いれて!挿れてください!あぁ…あぁ!イっちゃう!」
「送信者 アブ」
バイブを引き抜き一気に彼の中にモノを突き入れた「ウッ、クゥ…いいよ、子犬ちゃん…すごく締め付けてくる…フフフ、いやらしい体だね。でも、まだお仕置は終わってないよ。簡単にはイかせない」僕は彼のモノをきつく握り締めた
「送信者 アル」
寸前までこみあげていた射精感が根元を捻るように絞られた痛みで一瞬遠のいたが、その後、前にも増して狂おしいほどの快感となり全身を駆け抜けた。「もっ…やぁっ、苦しい…はなし…て、あぁ…いい…いく…」何を口走っているのかすらわからないほど乱れ宮市の腰を抱え込んでいた
「送信者 アブ」
「子犬ちゃん、君の、すごく熱いよ…先が張り詰めてて今にも悲鳴を上げそうだ…でも…まだ、許さない」さらに力を込め彼を握った
「送信者 アル」
先端から先走りの液が溢れだし宮市の指を濡らしている。「離して…お願い…あぁイク!イカせてください!」理性などもうどこにも残っていなかった。何度も哀願し腰を揺らす
「送信者 アブ」
「すごい乱れようだね……君、羞恥心と、か…ないの?…フンッ!そんなに…イきたきゃ…イきなよ…」彼を握りしめてた手を離した
「送信者 アル」
宮市が手を離した瞬間、焦らしに焦らされた谷垣のモノがドクンと脈打ち欲望の塊を勢いよく腹部に飛び散らせた。「ふっ、はあぁ…」あまりの絶頂感に声さえ上げられず苦しげな息を吐き、ヒクヒクと震えながら達した。
「送信者 アブ」
焦らされた獲物のイく姿はいつでも僕を最高の気分にさせてくれる。彼のモノから手を離したと同時に僕も彼に射精物を流し込んだ…顔から汗が滴り彼の体を濡らしていく…「ねぇ…男同士ってのも捨てたもんじゃないって思わない?これだけ乱れたのにまだ女の方がいいって言うの?」
「送信者 アル」
荒い息のまま、ぐったりと横たわり何も答えられないでいた。もうこの男から離れられないかもしれない…そう思うと怖かった…
「送信者 アブ」
その後も彼を欲望のまま玩具のように扱う日々は続いていた。この日もそうだった。彼をマンションに誘い思い付く言葉を投げ掛け可能な限りの責め苦を味あわせた……ベットの上で意識が朦朧としている彼に「ねぇ…今日は電車で大学まで行きませんか?」身支度をしながら声をかけた
「送信者 アル」
昨夜何時間も弄ばれあまり眠っていないのと無理な態勢で縛られていたので体中が痛くて起き上がるのも億劫だったが宮市の言葉に逆らえない。それに今日は一校時から講義があるのを思い出し重い身体を動かし身仕度を終えた。彼のマンションから徒歩10分くらいのところにある駅から、午前7時40分発の快速電車を待つ。ちょうど朝の通勤通学のラッシュ時と重なりホームは多くの人で溢れ返っていた。電車到着と同時に乗車しようとする人波にさらわれ強い力で車内の奥へと押し込まれていく。電車連結部のドアを背に宮市と向き合う格好で立った
「送信者 アル」
宮市と身体を密着させ彼の体温と感じると昨夜の情事の記憶が生々しく蘇り頬が熱くなった。宮市に赤い顔を悟られるのが恥ずかしくて狭い車内で身体をよじり彼に背を向けた
「送信者 アブ」
僕とした事が不覚だった…ただでさえ人との接触を避けているのにこんな身動きもままならない所ではどうにも出来ない…伏し目がちに目の前の彼を見ていた……窓越しに入って来る朝の陽射しはまだ柔らかく彼を包み込んでいた。透き通るような瞳同様、髪もまた陽射しによってセピア色に染まり少し痩せた頬に寄り添っていた…その光景はまるで一枚の絵画を見ているようだった…その時、彼が急に背を向けた。「どうしたの?」不思議に思い声をかけた
「送信者 アル」
「いや…別に…」顔が赤くなっていることに気づかれぬよう背を向けたまま俯いた
「送信者 アブ」
「?本当にどうしたんです?」後方から彼の頬をそっと手の甲でなぞった
「送信者 アル」
突然頬に宮市の手を感じビクッと身体が震えた。「やめてくれ…」小声で制し、手を押しのける。
「送信者 アブ」
熱を帯びた頬、少し手が触れただけなのにあの動揺ぶり……僕はまた意地悪な事を考えていた。背後から彼の胸に手を回し服の上からまさぐり「すごい人だね…この中には同じ大学の奴が居ても不思議じゃないよね…」耳元に頬を寄せて囁いた
「送信者 アル」
「何をす…!」大声で叫びそうになり慌てて口をつぐむ。心臓がドクドク大きな音をたてる。無言で身体をよじり宮市の手から逃れようとした
「送信者 アブ」
「フッ…誰がどこで見てるのかもわからないのにそんな大声で…随分大胆ですね…」服の裾から直に手を入れ胸を撫で回しズボンの上から彼のモノを握りしめた
「送信者 アル」
ズボンの上を這う彼の手首を掴み引き離そうとするがあまり動くと隣の乗客に気づかれそうで冷や汗が出る。肩で彼を押しやめさせようとしても執拗に撫で回してくる手を止めようがなかった。身体を硬くし、じっと耐える。
「送信者 アブ」
窓ガラスに映る彼の顔を見ながら「そんな苦しそうな顔、不自然じゃないですか…それにあまり身を捩り過ぎると何やってんのかバレバレですよ…」囁くように話しながら彼のズボンの前を緩めゆっくり手を滑らせた
「送信者 アル」
「はっ…」ため息のような小さな声が漏れた。隣の人との間を自分のカバンで遮り、宮市の手の動きを隠す。無遠慮にズボンの中をまさぐる指に次第に身体の中心が熱を帯びてきた。呼吸が乱れないよう必死で息を詰める。
「送信者 アブ」
「フフッ…みんなに悶え狂う姿を見せてあげれば?」ますます執拗に彼のポイントをまさぐった。食いしばる唇を指でこじ開け口内に押し込み「ねぇ…君の喘ぎ声が聞きたい…」と呟いた
「送信者 アル」
「うっ、ふぅ…」車両連結部の扉の窓に額を押しつけ、無理にこじ開けられた唇から声が漏れそうになるのを必死に押し殺す。隣の車両に詰め込まれた大勢の乗客の顔がぼんやり見える。向こうからは、上半身しか見えないだろうが、淫らに歪んだ自分の顔を誰かに気づかれたら…考えるだけで背筋が凍りつくのに宮市に自由にさせている谷垣のモノはすでに容積を増し形を変えていた
「送信者 アブ」
「満員電車で辱めを受け、反応するって、君…すごく淫乱だね。」彼の口から唾液で濡れた指を抜き蕾に当てがい「簡単に指が入って行く……受け入れ準備は整ってるね………ここで……入れてあげようか?」
「送信者 アル」
「あっ、や…」耳元で囁かれる声に膝がガクガクと震えた。今にも達してしまいそうで、不自然に乱れた呼吸を抑えることもできなくなりそうだった。このまま快楽に身を委ねてしまおうか…目を閉じかけた時、隣の車両から心配そうに谷垣を見つめている若い女性と目が合い心臓が停まりそうになった。苦痛にも似た表情を浮かべる谷垣の体調を気遣っているのかもしれない。なんとか平静を保とうとするが淫らに動き回る宮市の指に頬を上気させ虚ろな視線を向けてしまう。これ以上は我慢できなかった。「次の駅で降ろして…トイレで…」彼に囁いた。
「送信者 アブ」
「次の駅で下りたりしたら講義に遅れますよ…それでも構わないんですか?」蕾に沈めた指で彼の反応の激しい箇所を刺激しながら聞いた
「送信者 アル」
「いいから…お願い…」
「送信者 アブ」
「じゃあ、乱れたその身なりを何とかすれば?」服装を整えた彼の腕を掴み駅に着くなりトイレに駆け込み個室に鍵を掛けた。便器に手を着かせ乱暴にズボンを下げ一気に突き上げた。
「送信者 アル」
焦らされ続け、彼の侵入を待ち望んでいた身体は宮市に貫かれ燃え上がった。「はあぁぁ〜」自分の快感を告げる声が個室の外に漏れるのもかまわず喘ぎ、宮市をより深く受け入れようと腰を突き上げる。「あっ、だめ、も…いく…」便器に白い液体をほとばしらせた
「送信者 アブ」
勝手にイってしまった彼に怒りを感じた僕は身を沈めたまま後方から髪を引っ張り「誰がイっていいって?少しは我慢して僕を楽しませようとか考えないの?」
「送信者 アル」
髪を掴まれ苦痛に顔を歪め「ごめんなさい…」と謝る。「僕のお尻…使ってください」洋式便器の蓋に肘をつき宮市をくわえこんだ腰をさらに突きだした。
「送信者 アブ」
「フフッ…君、今すごい格好だよ、自分のお尻を僕に突き出して使ってくれって言ってるんだよ。ねぇ…本当に子犬ちゃんになったみたいだね。」
「送信者 アル」
見下すような侮蔑の言葉さえ今の谷垣にとっては興奮を煽るだけのものだった。「はぁああ…はぁ…」自ら腰を宮市に打ちつけた。
「送信者 アブ」
後方から彼のモノに手を回し「すごい、今にもはち切れそうだ…これ、どうしようか?」
「送信者 アル」
「うあぁ…はっ…触って…ください」再び硬く張り詰めた谷垣のものは、宮市の愛撫を待ちわびひくひくと脈打っていた。
「送信者 アブ」
「……いいよ…でも、このまま君が昇天したら僕は君に奉仕しただけになる…だらしなくすぐ、イったりしないでちゃんと僕に奉仕出来る?」彼のモノを指で弄びながら囁いた
「送信者 アル」
「うっうぅ…」夢中で頷いていた。宮市に背後から激しく突き上げられ何度も意識がとびそうになるが彼を先に満足させなければならない…必死で耐える
「送信者 アブ」
「フッ、まだ…ダメ…先に…イったら…お仕置だ、よ‥フフッ…」苦しそうな彼の喘ぎ声を聞きながら我慢も限界に来ているモノに容赦ない愛撫を続けた
「送信者 アル」
「あっふ…ぅ…もう、ダメ…限界です…許してください…」
「送信者 アブ」
「フッ…ハァ…じゃあ、許し…て、あげるよ…クッ、ウッ」彼の中に欲望を出し切り僕は満足出来た…「良かったよ…子犬ちゃん…じゃあ、行こうか」
「送信者 アル」
「え?あ…」突然身体を離され快楽に喘いでいた表情のまま、ぼんやりと宮市を見つめた。爆発寸前まで昂ぶっている熱を持て余す。「あ…の…僕の…も…」言葉を濁した
「送信者 アブ」
「ん?!あぁ…そうだね……じゃあ、場所を変えよう…」話しながら彼の下着やズボンをずり上げた
「送信者 アル」
完全に勃ちあがった状態のままズボンを身につけさせられ、トイレから出る。硬く張り詰めた自身がズボンの布地を突き破りそうな勢いで押し上げていて、まっすぐ歩くのもつらかったが、宮に促され再び駅のホームにむかう。電車に乗るという宮市に「無理です!」真っ赤になりうろたえた
「送信者 アブ」
僕は冷ややかな笑みを浮かべ「何言ってるの?電車に乗らないと大学行けないよ…今日、落とせない講義があるんじゃなかったっけ?」
「送信者 アル」
宮市の有無を言わさない口調にあきらめ、カバンで前を隠し電車に乗り込んだ。
「送信者 アブ」
彼の耳元に顔を近付け「辛そうだね…ねぇ、僕の言う事聞いてくれたらすぐ楽にしてあげるんだけど…」
「送信者 アル」
恥ずかしくて俯いていた顔をあげ、すがるように宮市を見つめた。「何をしたら…」
「送信者 アブ」
彼の腰に手を回しワザと耳に息を吹き掛けるように話した「ほらっ、あそこに女の子が座ってるだろ?!あの子前に吊り革を持って立って来て」
「送信者 アル」
いつの間にかラッシュ時のピークを過ぎた車内は、座席は全て埋まっているもののかなり人影はまばらになっていた。そんな中で今から自分がとる行動を考えただけで顔から火がでそうだ…だがすでに彼の言葉に反抗する気力もなくカバンで股間を隠し、宮市が指定した20代前半くらいのOL風の女性の前に立ち吊り革を掴んだ。そして途方にくれ少し離れた場所で様子をうかがっている宮市を見た。
「送信者 アブ」
「チッ…」想像と違う彼の行動に思わず舌打ちをした。不安そうに僕を見つめる彼に(鞄をどけろ)と、顎で合図を送った
「送信者 アル」
鋭い目付きで顎をしゃくり、鞄をのけろと合図を送ってくる宮市に彼を怒らせていることに気づいて震え上がった。所在なく座っている女性の前でおずおずとズボンの前を隠していた鞄を除ける。そこは宮市に一部始終を見られていることで更に昂ぶり、窮屈そうに布地を押し上げている。瞬間はっと息をのむようにして谷垣を見上げた女性が真っ赤な顔で俯くのを視界の端で捕らえた。死んでしまいたいほど恥ずかしかった…金縛りにあったように身体は動かず恥辱にまみれブルブルと震えながら立ちつくしていた
「送信者 アブ」
(品行方正の優等生君のあの無様な格好…ったく、犬以下だね…でも、暇つぶしにはなったからそろそろ許してやろうかな…)駅に電車が着くとすぐ彼に近付き僕のジャケットで前を隠し耳元で「合格!最高でしたよ」と小声で話した。彼の腕を掴みホームの端の人気のない場所に連れて行き荒々しくコンクリートの壁に押しつけ唇を重ね直に手を下着のなかに滑らせた
「送信者 アル」
変質的な行為から解放された安堵も束の間、ホームの端でいきなり限界近くまで張り詰めたモノを刺激され混乱し宮市の手を振りほどこうともがいた。「あっ、いやだ!ああっ!」ほんの少し上下されただけで快感に震えドロリとした液体を下着の中に吐き出してしまった…放心したまま壁に寄り掛かりずるずると地面に沈み込んだ。
「送信者 アブ」
「あ〜あ…まだずらしてないのにもぅ出ちゃったの?」下着の中で果ててグッタリしている彼を見下ろし「でも、まっ、君の望みは叶った訳だね。じゃあ僕は先に行くから…」彼を残して先に歩き出した。
「送信者 アブ」
この後も彼を玩具扱いする日々は続いた。校内、野外、僕が欲情すれば呼び出し体内に欲望を流し込み、失神寸前の彼を置き去りにしていた。一人の人間をおもちゃのように弄ぶ事になんの疑問も罪悪感もなかった。嫌なら逃げればいいのにいつも必ず来ていたのだから……その日も自室に呼び出し何時間も凌辱し続けていた。両手をベットの柵に縛り乳首にはクリップで電流を流し蕾の奥にはスイッチの入ったローターを忍ばせながら彼のモノを口内に含んでいた。「僕の口を汚したら許さないからね」脅すように話した
「送信者 アル」
「あっ…はっ!許してください…あぁ…気持ちいい…」宮市に銜え込まれ歓喜の声を上げる。彼が自分を性処理の道具としか扱っていないことはわかっていた。それでも飼い馴らされた身体は宮市を求め快楽を貪る。「ああ〜イク…気持ちいい…早く…早く本物をください…」腰を揺らしねだり続けた
「送信者 アブ」
「まだ、あげない…」舌でモノを舐め回した
「送信者 アル」
焦らされると微かに残っていた理性もプライドもガラガラと崩れ落ちていく。宮市が欲しいと、頭の中はただそのことで一杯になる。「もうだめ…挿れてください…あぁ、あぁ、いれて…イっちゃう…」息も絶え絶えに訴える。
「送信者 アブ」
「………」僕は無言で彼に突き入れた。ローターが先にあたり振動がこっちにも伝わり背筋に電流が走ったように感じる……「うっ…」一気に頂点に達し、射精した…僕とほぼ同時に彼もビクビクと体を痙攣させながら達したようだ…グッタリと崩れ落ちる彼を冷めた目で見つめ「君よりローターの方が楽しめたよ……」と小声で呟いた。……この玩具にも飽きて来たな…
「送信者 アル」
昨年の夏の終わりに宮市と関係をもつようになってから半年が過ぎ、谷たち四回生は卒業式を迎えた。
四年間過ごした大学キャンパスを谷は感慨深げに眺める。
卒業後は大手証券会社に就職が決まった。
次期生徒会長のポストは宮市が引き継いだ…
彼ともこれからは顔を合わす機会が減るだろう…
これを機に解放されるかもしれない…
そう期待しながらも宮市の存在なしの…もっとはっきり言ってしまえば彼の肉体なしの生活に耐えられるのだろうかという不安もあった。
恋愛感情があるのかは自分でもわからなかった。
ただ時折無性に彼が欲しかった
卒業式のあと生徒会の新旧役員によるささやかな慰労会があった。
最後に宮市と二人きりになった時、何とも言いようのない不思議な感情がこみあげ
「卒業後も…」会ってほしい…言いかけて宮市のもう自分になんの興味も関心もないような冷たい視線にひるみ言葉を濁した…
「送信者 アブ」
(卒業後も…)彼の言おうとしてる事はすぐ理解できた…でも、それは僕の考えとは違う……「谷さん一年間、生徒会長お疲れさまでした。後は僕が後を継ぎますので安心して下さい。」一礼して彼に背を向けた。
エピローグ
「送信者 アブ」
今年は晴天に恵まれ見事な満開の桜が目を楽しませてくれている…
生徒会議室のグランドに面したこの窓から見る桜は格別だ。
早いもので今日は入学式だ。
ゾロゾロとグランドを新入生達が歩いて校舎に入って来ている様をぼんやり窓際に頬杖を付いて見ていた。
「……!」
バカ面をさげた新入生の群れの中にスーツをラフに着こなし鋭い視線で眩しげに天を仰いでいる彼を目にした時、僕は高鳴る鼓動を抑える事が出来ず震える手で新入生名簿で彼を探した。
「あ、い…相澤、保…」
気怠そうに歩く彼を見つめ呟いた
「ようこそ、僕のかわいい獲物君」
「標的」完 「罠」へつづく
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