第二章
「送信者 アル」
出社し慌ただしく業務をこなす。午後、次回の積み荷確認のため、小林と共に資料を携えM商事に向かう。仕事場の一角にある応接セットに小林と並んで腰掛け、直接の担当者の片岡さんと宮市部長を交え打ち合わせだ。「えー、次回、ハンブルグ向け貨物なんですが、先方の納期が2月中旬とのことですので、通関手続きの日数を見込んで…」俺は、事務的な口調で話を進める。
「送信者 アブ」
今日の午後、相澤君が我が社に来る♪と、言っても仕事絡みなのだが……でも、私の淋しさに打ちひしがれた心に差し込む光のようだ……そんな気分で彼を待っていたのに……なんで、彼の側に小林がいるんだ?それも肩が触れるか触れないかのキワドい距離で寄り添ってるではないか!!面白くない!!非常に不愉快だ!!
「送信者 アル」
「それでですね、この本船のスケジュールが…」ここまで話して顔を上げ、俺はギョッとした。宮市さんがすごい形相で俺を睨み付けているのだ。幸い片岡さんも小林も資料に目を通していて気づいていない。俺は、宮市さんに必死に目くばせして、資料を見るよう合図を送った。
「送信者 アブ」
「スケジュールはともかく……君達、随分寄り添ってるんだけど…我が社のソファはそんなに狭いですか?」ニッコリ微笑みながら彼から視線を外さず話した…
「送信者 アル」
「はっ?はあぁ?」素頓狂な俺の声が部屋中に響き渡り、片岡さんと小林がキョトンとした顔で俺を見ている。「あ、いや、天下のM商事さんのソファが狭いだなんて、そんな滅相もない。ははは…」俺は、大慌てで小林から離れた。
「送信者 アブ」
「……指摘されなきゃ寄り添ってる事に気付かなかったんだ……って事は君達はその距離間が自然って事なのかな?」笑顔を崩さず話した。
「送信者 アル」
「えー、それで、ハンブルグ到着予定が…」冷や汗をかきながら、宮市さんを無視し、会話を進める。
「送信者 アブ」
「到着予定ねぇ……今夜は二人でいったい、どこに到着予定のつもりなのかな?」資料に目を通しながら小声で皮肉った…
「送信者 アル」
「えっ?」小林が宮市さんの言葉に不思議そうな顔をする。「あっ、いや、その…」焦りまくる俺だが、片岡さんは聞こえてなかったのか、「相手は、わが社にとって、とても大切な取引先なんです。展示会用の商品なんで、納期に間に合わないと大変なことになりますからね。それで配船スケジュールの安定してるグループの船会社に契約をお願いしたいと思いまして、貴社に…」彼は、にこやかに話し続ける。
「送信者 アブ」
「このプロジェクトに対する我が社の意気込みは片岡の話で納得いただけたと思いますが……本当に彼の説明の通り、相手は社にとっても強いて言えば、私にとっても、とても大切な相手なんです。長年かけてやっと私の思いが通じ、相手もそれに答えてくれて、双方とても上手くいってたのに……それを今さらどこの馬の骨ともわからない他社に横取りされるなんて許せる筈がありません!ですからその様なミスのない事だけ、くれぐれもよろしくお願いします」私は冷ややかな笑みを浮かべながら熱く語った…
「送信者 アル」
(み、宮市さんは、一体何を口走っているんだ?)冷や汗が背筋をダラダラと流れ落ちる。自分が敵視されているとは夢にも思っちゃいない小林が「ご安心ください。我が社は、安心、安全、確実にをモットーに日夜サービスの向上に努め、他社の追随を許しません。宮市部長の先方にかける熱い思いをしかと受け止め最善を尽くします。どうぞお任せください!」と、胸を張って言い切る。
「送信者 アブ」
「……小林君…でしたね…熱意のある意見を聞かせていただきありがとうございました。改めてこちらを進めた片岡の目に間違いがなかったと確信いたしました……ところで君…随分ガッシリとしてますねぇ……スポーツかジムにでも通ってるのですか?」話しながらも敵のチェックは忘れない…
「送信者 アル」
「はっ?私ですか?…私は、小学生の時から野球一筋です。高校時代は甲子園にも出場しましてね。一回戦負けでしたけど。今も会社の野球チームに入っているんですよ」…小林が屈託なく笑う。
「送信者 アブ」
「ほぉ、じゃあ、野球少年だったんですね。どうりで爽やかな雰囲気の人だと思ってました。私なんてスポーツは全くダメだから羨ましいですねぇ……そういや…相澤君も…好き…でしたよねぇ……スポーツ…」冷笑を浮かべ彼を見据えた…
「送信者 アル」
「あ…はい…まあ…」慎重に答える。
「送信者 アブ」
「小林君…彼と何か手合わせした事あるんですか?」
「送信者 アル」
「えっ?…手合わせ…ですか?」
「あ、あの、そろそろ本題に戻って仕事の話を…」俺は、間に割って入った。
「送信者 アブ」
「残りの書類は今から片岡君がまとめて後日、渡すそうですからビジネスの話しはその時、また改めて……それより、私は将来有望株の君達ともう少し話して仲良くなりたいのですが……小林君、取引先の上司とだなんて迷惑ですか?」少し遠慮がちに小林を見つめた…
「送信者 アル」
「いえ、迷惑だなんてとんでもない、光栄です」小林がさわやかに答え、俺は脱力して、ソファに深く腰掛ける。「では、私はこれで」片岡さんは、席を立った。
「送信者 アブ」
「光栄だなんて……こちらこそ光栄です。で、どうなの?二人で試合した事あるの?」私はこれ以上の笑顔はないとゆう笑顔で話した。
「送信者 アル」
「試合?野球ですか?社内の親睦野球大会くらいなら。彼、すごく上手ですよ。ね?」小林が俺に笑いかける。
「送信者 アブ」
「へぇ〜!上手なんだぁ……でも、意外ですねぇ、君のようにガッシリタイプなら野球上手くても頷けますが、彼はどちらかと言うと華奢なタイプに見えるんだけど……案外筋肉質なのかな?」私はこれ以上の優しい笑顔はないとゆう笑顔で話した。
「送信者 アル」
「あ〜、どうなんでしょう、相澤くん、確か学生時代、サッカーやってたんだよね?そういえば、いい身体してるよね」
「送信者 アブ」
「……どうして君ごときが、彼の身体の事…知ってるの?」私の顔から作り笑顔が消えた…
「送信者 アル」
「…君ごとき、って…えっ?宮市部長?」急に真顔になった宮市さんに不穏な空気を感じ、俺はビビる。だが、小林は鈍感だった…。「あぁ、裸は、練習や試合の時、着替えやシャワーで、普通に見ますよね」けろっと答える。
「送信者 アブ」
「普通に…って……君は普通に彼の裸を見ているのか?君達は普通に裸が見れる間柄なのか?」この間の抜けた雰囲気…どこかで……園田だ……(*また園田だぁ〜←アルの笑。『悪夢の入院』参)
「送信者 アル」
「こっ、こっ、小林くん、そろそろ帰ろうか…」俺は、ギクシャクしながら立ち上がる。だが、小林は脳天気だった…。「いやだなあ部長、男同士なんだから、裸見るくらい当たり前じゃないですかぁ」
「送信者 アブ」
お…おのれ園田二号め……「……小林君……君の直属の上司は…誰?」左遷だ……相澤君に二度とちょっかい出せないように、南極か北極に飛ばしてやる…
「送信者 アル」
ヤバい、完全に宮市さんが正気を失っている。「小林には、俺、いや、私のほうから、よぉく言って聞かせておきますから」慌てて、説得する俺に、「へっ?私、何か失礼なことを申し上げましたか?」と小林の呑気な声が。
「送信者 アブ」
「君……言って聞かせるって…どんな風に?……私を真似てお仕置でもするの?……それはないよねぇ…だってお仕置されてのけ反りながらイっちゃうのはむしろ、君の方だもんね…」私は怒りのあまり、意識が朦朧としていた…
「送信者 アル」
言葉の意味がわからず、キョトンとしている小林の横で、俺は顔から火を吹き、次の瞬間、バアーンと派手な音をさせ椅子を蹴倒し、「いい加減にしろよぉ〜、てめえは、セクハラおやじかよおおぉぉ〜!」と、大声で叫んでいた……フロア中の人々の視線が一斉に俺と宮市さんに集中し、シーンと静まり返る。「ちょっ、ちょっと、相澤くん、君、部長になんてことを!失礼だろ!」小林が真っ青になり、俺を押しとどめる。
「送信者 アブ」
「あ……いざわ…君?」いったいなにが起こったのかわからずただ茫然と彼を見つめた…
「送信者 アル」
怒りに顔を真っ赤にして、仁王立ちしていた俺だったが、全員の視線を浴びてから、やっと冷静になった。絶体絶命の大ピンチだ…客観的に見れば、俺は「仕事をもらっている大切な得意先の部長を罵倒する、よその会社の平社員」なのだ…そして最悪なことに唯一の俺の弁護人であるはずの小林は、天然すぎて、何故俺が怒りだしたか、まるでわかっちゃいない。(もっとも理解してもらっても困るが)
俺は、ワナワナと震えながら「申し訳ありません」と深々と頭を下げ、小林の腕を引っ掴むと、逃げるようにその場を去った。
「送信者 アル」
「相澤くん、マズイ、マズイよ!宮市部長にあんなことしたのが、もし上司の耳に入ったら俺たち…もう一度、ちゃんと謝ったほうがいいよ!ねっ?ねっ?」外に出てからも、小林は顔面蒼白になり、俺にすがり付くようにして引き止める。「わかった。謝ってくる」彼を先に社に帰すと俺は携帯で宮市さんを呼び出した。「宮市部長、お話がありますので、玄関ロビーまで下りてきていただけませんか?」
「送信者 アブ」
彼が去った後、しばらく茫然としていたが部下の私を気遣う声や状況の説明を求める声に我に返り「海外貿易のもたらす利益と負担」の意見交換をしていてお互い熱くなりすぎた。と説明し終わった時、彼からの携帯がなった……「はい!すぐ行きます!」と、即座に答えた。きっと先程の暴言を謝る為、私を呼び出したのだろう……私は彼の元に急いだ。
「送信者 アル」
宮市さんが姿を現わすと俺は外に出て、人気のない通りの電信柱の陰に彼を呼んだ。「宮市部長、私は、今、猛烈に腹を立てています。何故だかおわかりですか?」こめかみを引くつかせながら低い声で彼に尋ねる。
「送信者 アブ」
「もっちろんです!あんな筋肉バカに舐めるように身体見られただなんて、誰だって腹立だしい!でも、安心して下さい!私が二度と君に指一本触れさせませんからね!」私は意気揚々と胸を張って話した。
「送信者 アル」
「……私が腹立たしく思っているのは、小林ではありません」
「送信者 アブ」
「…じゃ、誰?」
「送信者 アル」
「…宮市部長…あなたです」
「送信者 アブ」
「私?……なんで?」
「送信者 アル」
「私たち二人の関係を周囲の人に気づかれないようにと、私は毎日のように、あなたにしつこくしつこく、繰り返し繰り返し、何度も何度も念を押しているにも関わらず、何故、怪しまれるような言動をするんですか?」
「送信者 アブ」
「怪しまれるような言動?私が?いつその様な事を?」
「送信者 アル」
「…一体いつ怪しまれない言動をしたのか、私のほうが聞きたいくらいです。始めから終わりまで、怪しさの固まりでした…」
「送信者 アブ」
「相澤君……君…大丈夫?朝から無理してあんな物食べるからぁぁ……昼食はすませたの?なんだったら今から食事に行きますか?病院の方がいい?」心配になり彼の顔を覗き込んだ。
「送信者 アル」
頭痛がしてきた…でもそれを口にすると、「ほら、やっぱり!さあ、病院に行きましょう!」と言うに決まっているから黙ってた。「いいですか?これからは、私たちが何か関係があるようなことを匂わせる言動は、一切謹んで下さい。もし今後、今日のようなことがあれば、私は、上司にたのんで、あなたの会社の担当を外してもらいます。外であなたを見かけても、絶対に話しかけませんから、そのつもりで」
「送信者 アブ」
「な……なんで?なんで?担当外れるの?それに声かけないなんて……なんでそんな意地悪するの?」泣きそうだ…
「送信者 アル」
「……一緒に暮らせなくなってもいいんですか?」
「送信者 アブ」
「い…嫌です……いいわけ…ない……」ウルウル
「送信者 アル」
「とにかく、今日のほとぼりが冷めるまで、しばらく外で私に話しかけないでください」
「送信者 アブ」
「そんな……」私は頷き声も出ない…
「送信者 アル」
茫然自失の宮市さんに「お話は以上です。失礼します…」そう言い残し、その場を離れた。ちょっとかわいそうかなと思ったけど、このくらい言わなきゃ彼には通じない。会社に戻ると、小林が「どうだった?」と飛んできたから、宮市部長は、『あんなこと、たいしたことじゃありません、気にしないでください』と言っていたと伝えると、「ああ、よかったぁ、さすが部長は人間ができてるなあ、これで今夜は心置きなく君と飲めるよ」と胸を撫で下ろしていた。平和なやつだ…。
「送信者 アブ」
彼の怒りを受け私の思考回路は混乱の極みをみせていた…もう一度冷静に考えてみよう……
今日、仕事の打ち合わせに彼が筋肉バカと我が社に来た。打ち合わせ中、ずっと筋肉バカが彼にベッタリ寄り添っていたので注意をした。筋肉バカの分際で彼に気があるみたいだったのでさりげなく、探りを入れると次々と衝撃の告白をし始めた。で、なぜか私が彼に怒られた……まるで筋肉バカをかばってるみたいだった…いや、かばっていたのだ!彼は…バカをかばっていた……で、私は彼の怒りをかった……あぁ…もう…ますます混乱するばかりだ…
「送信者 アル」
宮市さんのことが気になりながらも、俺は退社後、予定通り小林と飲みに行き、午後11時、家に帰った。「ただいまぁー」玄関のドアが開いていたから、声をかけ中に入ったけど、真っ暗だ…。手探りで玄関のスイッチを探し電気をつけようとしたけど、何故かつかない。不吉な予感に胸がドキドキしながら「宮市…さん…?」壁伝いにリビングに向かい、あちこちの電気のスイッチを入れようと試みたけど、やはりどれもつかなかった。俺は、携帯画面を開き、その微かな明かりをたよりに事態を把握しようと辺りを歩き回る。
「送信者 アル」
「おわっ!おわああぁぁ〜!」俺は、何かデカイ物体に蹴つまずき、ひっくり返った。「な、なんだ、これは?」ペタペタと触りまくった。
「送信者 アブ」
「私です……宮市です…」ベタベタ触りまくる彼に囁いた…
「送信者 アル」
「ぎゃあ〜、しゃべったぁ〜!」腰が抜けた…。
「送信者 アブ」
彼はまるで、もののけでも見たように驚いた…きっと、もう私はここにはいないと思っていたのだろう……「お泊まり…じゃ…なかったの?」ますます小さな声で囁いた…
「送信者 アル」
「宮市さん?宮市さんだな?あんた、なんで真っ暗なとこで、石みたいに固まってるんだよ?巨大な岩石かと思ったぞ。と、とにかく明かりをつけよう!なんで電気がつかないんだ?」
「送信者 アブ」
「家中のブレーカーを落としてるんです……今の私には…月明かりすら眩しい…」
「送信者 アル」
「こら、ちょっと待て!家中のブレーカー落とされたら、俺が帰ってきた時、びっくりするって考えなかったのか?それとも、ドッキリカメラか?」
「送信者 アブ」
「まさか…戻ってくるだなんて思わなかったから……荷物を取りに来るにしても…明日だと…思ってましたから…」
「送信者 アル」
「…戻ってくる?荷物を取りに来る?…何の話だ?」
「送信者 アブ」
「す……好き…なんでしょ?!」一気に涙声に…
「送信者 アル」
「……誰を?」
「送信者 アブ」
「奴です……小林です」
「送信者 アル」
「小林?俺が小林を好き?あぁ、またわけわかんないことを!とりあえず、電気つけよう、電気」俺は、再び壁伝いに歩き、ブレーカーを手探りで探しあてると、パチンッとスイッチを入れた。いきなり家中の電気がついて眩しくて目を細める。宮市さんは、手で顔を覆いうずくまったままで、そこだけ、どよ〜んと空気が淀んでいた。
「送信者 アブ」
「わけわからなくない!……だって…かばったじゃないですか…」
「送信者 アル」
「かばったって…小林をか?…俺がかばったのは、小林じゃない、あんただよ」
「送信者 アブ」
「あれのどこが、かばったになるんですかぁぁぁ……担当外れるとか話しかけるなとか……どう考えたって私を引き離そうとしてるじゃないですかぁぁぁ…」
「送信者 アル」
「もぉ、わかんねぇやつだな!俺たち二人の関係は、秘密の恋なの、甘い甘い禁断の愛なの、世間の人に知られちゃいけないシークレットラブなの。わかる?」
「送信者 アブ」
「秘密の甘い甘い禁断の世間の人に知られちゃいけないシークレットラブの相手に対してセクハラ親父ですか……」ますます落ち込んだ…
「送信者 アル」
「セクハラおやじってのは言葉のアヤで…と、とにかく秘密の甘い甘い禁断の世間の人に知られちゃいけないシークレットラブだから、周りの人にバレないように、俺は必死であんたをかばっんじゃないか」
「送信者 アブ」
「脳天気な筋肉バカとこれみよがしに、いちゃいちゃして人前でしかも私の部下がいる前であんな大声で罵倒して挙句の果てに担当外れるだの、人前で話しかけるなだの言われて、おまけに今夜は筋肉バカとデートしておいて……ハッキリ言って下さい!俺は筋肉が好きだって!インテリジェンスな宮市なんかより園田や小林みたいなバカで間抜けで脳天気な筋肉だけが取柄の筋肉バカが好きだって、認めたらいいじゃないですかぁぁぁ……グズグズ…グスン…グズッ…」
「送信者 アル」
「俺、筋肉が好きだなんて今まで言ったことねえぞ!小林は、正真正銘のノンケで奥さんも子供もいるんだ。今日も娘の自慢話ばっか、さんざん聞かされたし、園田さんって、一体いつの話だよ、入院中に世話になった看護師さんってだけだろ?」
「送信者 アブ」
「言わなくったってわかります!君が二人で出かけた時、さりげなぁぁく工事現場のガテンと言われる人達を横目でジィィィィッと見つめてる事、私が気付かないとでも思ったのですか?!あの人達も筋肉質じゃないですかぁ……グズッ…グズグズ…」
「送信者 アル」
「ガ、ガテンのにいちゃんなんか、み、見てねえぞ…」何故かちょっと焦った。「お、俺がいつ、筋肉質が好きって言ったんだよ、被害妄想も、たいがいにしろ!」
「送信者 アブ」
「………君は…私の…気持ちなんて…なぁぁぁんにも…わかってない……大学の入学式の時…君を見かけてから…私が、どれだけ…君を愛しているか……君は…なぁぁぁんにもわかってない…君と離れて海外勤務の時だって、君の事を忘れた事なんてないのに……そんな私の気持ちなんて…君はなぁぁぁんにも!わかってない…」私はうなだれ、床にポトポト落ちる涙の雫を見ながら呟いた…
「送信者 アル」
「泣くなよ」俺は、狼狽えた。「今日のことは言い過ぎた。あんたのこと大事だから、失いたくないから、俺も必死だったんだ。悪かったよ、もう泣くな、なっ?」俺は、ティッシュペーパーを数枚掴み取ると宮市さんの涙を拭いてやった。
「送信者 アブ」
「グズッ……少しは…クスン……私の…気持ち…グズグズ…わかって…クスン……いただけましたか?」彼に涙を拭いてもらい、泣きじゃくりながら話した…
「送信者 アル」
二人が初めて会った時や、再会した時のことなんかを思い出すと、なんだか俺もしんみりしてしまった。宮市さんの涙と鼻水を拭きながら頭をぐりぐり撫でていた。「あんた、いつの間に、こんなにヘタレになったんだろな。最初とキャラ違いすぎ…」
「送信者 アブ」
「す……好きなんです……君が、他の人見てたとしても……好きなんです……いつも君の事が頭から…離れないんです……私だって…もっと…冷静にして…いたいのに……なんか…やっぱり、君が絡むと……」また涙がこぼれた…「こんなんじゃ……愛想尽かされても…仕方ありませんね…」
「送信者 アル」
「……俺は、あんたに愛想尽かした覚えも、これから尽かす予定もねえよ」彼をギユッと抱き締めた。「もっと自分に自信もてよ。俺に一番愛されてる男だって…」
「送信者 アブ」
「相澤君……それ、本当?筋肉バカより、ガテンよりも私を一番あいしてるって…本当?」抱き締められたまま彼を見つめた…
「送信者 アル」
「もちろん本当だ」
「送信者 アブ」
「う……嬉しいですぅぅぅ!私も愛してますぅぅぅ!」私も彼を抱き締めた。
「送信者 アル」
「……よかったな」やれやれ…
「送信者 アブ」
「……ところで…君……私の事、セクハラ親父って…随分じゃないですか……私に抱かれながらいつも、そんな事考えてたわけ?」彼を抱き締めたまま冷ややかに話した…
「送信者 アル」
「な、なんだよ急に。だから、あれは言葉のアヤで…」機嫌がなおるとさっそく雲行きが怪しいぞ…。
「送信者 アブ」
「言葉のアヤ?セクハラ親父が?まぁ、どっちにしても……許せない……お仕置です…」抱き締めたまま彼を押し倒した…
「送信者 アル」
「わぁ〜待て!俺、今日疲れてるんだ、明日必ず!なっ?」
「送信者 アブ」
ムッ!「君……飲みに行ってたんじゃないの?…疲れたって……筋肉バカとナニしてたの?」馬乗りになり勢いよくシャツを引き裂いた…
「送信者 アル」
「飲みに行ったから疲れたんじゃねえか!」こんなことなら、あのままイジケさせておけばよかったと後悔したが、時すでに遅し。「やめろ〜!」必死に暴れる。
「送信者 アブ」
「い・や・で・す!!飲みに行って疲れるって……君……いったいあのバカと、ナニを飲んだの?」頭の中では彼とバカが○□×……妄想に嫉妬して気がおかしくなりそぉだ!
「送信者 アル」
「飲んで帰ったら酔っ払って、普通に疲れるだろ!それより、俺のシャツ、何枚破れば気にすむんだよー!」
「送信者 アブ」
「私の神経を逆なでするような事するからイケないんです!いい子にしてたらシャツくらい、いっっくらでも買ってあげますっ!」引き裂いたシャツで彼の手首をソファに縛り付けた。このソファはイタリア製で重厚に作られてるから、いくら乱暴者の彼が暴れたってビクともしない。フンッ!
「送信者 アル」
「このっ、離しやがれ!」ドタバタ暴れたが、宮市さんの怪力には、かなわない。「さっきまで、グズグズメソメソしてたくせにー!人格変わりすぎだぁー!」
「送信者 アブ」
「私の気持ちをかき乱すような事するからでしょっ!大人しくお仕置を受けなさい!」バタつく足を押さえ込み、乱暴に下半身を露わにした。「今日、かなり怒ってますから……覚悟して下さいね…」彼を見据えて呟くと乳首に舌先を這わせながら、いきなり彼のモノを握り締め激しく扱いた…
「送信者 アル」
「怒ってんのは俺のほうだ!酒が入ってるから、こんなことしたって勃たねえよ、離せ!」
「送信者 アブ」
「勃つ勃たないは君の意思とは関係ないんじゃないの?…その事を今から思い知らせてあげる…」身体をずらし、彼を口に含んだ…
「送信者 アル」
「絶対、無理!」身をよじり抵抗する。
「送信者 アブ」
彼の両足を無理矢理押さえ付け、口内の彼にゆっくり舌を絡めた。
「送信者 アル」
「ううぅ…勃たねえ…」
「送信者 アブ」
彼から口を離し乳首を舌全体で舐め回し唇で摘んだり軽く歯を立てたりしながら手のひらで彼自身を包み込むように揉みほぐした。
「送信者 アル」
ううぅ、ヤバイ、下半身が熱くなり、額に汗が浮かんできた。「意地でも勃たねえ!」
「送信者 アブ」
「いつもなら充分君を潤わせてからなんですが、今日はお仕置だし無理矢理、潤っていただこうかな…」私はすでに熱の籠った自分自身にローションを塗り彼の後孔にあて、ゆっくりとねじ込み始めた…
「送信者 アル」
「うあぁ、痛…い」いきなり挿入されると、身体がギシギシと軋む。全身から汗が吹き出し、苦痛に顔を歪める。「お仕置きって…俺が何をしたっていうんだ…元はと言えばあんたが変なこと口走るから…」
「送信者 アブ」
「ったく……君は、ローションつけても……このキツさですか…もっと、力抜かないと君も……苦しいでしょ…」彼に身を沈めたまま手で彼自身をゆっくり、扱き始めた…
「送信者 アル」
「あっ…はっ、あ…やめろ…触んな…」
「送信者 アブ」
「フフ……少し…感じてきた?」空いた手で乳首を捻りながらさらに身を沈めた…
「送信者 アル」
「…感じて…ねえ」目を瞑り唇を噛みしめ、快感に流されないよう耐え続ける。
「送信者 アブ」
「そう……フフ…」彼の苦しげな顔を見ながら腰を動かし始めた…
「送信者 アル」
次第に自分自身が硬く屹立し、熱を帯びてくるのがわかる。悔しくてなんとか気を紛らわせようとするけど意思とは関係なく宮市さんの手の中で反応を示し始めた。「うう、くそぉー」
「送信者 アブ」
「フフン…いくら我慢しても無駄だよ…なんせ、君の身体の事は全て知りつくしてるんだから……無理しないで、いつものカワイイ声聞かせて…」
「送信者 アル」
「あっ、あぁ…うるせ…え…はっ、あぁ…」我慢しようとしても閉じた唇から自然に声が漏れる。
「送信者 アブ」
「ほらっ、ここ。感じるよね、責めてあげるからもっと声聞かせて」一点を集中的に突き上げた。
「送信者 アル」
「はっ、はっ、ダメだ…そこは…」突きあげられ身悶える。
「送信者 アブ」
「なに?……ここが、どうしたの?」執拗に責め立てる…
「送信者 アル」
「ふっ…あ…なんでもねえ…」じっと我慢…
「送信者 アブ」
「保の辛そうな表情……すっごくカワイイ…自分で気付いてた?…その表情見てると、もっと…意地悪したくなってくるんだ…」冷ややかに笑いながら彼自身を激しく扱いた…
「送信者 アル」
「うああぁ…ちくしょー、いつもいつもいいように弄びやがって!絶対イカねえからな!」縛られた手をバタバタさせて暴れた。
「送信者 アブ」
「ふぅ〜ん……実は、この前ネットで面白い物見つけたんですよ…」彼の目の前に女性器型のバイブをチラつかせた…
「送信者 アル」
「あっ、また変なもんを!この変態!」その奇妙な形に俺は焦った。女性器を模したシリコン製のもので、コードが伸びてリモコンにつながっている。ヒダヒダのついた真ん中の穴にどうやらアレを挿れるみたいだ。「道具使うなんて卑怯だぞ!」
「送信者 アブ」
「卑怯で結構!だって君が言ったんじゃない。セクハラ親父って……親父は卑怯なものなんです!フンッ」私はバイブを彼の頬に滑らせながら「コレ、すごく気持ちいいらしいですよ…君みたいなタイプはすぐ昇天するかも……あぁ、君、意地でもイきたくないんだったね……だったらコレ、着けてあげる…」彼の先の窪みにリングをはめた…
「送信者 アル」
「そんなもん着けなくたって、俺はイカねえんだよ!」
「送信者 アブ」
「これはお仕置なんだからね……君がイこうがイくまいが関係ないの!」リングをはめてバイブ内に彼を納める…「じゃあ、せいぜいやせ我慢して下さい…」スイッチを押した…
「送信者 アル」
女性器型バイブの中にズブズブと俺のものを挿入される。温度調節もできるのか、中は温かくて湿っていて、適度な締まりがあった。女の人と経験したことはないけど、こんな感じなのかなと考えてる余裕があったのはそこまでで、スイッチを入れられると「ひっ!」と、変な叫び声をあげた。襞が複雑な動きで絡み付きながら振動するその刺激に俺は悶絶した。「ふあっ、ああ、あぁ、やめろ、やめてくれー」
「送信者 アブ」
「うわっ……す…すごい……一気に締め付けてくる……あぁ…気持ちいい…」私は目を閉じて彼を犯し続けた…
「送信者 アル」
前と後ろ同時に刺激されると、さっきまでのやせ我慢が、どこかに吹き飛んでしまった。「はっ、はっ、あぁ、やめ…変になる…」
「送信者 アブ」
「……なればいいじゃん…我慢の必要なんてどこにあるの?…保の理性…崩すの手伝ってあげる…」彼の敏感な箇所を激しく責め立てた…
「送信者 アル」
「ああぁぁ、イク!」バイブと宮市さんの的確な責めに、俺は、ひとたまりもなかった。ドクンと俺のモノが脈打ち、確かに絶頂を迎えたと思ったのに、きつく締めあげられているせいで、射精できなかった。「苦しい…」額に汗がにじむ。
「送信者 アブ」
「うあぁぁ!…すごい!締め付け方が……いつもと…全然…ちがっ!……あぁ!」彼の中に欲情を吐き出しグッタリと胸に顔をうずめた…
「送信者 アル」
「こ…の野郎…自分だけサッサとイキやがって…俺も…なんとか…しろよ…」バイブに翻弄されながら、必死に訴える。
「送信者 アブ」
「すごい……汗だくだ……シャワー浴びてくるから、その間コレで遊んでなさい…」後孔にバイブをねじ込んだ。
「送信者 アル」
「あっ、こいつ!このまま放って行くなぁ〜!あとでただじゃおかねえぞ!」大声で喚いたけど、宮市さんは、知らん顔して出ていってしまった…。「あ、ああぁ、また…イク!」一人で仰け反ったけど、もちろんイケない。両方をバイブで責め抜かれ、「ああぁ、また…」全身汗だくになりながら、俺は陸に揚げられた魚みたいにピチピチ跳ね回っていた。
「送信者 アブ」
「随分、楽しそうじゃないですか……私も仲間に入れて下さい」シャワーを終えてリビングに戻った…
「送信者 アル」
「うるせぇ、早くなんとかしろ」楽しげに俺の痴態を眺めている宮市さんに毒づいたけど、頭の中が痺れて何も考えられなくなってきた。全身が快感に支配されていく。「はあぁ、ああぁ…もうダメだ…」
「送信者 アブ」
「君……私に抱かれるより、よっぽど感じてるんじゃないの?」お尻のバイブを抜き取ると両足を抱え一気に彼の中に身を沈めた…
「送信者 アル」
「自分ばっか…楽しみやがって…ああ、限界だ…」
「送信者 アブ」
「もう、少し……我慢して…」彼の締め付けを味わっていた…
「送信者 アル」
「あっ、あっ、前も取れよ」
「送信者 アブ」
「そう…ですね…」彼につけたバイブを取り除いた…
「送信者 アル」
「リング…も…だ」
「送信者 アブ」
「そうですね……充分、楽しませてもらったし…そろそろいいでしょう…」リングを外した。
「送信者 アル」
彼がリングを外す間ももどかしく、俺自身が自由になった瞬間、「はあっ、ああぁ!」全身をガクガク震わせ、俺は絶頂を迎えた。
「送信者 アブ」
「……カワイイ…やっぱり君は私だけのものだ……筋肉バカにもガテンにも渡さない…」彼を見つめながら腰を打ち付けた…
「送信者 アル」
「…はあぁぁ…」突き上げられると、まだ硬度を保ち絶頂の余韻の残っている俺のモノから再び快感がほとばしった。「ああぁぁ、また、イク…」
「送信者 アブ」
私は彼の両手を自由にして二人つながったまま抱き起こした「保…愛してる……私から君を奪おうとする奴がいたらそいつを殺してでも君を取り返すから…もう、私からは逃げられないよ…」唇を重ねた…
「送信者 アル」
ボーッとしたまま抱き上げられ、ボーッとしたままキスを受け入れていた。
「送信者 アブ」
「……聞いてる?相澤君?」彼の顔を覗き込んだ…「君……大丈夫?」や…やり過ぎた…かな?
「送信者 アル」
ハッと我に返ると、何も言わず、いきなりボカッと宮市さんを殴り付けた。
「送信者 アブ」
「ふぎゃっ!なぁぁにするんですかぁぁ?」突然の事に彼から私のモノが外れた…
「送信者 アル」
「この自己陶酔男!あんなにメチャクチャやっといて、なに一人で幸福感に浸ってるんだよ〜!」宮市さんを押し退けながら叫んだ。
「送信者 アブ」
「幸福感って……確かに君といるんだから幸せですが……君だってあれだけよがりまくってたんだから幸せいっぱいでしょ?!」
「送信者 アル」
「シレッとした面で、そういうこと言うなぁ〜!俺は、あれだけ今日は疲れてるから嫌だって言ったのに、それを無理矢理!余計に疲れたじゃねえか!」
「送信者 アブ」
「君……そんなに疲れてるの?だったら早く眠らないと……お風呂の用意出来てますから一緒に入りましょう。君も汗ビッショリなんだからシャンプーしてお背中流しましょうね♪」
「送信者 アル」
「疲れてるの?じゃねえ〜!誰のせいで疲れたと思ってんだ!全っ然、反省してねえな!」
「送信者 アブ」
「えっと、今日はこのパジャマがいいですね……と、バスタオルは君のお気に入りの車の柄の……」私はイソイソとお風呂の用意をしはじめた…「君、お背中流さなくていいの?シャンプー、自分でするんですか?」
「送信者 アル」
「風呂の話じゃなくて!」ゼイゼイ肩で息して怒ってる俺がバカみたいだ…。「もういい…風呂入る……」諦めた。
「送信者 アブ」
はぁい、お背中とシャンプーはお任せ下さぁぁい!」
「送信者 アル」
「前は一緒に入るの嫌がってたのにもう平気なんだな…」
「送信者 アブ」
「だって、以前はいくら言っても洗ってやるって聞かなかったから……」彼の背中をゴシゴシしながら話した。
「送信者 アル」
「洗ってやろうか?」
「送信者 アブ」
ビクッ!「さ…先にあがります…」背中ゴシゴシやめた…
「送信者 アル」
「あっ、シャンプーは?」
「送信者 アブ」
「ご自分でどうぞ!」
「送信者 アル」
「お背中とシャンプーはお任せ下さぁぁいって、言ってたじやねえか!ほれっ」俺は宮市さんの前に頭を突き出した。
「送信者 アブ」
「だって……身体洗うなんて意地悪言うから…」ムスッ!
「送信者 アル」
「じゃあ、もう言わねえ」ムスッ!
「送信者 アブ」
「だったら最初っから言わなきゃいいのに!」ムスッ!シャンプーゴシゴシ…
「送信者 アル」
「変なヤツ」ムスッ!
「送信者 アブ」
「イジメっ子!」ムスッ!ゴシゴシ…
「送信者 アル」
「こだわりっ子!」ムスッ
「送信者 アブ」
ムカッ!「シャンプー流しますから目を閉じて鼻で息しないで下さいねっ!ったく…お湯目に入っただの、鼻に入っただのとうるさいんだから…」
「送信者 アル」
「もっと優しくしろよ」頭からザブザブ湯をかける宮市さんに文句を言う。なんとなく険悪な感じの入浴だったけど、洗ってもらったら、さっぱりした。だんだん機嫌も治ってきた。我ながら単純だけど、このくらいじゃないと宮市さんとは付き合えないだろう。
「送信者 アブ」
彼の頭から勢いよくお湯をかけ、泡を流した……濡れた肩や胸がゾクッとする程、色気を漂わせている……一緒に暮らし始めて何年もたつのにダメだ…先程の憎まれ口すら愛しく思えてくる……「……こだわりっ子は…お嫌いですか?」彼の髪をタオルで拭きながら静かに聞いてみる…
「送信者 アル」
神妙な面持ちで尋ねてくる宮市さんに、何を今さらと笑いそうになった。「嫌いなら、ずっと一緒にいないよ」
「送信者 アブ」
「良かった……」彼の言葉に胸をなで下ろす。「あのぉ……か、身体…洗いっことか……そ、その…君が…わ、私の身体を…あの……触ったりとか…そおゆう事…とか……やりたい…の?」オドオド…
「送信者 アル」
「風呂で背中流すくらい、別にいいと思うんだけどな。だけど、俺から触るのは無理だろ?以前、過去がフラッシュバックして大変だったもんな。」髪を拭かれながら宮市さんを見上げた。
「送信者 アブ」
「……すみません…」
「送信者 アル」
「……別に謝るほどのことでもねえけどな…」
「送信者 アブ」
「あの……いいん…ですか?こんな…私……好きで…いてくれてるんですか?」オロオロ…
「送信者 アル」
「もお、さっきから何だよ今さら。こんな私もそんな私も全部知ってるよ、わかってて付き合ってんだろ。強気になったり弱気になったり、忙しいヤツだな」
「送信者 アブ」
「だぁってぇぇぇ……嫌がる事わかってて意地悪言ったりするからぁぁぁ……」ムスッ!
「送信者 アル」
「とにかく、普段はもっと自信もてってことだ。エッチの時は、逆に自信満々すぎるから、もうちょっと謙虚になったほうがいいけどな」パジャマに着替え、髪を拭きながら、リビングに戻る。
「送信者 アブ」
「えっちの時もう少し謙虚にって……私はせっくす関係なしで何事に対しても謙虚ですが……」少しムッときたが私は彼の飾り気のないストレートな優しさも気に入っている……「今夜…一緒に寝ても、いい?」
「送信者 アル」
どこをどうとったら、セックスも謙虚だと言えるのか具体的に説明が欲しいところだが、指摘すると面倒なことになるので黙っていた。「じゃあ、そろそろ寝るか」
「送信者 アブ」
「そうですね♪」彼のベットに潜り込みピッタリ、寄り添った。
「送信者 アル」
俺のベッドに潜り込んでくる宮市さんにスペースを開けてやりながら、今日も散々な一日だったと、ため息をつく。だけど考えようによっては、彼といるとスリリングな毎日を送れるとも言える。とことん前向きに解釈すれば、刺激的で退屈しない日々だ。どうしようもないヤツと呆れながらも離れたくないのは、結局俺のほうかもしれない…そんなことを考えながら眠りについた。
「送信者 アブ」
彼の胸に頬をうずめ、ぼんやりとしていた……鼓動が心地よく響き仕事の疲れなど忘れさせてくれる…彼は私の事を「俺に一番愛されてる男」と言ってくれた。すごく嬉しい言葉なんだけど、魅力的な君の事だ…「一番君を愛してると思ってるバカ」も少なくないと思うよ……その辺のところをもっと自覚していただきたいんだけど、お子ちゃまの君はまったくその気なし……いつまでも、どこまでも私を苛つかせ夢中にさせる君に今日も惨敗の意味を込めて白旗を掲げます……
「俺の現実」 完