監督:チャンチャル・クマール
東京ファンタスティック映画祭前夜祭・アジア映画深夜秘宝館
大変、笑わせていただいた。
そもそも、歌って踊るあのインドのマサラ・ムービー(って誰が言いだしたんだ?)を、名古屋を舞台にやる、というだけで、ワーオ!と叫びたいほどおかしい企画ではないか。
インド映画というのがこの程度なのか、現像のレベルが低くて、画調はばらばら、オプチカル処理は8ミリ映画並み、音も割れっぱなしだし台詞をいうときに音楽が突然下がったりするすごい技術水準だし、ボンベイも日本も外国(高層ビルが林立しているあの場所は香港なのかシンガポールなのか)もごちゃまぜの実景だし、マサラ・ムービーを鑑賞する際は、そういうことは言ってはいけない事なのかもしれない。
主演は、名古屋でインド料理店を営む青年。そんな人物が主演を張れてしまうというのがまずびっくり。しかし、インドのマイケル・ダグラス風で悪くはない。
そのアニル・バクシー扮する超有能な刑事が、親の敵でもある暗黒街のボスを追って名古屋に来る。それまでが結構長い。もちろん、歌姫(可愛い!インド美人はほんとうに素晴らしいが、この映画のヒロイン・アリヤンカもとても可愛い)とも知り合う。
ここで、ミュージカル・シーンが入るのだが、大胆というか大らかというか細かい事を気にしないというか、デタラメというか言語道断というか映画のイロハも判っていないというか、その歌姫とデートなのかと思ったら、途中で突然ヒロインがいなくなり、ヒーロー一人が歌い狂うのだ。これって、困っちゃう。
で、とにかく、ボスは、「ザ・ヤクザ」みたいに指を詰めるが、けっこう脳天気に日本での生活を愉しんでいる(ようにしか見えない)。クラブというかなんというか、そういうところ(しかしテーブルには割り箸やタバスコや安っぽいメニューカードが立っている)でホステスをしつこく口説いてみたり。その上やたらパチンコ屋が好きで、何かというとパチンコ屋から出てきて車に乗り込むのだ。
ヒーロー刑事の方も、捜査の為に名古屋に来たはずなのに、デパートの婦人服売り場を歩いたり住宅街をジョギングしたり明治村に行ったりして、一向に仕事をしているようには見えない。しかし、刑事は、明治村(かどこか)のインド・ダンス・ショーで、歌姫に再会する。
が、歌姫はすぐに東京に行かねばならないと知って、見送りの名古屋駅のプラットフォームから激走して新幹線を追い抜き、東京に先回りして待っていたりするのだ。凄いですねえ。
で、再会の悦びの、ミュージカル・シーンは、名古屋駅前の公園らしい場所で、歌いまくる。見物人がいようか通行車両がいようが、そこが交差点の安全地帯であろうが植え込み(芝が痛むから立ち入り禁止なのだ(^_^;))だろうがデパートの屋上の遊園地であろうが、名鉄ロマンスカーのなかであろうがどこででも、歌いまくる。
このバイタリティは、凄い。
事件の方も、忘れた頃に突然進展したりして、ボンベイで獄死した山田さんの娘というのが突然登場してヒーロー刑事を助けたり、日本のやくざの手下が単細胞なバカ・ライダーで集団で聞き込みをするという甚だしく効率の悪い事をしたり、ボスが多羅尾伴内に匹敵する超変装技術を披露して山田さんに成りすますという驚異的SFXを見せたり、ヒルトンと称する場末のホテルで大アクションがあったりする。
で、ボスの日本での後見人(なのか?)が、自宅で催した「ホーム歌舞伎」(というか、浅香光代のような剣劇)の主役が実は……(ここでフィルムが乱暴に編集されているので、正体が判らず)で、追い詰められたボスは、どこかの駐車場でヒーローを狙撃するが、弾が当たったのは、彼を庇おうとしたヒロイン。
で、お話は唐突に終わる。
もっと日本の誤解が大暴走しているのかと思ったらそうでもないし、もっと目茶に無許可でいろんな場所で撮影を敢行したのかと思ったらそうでもなかった。しかし、そうは言っても、インド映画の無茶で目茶なところには感じいった(^_^;)。異国情緒を盛り上げようと、ド演歌を使ったりしているのだが、そのあまりのド演歌ぶりに、ギャグ以外の意図を感じとれなかったほどだ。