林海象はクセのある監督だと思うので、この映画がまったく面白くなくて、退屈で退屈でしかたがなくても、それは趣味の違いということであって、作品の善し悪しではないのかもしれないが、僕の趣味にはまったく合わない。近年稀に見る駄作だ。心底、時間を損したと悔しかった。
原作がコミックだし、アクション活劇なのだから、リアリティとかなんとかを言うつもりは全くない。一種のファンタジーとして見るべきなんだろう。
しかし、こういう『超現実連続活劇』は、笑いながら見られるほどきっちり作ってほしい。007でもなんでも、荒唐無稽なアクション映画は、よく出来ていればいるほど笑いながら見る事が出来る。『いくらなんだって……』と言う部分が知的ユーモアに転化するのだ。しかし、この映画に関しては、監督のアクション映画に対するセンスの欠如か、エンターテインメント映画への基本的な誤解か、コミックを実写映画化する際のメソッドの誤認があったとしか思えない。
キャッツ・アイの正体がまったくバレないのは、この種のジャンルの御約束であて、それを指摘するのは野暮なのだが、一方で『警視庁国際警察部』(もっと、もっともらしい名前にしてくれよ)の女刑事はその秘密を知っている。じゃあ、あの若い刑事(僕は原作もアニメもファンではないから名前は知らない)が馬鹿ってことになる。それも相当の馬鹿だ。
この女刑事ってのが、さらっと敵陣に忍び込んでるし、『殺人鬼』と対等でがんがんやり合うし、この種のジャンルの映画のオキテ・御約束をことごとく破りまくっているのだ。これはいけません。一方では御約束に従って一方では破るというのは、これをご都合主義という。
アクションシーンの合成の拙さは目を覆うばかり。だから、どんな派手なアクションをしてもシラける。監督の演出力も大いに疑問だ。というか、こんな低レベルの映画にOKを出した製作会社・フジテレビの責任を問いたい。こんなものなら、「シャ乱Qの演歌の花道」は1本立て上映した方がよかった。
僕は稲森いずみのファンだが、演技の下手さだけが目についた。内田有紀も特に魅力的ではないし。林海象は、浜マイク・シリーズをしょぼしょぼ作ってりゃいいんじゃないか。エンターテインメント映画に進出するには決定的に力量不足。もっとエンターテインメント映画を研究してからにしてほしいものだ。