ダンス・ウィズ・ミー

監督:ランダ・ヘインズ

 キューバ人サルサ版「SHALL WE ダンス?」。
 しかし、音楽とダンスが圧倒的なので大満足。
 
 近年の映画は、いかにして定石を上手に利用するかで成功不成功が分かれていると思う。もう、新しい趣向は、ない。ストーリーは出尽くし、新しいジャンルというものはない。あるのは、新しい表現だけ。だから、いかに定石をうまく利用して焼き直すか、定石に新しいアイディアを注ぎ込むか、と言うことではないかと思う。
 
 で、この作品。ストーリーの基本は、「瞼の父」。タイトルバックの『母を亡くしたキューバ青年が、アメリカにいる(たぶん)本当に父親を頼って行こうとする』部分が、短いのに、重い。たるい。もっとコンパクトに出来る。こういう『御約束』の部分は短ければ短いほどいい。「ペルディータ」の監督なら2・3カットでやってしまうんじゃないか。
 とはいえ、偏見だと承知で言うけれど『内気で誠実なラテンアメリカ人』というのを映画の中で初めて見た感じだ。
 その彼の人柄がいいので、映画は気持ちよく進行して行く。
 ヴァネッサ・ウィリアムズ。美人ですね。スタイルもいいし踊りもうまい。こんなにうまいとは。
 
 父親らしい男が経営するダンススタジオから数チームが今度の選手権に出場しようとしている事、父親は今やもうダンスに情熱を持っていない事、ヴァネッサが魅力的なこと、彼女には別れた男と愛児がいること、そのヴァネッサと彼は急速に親しくなる事、が描かれて行く。
 まあ、この映画は、そういうお話の部分はどうでもいい感じがする。キモは、ダンスだ。
 
 この映画を観ていると、ラテンアメリカ人が羨ましくなってくる。人生、愉しいだろうなあと思う。ワシも踊れたらなあと思う。
 音楽もいい。とにかくこのダンスナンバーが素晴らしいのは、振り付けだけの成果ではない。撮り方がうまいのだ。昔のミュージカル映画のようにワンカット長回しではない。どんどん細かくカットを割っていく。群舞、特にパートナーがどんどん変わっていくシーンをこんなにカットを割って撮るのはたいへんだ。
 
 映画はハピーエンド。
 この作品のサントラ、欲しくなった。サルサの魅力を描ききったということで、この作品は大成功したのだ。