ステップ・イントゥ・リキッド
監督:デイナ・ブラウン
これはもう感動するしかないでしょう。圧倒的に美しい朝日を見たり、壮大な滝を見たり、紺碧の海を見たり、というような、大自然に対峙した時に感じる原始的な感動だ。
恐ろしく巨大な波に、ちっぽけな人間が板一枚で挑み、見事に滑り降りる。この光景を見て感動しない方がおかしい。湘南でちんまりした波を相手にサーフィンするのとワケが違うのだ。
のっけの圧倒的な光景に、息を呑んで、涙が出た。こんなこと、しなくても誰も困らないのだが、高い山に登ればみんなスゴイと尊敬して歴史上の偉人になるのに、どうしてそれに匹敵する波に乗る事に成功してもみんなスゴイと言わないのだろう。いや、その波の恐ろしさを知るモノは素直に感動してそのサーファーを尊敬するのだが。
その一方で、ウィスコンシンの湖に立つ僅かな波でサーフィンする微笑ましい光景も出てくる。これを見たら、湘南はもう、波があるだけゼイタク、と言う気分になってくる。
タンカーの航跡を使ってサーフィンする連中、北アイルランドとアイルランドの子供たちに一緒にサーフィンを教えるサーファー。アイルランドの景色はまるでサーフィンに似合わないのだが、波と戯れて屈託ない笑顔を見せる子供たちが感動的だ。
ベトナムでサーフィンを教えたり、カリフォルニア沖に1年に1回だけ立つウルトラ巨大な波に乗ったり。
オレはサーフィンから見れば子供の遊びのようなへなちょこボディボーダーだが、だからこそ、彼らの凄さが判る。全部は判らないにしても、どれほどスゴイか、その一端は判る。
サーファーに悪党はいない、とは言わない。しかし、あのアドレナリンの味を憶えてしまうと夢中になってしまうのは判る。
いろんなサーファーの姿を描いたドキュメンタリーだが、とにかく、素晴らしい波の素晴らしさを描くためには手間と努力と金を惜しまない姿勢は『本物』だ。
この映画で初めて見たショットは、ウルトラ巨大な波を空撮で上から見たもの。巨大怪獣のような波が重低音を響かせながら岸を襲うように突進していく。良く見れば、その波肌を滑り降りて行く人間がいるではないか! それは豆粒にしか見えない。簡単に捻り潰されるだろうと思える対比だ。
頭上を通過する波とか、巨大なチューブをすり抜けてきたサーファーとかの画像は他でも見られるが、この空撮は初めてだ。
こういうのを見ると、湘南に引っ越して、ロングボードをやりたい、と熱く強く、思うんだよなあ。