スナッチ

監督:ガイ・リッチー

 クサいキャスティングにめまぐるしいカッティング。全編お遊び感覚に溢れていて、こういう映画を作るのは愉しいだろうと思うし、普通の映画を見飽きた人には快感だろうと思う。
 たしかに、この人を食ったような展開とタッチは面白いし、病みつきになりそうな予感もあるが……僕には約2時間はキツかった。疲れちゃうのだ。観る側に体力を要求するというか、CM的ビデオ・クリップ的な感覚な2時間というのは、シンドイ。途中で感覚が麻痺して、寝てしまったほどだ。
 まあこれは観る側の問題であって、映画の問題ではないのだろう。
 
 出てくる役者がみんなクセがあって、これは愉しい。あまり知られていない人が多いが、遠視のメガネをかけた八百長素手ボクシングのボスとか、武器密売のボリスとか、魅力的な悪党がわんさか出てくる。僕はとくに「ボリス」役の役者に惚れましたな。あの目つきが実にセクシー。
 それに、ベネチオ・デル・トロ。アカデミー賞を取ってアメリカでは人気沸騰らしいが、確かにこの人もアクがあって、いい。それがかなり早い段階で殺されちゃうのだから、この映画は普通ではない。
 
 ブラピは、金儲けとかメジャーなスターになるとか、そういう通俗な事よりも刺激的な仕事がしたい人なんだろう。「ファイト・クラブ」の延長のようで、もっと人を食った役柄を嬉々としてやっている。この映画は、出てくる人間全員が、妙な役を嬉々としてやっているという一種のドライブ感が映画を高揚させていると思うが、役者に惚れられると監督としては得だなあ、と思う。この映画の予算規模じゃ、ブラピに相応のギャラを払えないだろうから。
 
 カットがめまぐるしくて疲れる、と書いたけれど、それが快感になるのも事実。アメリカにいるボスがコンコルドに乗ってロンドンに駆けつける、という表現を、「電話を受けるボス」「カメラの上を跨いでいくコンコルド」「機内で酒を飲むボス」「ヒースローを歩くボス」「で?と現場に着いて話を続けるボス」という風に一気呵成に見せてしまうツナギは、気持ちがいい。まあ、こういうカッティングをしたら、全編こういう調子にしないと合わないよね。
 
 古典的な「お宝の奪い合い」というプロットを、ここまで解体して、映画でしか表現できない(企画段階で文字で読んだら理解出来たかどうか)形で作ったのはすごい、と思う。しかしまあ、僕の守備範囲ではないような気もする。なんせ、部分部分の感覚はすごいと思うけれど、2時間見せられるとクタクタになってしまうのだから。