ペルー共和国:人権擁護活動家に対する公的指定

 
 

AMR 46/005/2008 2008年5月15日

 
 

 ペルーの人権擁護団体である人権推進協会(Aprodeh)と創立者フランシスコ・ソベロンは、彼らをテロリズム擁護者であると公然と非難しているペルー共和国の上層機関から、反政府勢力分子の指定を受ける標的とされている。これら指定は、Aprodehが欧州議会に送付したある手紙の中で、欧州議会のテロ組織リストにトゥパク・アマル革命運動(MRTA)を含めることについて意見を表明したことに対して与えられた。Aprodehは、MRTAは8年間活動していないのだから、テロリストに含めるのはMRTAの存在を過大視するだろうと表明した。

 
 

2008年4月24日欧州議会は、トゥパク・アマル革命運動(MRTA)を欧州連合のテロ組織リストに含めることを否決した。この決定に先立ち、また欧州議会の何名かの要望に応えて、Aprodehは4月22日に(欧州議会に)一通の手紙を送った。手紙の中でAprodehは、内戦時代(1980〜2000年)のセンデロ・ルミノソやMRTAによって犯されたものも含め、全てのテロ行為に反対する立場を表明していた。とはいうものの、その手紙は“ここ8年間というものMRTAの活動は知られていない”ことから、MRTAをテロリストに含めることは“MRTAのような一組織の存在と活動を過大視し、社会活動家や政治的に対立する者たちを不条理にもテロ犯罪で訴えるといった迫害につながるおそれがある”懸念があることを表明していた。

Aprodehの手紙は、欧州議会が4月24日にテロ組織リストにMRTAを含めない決定をした際の要因として、ペルー共和国議会と政府代表者の幾名かによって翻訳されたと見られている。

この手紙の結果、Aprodehのメンバーとりわけ代表のフランシスコ・ソベロンは、政府の上層機関や国の他の機関から公然と言葉による攻撃を受けている。例えば、ペルー共和国のアラン・ガルシア大統領は、Aprodehのメンバーは「国家の裏切り者」であると言い、ペルーの他の代表者たちもAprodehのメンバーが「テロリズムを擁護」している云々と非難しているとの声明を伝えた。新聞の報道によると、欧州議会がとった決定についてペルー議会で行われた討論の中で、ある国会議員は“あの手紙は、人権の非政府組織はテロリストを擁護し、国に死をもたらすテロ組織と戦う軍隊を侮辱するということの表明だ”と語った。

これらの非難と平行して、アムネスティ・インターナショナルが受け取った報告によると、ペルー当局はAprodehをテロリズムと関係があるおそれがあるとして告発するつもりであることを公言しているという。例えば、4月25日にはペルー議会の議員たちは、AprodehがMRTAと関わりがあるか否か、またAprodehの活動がMRTAから資金供与されているかどうかについて調査するための特別委員会設置を要求した。この委員会は、最終的に議会で十分な支持を得ることなく、設置されていない。同日、ペルー国際協力庁(APCI)(*1)は、Aprodehに資金源及び寄付金の使途がわかる活動計画について情報提供するように求めたと見られている。報告によると、APCIの長官は公然とAprodehを調査するであろうと発表した際に、Aprodehはその年間活動計画のどの部分がMRTAの介在をゆるしているかについて説明しなければならないと語った。APCIが非政府組織に対し、そのような情報を要求し会計監査を実施するという権利を持っているということ、また公然と用いられる非難の語調やそのような調査を開始すると決定した時期が不安をもたらしている。

同時期の4月27日、ペルー政府は全国人権コーディネーター(64の非政府組織からなる連合で、Aprodehも加盟している)が全国人権審議会で持っているオブザーバーの地位を取り消すという政令を発した。この審議会は、米州人権委員会や米州人権裁判所と同様に、人権に関する政府の政策を指揮し、国に対する人権侵害の訴えのフォローアップを国際機関の前に調整するという権利を命令として持っている。この決定は、Aprodehだけではなくコーディネーターの加盟団体すべてに影響し、非政府組織が人権に関する政府の政策を知り、関与し、影響を与える可能性を減じるもので、人権擁護活動家が国内で公共の問題の職務に関与し参加する権利を認めている、世界的に認知された人権と基本的自由の促進と擁護を目的とする、個人や集団、あるいは組織の権利と責任に関する宣言(人権擁護活動家に関する宣言)の条項に違反するものである。(*2)

ペルー政府の公務員や公的機関によるこのような宣言や行為は、対立組織への寛容の欠如を示し、人権擁護活動家の合法的活動を損ね、対立者への攻撃や脅迫の余地を与えるものである。さらに、このような行為はAprodehの活動に害を及ぼすだけでなく、当局に対立すると解釈される批判や訴えや意見となりうる場合には、その意見を表明する他の擁護家に対する反感といった風潮をつくりだすおそれがある。

Aprodehは1983年、ペルー内戦の時代に増大した人権侵害に対して設立された。人権擁護と推進の起源となるその長い活動の間、Aprodehは、内戦時代にセンデロ・ルミノソやMRTAと同様にペルー政府によっても犯された深刻な虐待を告発してきた。近年では、アルベルト・フジモリ元大統領の裁判において重要な役割を果たした。フジモリ政権下で犯されたとみられる人権侵害の被害者を代理していたことから、Aprodehのメンバーは2007年12月18日に電話で死の脅迫を受けた。脅迫は特に、被害者を代理する弁護士の一人グロリア・カノ・レグアに向けられた。(*3)

人権擁護活動家に関する宣言は、人権擁護活動家の活動にとって基本となる自由や特定の活動といった権利を考慮に入れている。その中には、全ての基本的人権や自由について情報を知り、要求し、獲得し、受け取る権利、人権侵害に対する平和的活動に参加する権利、人権に関する第三者の意見や情報や知識を自由に発表し、広める権利、政府が人権の基準を満たさない場合に批判や苦情を申し立て、改善案を提示する権利等が含まれている。宣言は、人権を擁護する権利を擁護するという国際社会によって結ばれた取り決めの表れであると同時に、この権利は制限も報復への恐れもなく行使されうるという余地を保障するものである。

人権の保護、尊重及び保障は、この権利の享受にとって障害となるものを取り除くために、ペルー共和国が市民社会の批判や提言を受け入れるか否かにかかっている。

補足説明

人権擁護活動家は我々の時代の必要不可欠な要素である。市民的、政治的、社会的、文化的及び経済的権利をめぐる戦いの前に、人権擁護活動家は少なくとも、はなはだしく攻撃や脅迫にさらされたり、人権を養護するものは犯罪者やテロリストと等しいものだというイメージを与える目的を持っている対立者の中傷キャンペーンの対象となったりしている。

ラテンアメリカでアムネスティは、広範囲にわたる権利を推進し擁護するために働いている人権擁護活動家に対する攻撃や脅迫を記録してきた。また、人権擁護活動の制限を目的とする法律の公布や威信を傷つけるキャンペーン、人権侵害を訴えるものに対立する意図を持った司法手続き、人権擁護活動家の活動を非合法化する目的をもつ措置等を通じて、表現や結社の自由が制限され侵害されていると見られる事例を記録してきた。

*1  当該命令に関する詳細情報は以下参照: http://www.apci.gob.pe/principal.php
*2  世界的に認知された人権と基本的自由の促進と擁護を目的とする、個人や集団、あるいは組織の権利と責任に関する宣言は、1998年12月9日に国連総会で採択された。以下参照:
 http://www.unhchr.ch/huridocda/huridoca.nsf/(Symbol)/A.RES.53.144.Sp?OpenDocument
*3  詳細はアムネスティ、ペルー共和国:身体の安全への懸念、グロリア・カノ・レグア, 人権擁護弁護士および人権擁護団体APRODEH(人権推進協会)職員(AMR46/001/2008)を参照。

 
 

今行動を!

ペルー当局に手紙を書いてください。
・ 人権擁護活動家は社会の重要な部分であり、人権擁護は人権擁護活動家が報復へのおそれなくその合法的活動を実現することができることによっていることを指摘する。
・ 公務員や国の機関による人権擁護団体Aprodehに対する公的な宣言に対して、その宣言が対立する立場への寛容の欠如を示し、Aprodehの合法的活動を損ね、対立者からの脅迫や攻撃の可能性といった危険にさらされること等への憂慮を表明する。
・ ペルー当局に、人権擁護活動家の活動の合法性を問題視する公の宣言をすることをやめ、人権擁護活動家及びその活動を尊重し擁護するとの約束を公に再確認することを要求する。そうすることによってのみ、人権分野におけるペルーの義務の達成を表明できる。
・ ペルー政府に、人権擁護活動家に関する宣言及び米州機構の決議の中で確立されている原則の適用を保障するために、人権擁護活動家と協力して、全国的な(人権)擁護計画を含む計画と政策の構想を練るよう求める。

 

送付先:

(アラン・ガルシア大統領)
Presidente Alan García Pérez
Presidente de la República de Perú
Palacio de Gobierno
Plaza Mayor S/N
Lima 1, Peru
Fax: 51 1 311 3913
書き出し:Excmo. Sr. Presidente García,

(国会議長)
Presidente del Congreso
Sra. Mercedes Cabanillas Bustamente
Plaza Bolívar s/n
Lima 1, Peru
Fax: 51 1 311 7703
書き出し:Sra. Presidenta,

(法務大臣)
Ministra de Justicia
Dra. Rosario Fernández Figueroa
Ministra de Justicia
Ministerio de Justicia
Scipión Llona N 350
Miraflores
Lima,Peru
Fax: 51 1 422 3577
書き出し: Sra. Ministra,

アピール例文

(書き出し)

Quiero manifestar que defensoras y defensores de derechos humanos son una parte fundamental de la sociedad y que la ptotección de los derechos humanos depende de que estos defensores y defensoras puedan llevar a cabo su trabajo legítimo sin temor a represalias.

Expreso mi preocupación muy grave por los pronunciamientos públicos hechos por funsionarios públicos e instituciones del Estado contra la organización de derechos humanos Aprodeh, que demuestran una falta de tolerancia a posiciones contrarias, minan el trabajo legítimo de esta organización y los pone en riesgo de posibles amenazas y ataques en su contra.

Les solicito a las autoridades a que se abstengan a hacer pronunciamientos públicos que cuestionan la legitimidad del trabajo de defensores y defensoras de derechos humanos y que reafirmen públicamente su compromiso de respetar y proteger a defensores y defensoras de derechos humanos y a su trabajo. Sólo así demostrarán el cumplimiento de sus obligaciones internacionales en materia de derechos humanos.

Le pido al gobierno de Perú que, en colaboración con defensores y defensoras de derechos humanos, elabore políticas y planes, incluidos planes de protección nacionales, para garantizar la aplicación de los principios establecidos en la Declaración sobre los Defensores de Derechos Humanos y en las resoluciones de la Organización de Estado Americanos.

Atentamente,

         
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