aine's Dream Night at the Opera

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歌劇『死の都』
(全3幕・上演時間:約2時間20分)

最終更新日:2006年10月22日

あらすじCDリスト

 ローデンバックの『死都ブリュージュ』のオペラ化。もうかなり前のことになりますが、樹音とベルギーを訪れたとき、この本に描かれているブリュージュが、現代でもそのまま残っていることに、深い感動を覚えました。運河沿いの道、ゆっくりと進むボート、高く低く鳴り響くカリヨン、石造りの橋の緩やかなアーチ・・・影を落とす木々さえもが、すべて前世紀末そのままに残っているのではないか・・・と。

作 曲: エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
原 作: ジョルジュ・ローデンバック『死都ブリュージュ』
台 本: エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(ドイツ語)
初 演: 1920年・ハンブルク・ハンブルク歌劇場&ケルン・ケルン歌劇場(同時初演)
登場人物: パウル(T)/マリエッタ&マリー(S)/フランク(Br)/ビルギッタ(Ms)/フリッツ(Br)

あらすじ

 19世紀末、ブリュージュ。

 ひっそりと忘れられようなベルギーの街ブリュージュで、パウルは、若くして亡くなった妻マリーの思い出に浸りながら生きていた。彼は、家の中に、マリーの思い出の部屋を作り、彼女の遺品や写真、見事な肖像画などを飾り、それを眺めてはマリーの死を悼みつづけているのだ。中でも大事にしているのは、マリーの遺髪。美しい金色に輝くそれは、思い出の品々の中でも特別なもので、ガラスのケースにしまいこまれ、つやつやとした光沢を放っていた。

 友人のフランクがブリュージュにやってきた。フランクは、パウルの様子を一目見るなり、おかしいことに気づく。パウルは、街でマリーにそっくりの美しい女性と出会い、興奮を隠せないのだった。パウルは、その女性を家に招待するという考えを捨てられなくなっている。彼女をマリーの部屋に連れてきて、死が再び甦るのを見たいと思っているのだ。家政婦のブリギッタもとても心配している。

 ある日、マリーそっくりの女性−彼女はリールからやってきた踊り子でマリエッタという名だった−が、パウルの家を訪ねてくる。マリエッタは、リュートを弾きながら歌う・・・「死んでゆくまことの恋人の歌」・・・それは、パウルにとってとても意味のある歌だ。やがて、マリエッタは踊り始め、パウルは高まってゆく興奮を押さえきれなくなり、とうとう彼女の誘惑に屈してしまうが、マリエッタはそんなパウルを押しのける。と、マリーの肖像画を覆っていた布が絡まり、落ちてしまう。肖像画を見たマリエッタは驚いて叫ぶ。「まあ、これ、私じゃない。」しかし、マリエッタは、リハーサルの時間が近づいたので帰ってしまう。残されたパウルは、亡き妻マリーへの愛と、マリエッタへの欲望との間で苦しむのだった。そして、パウルの良心とも言うべきマリーの亡霊を見る・・・パウルが、ずっとマリーに忠節を守ってきたと訴え、彼女の髪がこの家を守ってくれると語りかけると、マリーの亡霊はすぅっと肖像画の中へ消えてゆく・・・「あなたは、生きることに囚われすぎているわ」という言葉を残して。亡霊が消え去ったあとに、パウルは、今度はマリエッタの幻を見るのだった。

 夜も更けた頃、パウルは、マリエッタが住む家のある寂しい川岸を訪れる。彼にとっては聴罪師であるブリュージュの鐘のぼんやりとした輪郭を眺めながら、心の奥深くに潜んでいる欲望と亡き妻への変わらぬ愛情との間で揺れ動く自分自身の心をもてあまし、罪の意識にさいなまれていることを告白する・・・亡くなった妻の魂を追い求めながら、生きている女のからだを求めてしまう自分自身の中の葛藤に苦しんでいることを・・・

 パウルを心配していた家政婦のビルギッタは、今は沈黙を守るベギン会の修道女になった。ビルギッタは、パウルがマリーへの忠誠を破ったと知ってしまったのだ。マリエッタの家に誰か見知らぬ人影が・・・! 瞳を凝らしたパウルは、それが、友人のフランクだと知る・・・フランクもまた、マリエッタの怪しい魅力の虜になってしまったのだ。パウルは、フランクからマリエッタの家の鍵を奪い取る。フランクは叫ぶ・・・私たちはもう、友人じゃない!

 マリエッタとその一座の人々が乗った船が、川を下ってきた。彼らは陽気に騒いでいる。パウルは物陰に潜み、その陽気な音だけを、耳を澄ませて聞いている・・・マリエッタが言い出して、彼らは「悪魔のロベール」のリハーサルを始める。死者のマリエッタは、棺に見立てたベンチから起き上がり、誘惑のダンスを踊り始める・・・聖なる死者の復活を馬鹿にされたと感じたパウルは、たまらなくなって飛び出してゆく。「君が生き返った女だなんてはずがない!」。人々を帰らせて、パウルと二人きりになるマリエッタ。パウルは、マリエッタの中に、亡くなった妻の面影を見て、その面影を愛したのだと口にする・・・侮辱され、傷ついたマリエッタは、本気でパウルを誘惑し始める・・・二人はそのまま、パウルの家へ行き、とうとう一夜を共にする。

 翌朝、目覚めたパウルが見たのは、マリーの肖像画の前に勝ち誇ったように立っているマリエッタの姿。聖人の祝日の行列を、その部屋の窓から見たいというマリエッタ。彼らは、絵巻物のような行列を見物していたが、司教が登場して、黄金の聖櫃を手にすると、パウルは敬虔に跪き、そんな彼をマリエッタは馬鹿にしたように眺める・・・再び、内なる良心との闘いが、パウルの中に甦ってくる・・・マリエッタの悪魔のようないざない・・・拒んでも拒んでも、それは、彼の外からも中からも、同じような力で湧き上がってくる。

 マリエッタは、マリーの髪を見つけ、自ら首に巻きつける。その姿で踊り始めたマリエッタを、パウルは怒りに震えながら見ていた・・・と、やにわにマリエッタを引き倒すと、首を絞めはじめる・・・パウルの手の中で、マリエッタは、マリーの髪を首に巻きつけ、死んでゆく。パウルの回りを闇が覆い・・・徐々に明るくなってゆくと、パウルは目を覚ます。ガラスケースの中にはマリーの遺髪が相変わらず輝いている。ブリギッタが入ってきた。「先ほどのご婦人がまた・・・」マリエッタは、置き忘れた傘とバラの花を取りに戻ってきたのだ。出てゆくマリエッタは玄関でフランクとすれ違う。パウルはつぶやく・・・「あれは、奇跡、だったのか・・・?」パウルを苦しめる現実と幻想・・・どちらも苦い思い出しかないが、それでも、現実が勝ったほうが良い。幻想から覚めたパウルは、ブリュージュを離れようと決心する。ブリュージュ、妻と過ごした、死の街・・・「私たちは、この地上では二度と会うことはできないのだ。死者の復活はありえない・・・!」

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☆ CD & LD List ☆ がついているCDがお薦め! 3つが最高です。★印はDVDです。

★『Die Tote Stadt』
 ARTHAUS(100 343)
 演奏はOrchestre Philharmonique de Strasbourg&Chorus of the Opera National de Rhin、指揮はJan Latham-Koenig。
 ストーリーと音楽が現す象徴的なものがとても素敵に演出されていてよかった。ブリュージュのイメージを壊されるのが怖かったのだけれど・・・音楽だけを聴くよりも断然良い。

『歌劇「死の都」Op.12(全曲) Die Tote Stadt』 
 BMG(BVCC-37095/96)
 演奏はミュンヘン放送管弦楽団&バイエルン放送合唱団、テルツ少年合唱団、指揮はエーリヒ・ラインスドルフ。
 タイトルから受ける印象とは裏腹に、現代的な音楽。やはり・・・と言うべきかも知れませんが、こういう音楽にはちょっと馴染めません。ただ、ピエロ、フリッツ役のヘルマン・プライがとてもよかった。第2幕で歌われる「ピエロの歌」は最高。

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