|
20世紀の終わりにもの凄いバンドが誕生した。まずはそのメンバーが巡り会い、一緒に音楽を作っていくこと、それがなにより嬉しい。『波動』、『金の泥』ともそれぞれの波があり、楽しさ、淋しさ、切なさ、悲しみ、いろいろな感情がいっぱいに詰まっている。
僕の感じるところでは、『波動』はベンジー色がかなり出ていると思う。とは言ってもBJC時代の時の様な色ではない。今までの彼の音は自身の心の中にあるものと、彼のそれを排出したいという願いから形成されたものであったように思われるが、今回のこのAJICOで聴かせてくれるベンジーの音は外からの感情の流入を妨げることをしない音。そんな色がとてもきれいに描かれている曲だと思う。
一方の『金の泥』はUA色が強い。裏打ちを続けるベンジーのカッティングにのせて唄う彼女の歌。普通、裏打ちは聴く人を高揚させるような効果があるように思われるが、逆に淋しさを感じさせるこの不思議さは、一体何処からやってくるものなのだろう。それがこの曲の全てだと感じたのは僕だけだろうか。
この2曲に感情をいっぱいに詰め込んだのは、ベンジー、UAだけではない。その2人を包み込むかの様な強さを持つリズム隊のTOKIEと椎野。『波動』での2人の力は大きい。ベースとドラムが入ってからの4人の躍動感は素晴らしく、また最初のセッションが元になっているというアウトロではどの時の緊張感が失われることなくよく出ていると感じる。
このAJICOという名のヨットが音の海、僕等オーディエンスの海、メンバー自身の海で漂い続け、その様々な海を行く時の音をもっと感じたいものだ。(あつし)
|