支援費制度が今年2003年にスタートして、東京都では患者当事者や家族が自前の事業所をいくつか作った。自分の家にヘルパーを派遣するために、である。JILなどでは、もうずいぶん前から自前の事業所をいくつも持っていて、自治体からヘルパー派遣の委託をとったりしていたのだが、そこに加わるALSもそろそろ出てきている。
さて、ご存知のとおり、ALSの多くは中年以降に発病するため、介護保険と支援費制度と両方使える場合が多い。だから支援費だけでなく介護保険の事業申請も同時に出しておくと自前事業所で両方の制度をやり繰りすることができて便利だ。我が家の場合も、同時に、両方の申請出して、どういうわけか、支援費制度より書類が多い介護保険が先に受理された。介護保険の担当者の理解と協力あってこそ、である。こういう、あたたかい血の流れている職員もいるのだと知った。さてしかし、介護保険の事業者というのは同じ地域に山ほどあるので、老人天国激戦地区中野では、たとえ難病患者でもヘルパーを派遣してくれる。だから、うちに難病患者発生、派遣頼みますのSOSが来た時点でも既にどこぞの介護保険業者がその家庭に入っているのだ。だったら、そこが支援費制度の日常生活支援でもヘルパーを派遣して欲しいと私は思うのだが、単価が身体介護の半分くらいにしかならない日常生活支援では、商売でやっている事業者はヘルパーを置いてってくれない。支援費の身体介護は介護保険と同額の単価だし、そっちでならヘルパーを置いていくくせに。
つまり、うちはそういった事業者が捨てたおくような日常生活支援という枠を埋めるべく働いているから、2倍働いておんなじ稼ぎってことで、めちゃくちゃ効率が悪い仕事をしているのかもしれない。っていうか、そういうことだ。さて、一番儲かる身体介護のケアは1時間から2時間だから、それくらいのちょびっとしかヘルパーは滞在してくれないので、ご家族にしたって落ち着いて患者をお願いする気にもなれない。しかも、そういう事業者に限ってめったに吸引をしないので、アホらしくなってもう介護保険など使わんと断わったヒトも多いのではないだろうか?
難病患者に限らず高齢者にしても、介護保険の身体介護なんていうものは事業者サイドにいいように出来ているワケです。大手など身体介護は一時間こっきりと決めているとこもあり。これが一番儲かるのですが、ヘルパーはたいしたこともできない。だから、身体介護といえども、寝たきりのお年寄りのオムツの交換のためだけに作られたような保険制度になってしまっている。おむつ交換だけで4000円も使ってしまうわけです。とはいっても実は、滞在時間が長くなれば単価はどんどん安くなるように出来ているので、長時間介護の必要な患者家族にとったら、良心的にケアを組んでくれるケアマネと事業者が必要なんだけど、そんなことしてたら儲からないので、フツウの事業者は常識的にそのようなことはしません。だから私は現行の介護保険制度で、コレをどうにかしないことには、たとえどんなに障害者が不自由なカラダを酷使して厚生労働省の前で叫んだりハンストしたりしても、結局は日本中がだんだんダメになっていくだろうと予言する。やっぱ世間が社会的弱者の目をもって、彼らっていうかウチラ?に同調してこないことには世の中は変わらないのだ。
しかし、健康もお金も思いきり消費できてる年代のヒトには、こういう生活がわからないこともあって、あっと思ったらもう遅いってことになる。だから、せめて気がついている人たちの声に耳を傾けて、そうなの?くらいは考えてみたっていいと思うのだけど。
さて、そんな介護保険と比べたら、支援費制度はまだまし。もしかしたらよい制度になれる可能性がある。まず、自己負担が小額に抑えられているここは大事。介護保険は最重度だったら35万もかかっているので、自己負担もその1割払わねばならない。しかし、支援費制度は何時間使っても、ほとんど自己負担が生じない。身体介護や移動介護でなく日常生活支援だったら、まず家族にも負担がかからないことになっている。お金をどんどん使ってあっという間に貧乏になってしまう難病家族には、経済的な理由で介護保険を使わない人もけっこういる。だから、タダほどうれしいことはないのだ。それなのに、とある自治体の窓口に支援費制度の申請をしにいったら「なんでももらえるものはもらおうなどとかんがえるのはよくないよ」などと言われて悔し涙でもどってきた人もいて、協会の中でもS区の評判はすこぶる悪くなっている。はっきり言おう。同情するなら金をくれだ。私はこの台詞が当時大好きで母の介護をしながらよく呟いていたものだった。さて、ココは捨て台詞調のページになりつつありますが、吸引問題などで金欠の訴えまで手間がまわらず遠のいてしまったけど、病人はもちろんのこと、介護する家族も働けないので、家の蓄えはどんどんなくなっていく。働かなければお金が稼げない。そういうこちらの事情にまで、世間はもっと想像力をたくましくして欲しい。リストラされて騒いでる場合ではない。その上にカラダまで動かなくなってしまって家族まで身動き取れなくなる悲惨さだ。社会には、その人の責任ではないのにとんてもない目にあっているヒトが確実にいて、そういう人の生きる権利を支えていくべき保障制度が、実はみみっちく出来ている。もし、本当に「配分」する気でいるのならもっと気前よくやるべきです。もらうほうも遠慮などいらない。障害とか難病とかを意思に反して担わされている、これは本人のせいではないのだ。そして神様に文句言いつつも生きていかねばならないのだから、人類に担保してもらおうじゃないか。だ。
だからこそ、介護保険は使いたくないので、支援費を先に使えるようにして欲しいのだ。と、元に戻す。
なのに、お国はうまくしたもので、介護保険優先のルールがあって、介護保険を半分はホームヘルプで使わねばならず、そして後の半分も入浴やレンタルなんかで全部使い切って初めて支援費が使えるのだから、最低でも最重度の要介護5の場合、3.5万円支払いの義務が生じる。
その3.5万円が支払えないばかりに介護保険も支援費も使えないお宅があって、お父さんは奥さんの介護でどんどん疲労してくるし、奥さんを時々ほったらかしでお父さんが時々外出しまうので、ああ、危ない。呼吸器が外れたら一貫のおしまいなのだから。で、どうしたらその家族を救済できるかみんなで考えたのだ。
その時のSWがなかなか優秀な人で、支援費制度から先に使える方策を見つけてきた。つまり、介護保険と業務内容が重ならない独自のサービスであるのなら、先に支援費を使ってよいという解釈が実はあって、そこに日常生活支援を当てはめて区の支援費制度担当者会議で了承を得させたのだ。お父さんの奥さん置き去り説も危機感を煽ったかもしれないが、ともあれ、見守りっていう項目は介護保険になかったので、そういう名目やらお宅の経済的な事情やらを考慮して、一日8時間の支援費制度の日常生活支援をゲットしたのだ。
すべてのケースでうまくいく方法とは言えないけど、介護保険にないサービスであれば、支援費制度を先に使ってもよいというような書き方で、どこかに書いてあったはず。厚生労働省のHPのどこかにファイルであるはずである。ちょっと探してみよう。
日常生活支援は事業者には嫌われるサービスなんだけどね。もともと前身は全身性介護人派遣制度っていう障害者よりの優等生制度なので頼りになる。制度ってよくできているものだけど、どっかに必ず抜け道があるので、解釈の仕方をみんなで相談してみることだ。そのみんなの中に行政側の人が入っててくれたら百人力である。このカンファレンスのSWは本当に偉かった。二重丸。
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