「ALS患者の生きる力を支えるための事前指示書

研究協力者 川口 有美子 NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事

研究要旨

当事者の視点からALS患者のための事前指示書の在り方を検討し、考慮したい点についてまとめてみました。

 

1、ALSの事前指示書 研究の前提

近年、告知後や入院時に事前指示書の記入を勧められるケースがあるようです。しかし、事前指示書の在り方に疑問をもち、記載を勧めた医師や関係者に対して、患者家族が不信感を抱いてしまうケースも報告されています。ALSの事前指示書は、わが国においては馴染みがなく普及し始めたところで、その形式や取り扱いは病院や医師ごとに自由に決められています。しかし、患者の中には遺言書との混同もみられ、また明らかに本人にとって不利な形式のものでも気がつかずに作成に同意してしまう実態も見受けられます。
そこで本論は患者当事者の生きる力をささえることを主眼に、事前指示書の在り方について提案をいたします。
 
2、本論の目的
本論では、2006年5月の現時点でALS患者が置かれている身体的、心理的、社会的な状況から、実際に使用されている事前指示書や、事前指示に関する研究とその在り方を検討し、患者の視点からの評価を試みました。
 
3、事前指示書の作成にあたって認識すべきこと
@ 社会的背景
全国的に、ALS患者は自分にあった療養スタイルを選択したくても自由に選べない状況があります。たとえば、障害者施策による在宅介護給付は東京では24時間/日給付が実現している自治体もありますが、地方によっては0時間/日のところもあります。しかし在宅療養が進んでいる都内では長期入院できる施設がなく、レスパイトも困難なので、在宅療養ができなければ、家族から遠く離れて遠隔地の病院に長期入院するしかありません。
このように、同じ日本でも発症した地域における社会資源が患者や家族の望む療養スタイルにあっていなければ、人工呼吸器の装着も困難になってしまいます。ALS患者の意思決定を左右するこのような社会的現実を踏まえれば、事前指示書の作成は、実は療養環境の確保が困難なために、家族に対する遠慮や義務感、死の決意表明として書かれる場合も十分にありえると言えます。ですから、作成を勧める医師や研究者は、患者の家族関係や生活条件のみならず、ALSをめぐる社会保障の実態を必ず考慮し、療養生活を支えるに足りなければその社会に対して改善を要求しなければなりません。そうでなければ、事前指示書は患者のQOLを高めるどころか、無念の死に追いやるための念書になってしまうのです。
A 歴史的・文化的背景
事前指示書作成の前提として、その国の家族観や文化的価値観などを考慮し尊重することも重要です。日本ではおよそ3割の患者がTPPVを選び、そのうちの多くの者が自宅で家族とともに暮らし、高いQOLを保ち続けています。その結果、日本では最重度のALS患者でもその尊厳は認られ、最重度の障害者と制度上位置づけているので、障害福祉給付の対象にもなっています。また、各種の難病政策により行政的にALSの生きる権利を支えてきた歴史があり、世界的にも評価できるものです。このような歴史的文化的背景にも考慮して、日本独自の事前指示の在り方を考える必要があります。
B 対話性・同時性
事前指示書作成の背景には、適切なインフォームド・コンセント、すなわち医師と患者間における対話性と同時性が必要です。しかし、一般的な事前指示書の役割や他国の事前指示書の様式には、将来の治療の不開始や停止をあらかじめ患者が指示するためのものが多く、対話性と同時性は保障されていません。しかし、長期にわたりインフォームド・コンセントを補完する意味あいにおいて用いられるALSの事前指示書では、遠い将来に対する選択を急いだり、無理にさせてはなりません。
以上に述べたことから、事前指示書の作成に際して、必要最低限認識しておくべきことをまとめると次のようになります。
@ 年金等による所得保障や医療介護制度などの社会保障に依存せざるをえない個別の患者の生活実態を  考慮して、作成が治療拒否の宣言や強制につながらならないようにする。
A 日本独自に発展してきたALS医療や生活実態に配慮している。
B インフォームド・コンセントを補助・補完している。
C 近未来の事象にたいしてのみ作成し用いる。
D 必要最小限の指示に限定して用いる。
4、次に、実際に使用されている事前指示書の様式や研究事例を検討していきます。
 
4-1、誘導的になりがちな事前指示書
病院や医師が必要な情報や契約を求めるために、事前指示書を作成しようとすれば、以下のように誘導的なものになります。
@     治療拒否のためのリビングウィル
実際の病院で使用されている事前指示書に、治療を拒否するためのリビングウィル(例えば尊厳死の宣誓書)と混同しているものがある。[1] 
A     優生的・機能主義的なもの
用意された事前指示書に「過剰な医療」「徒な」「無駄な」「延命」「予後」などの文言が見受けられるもの。医学的根拠がなく、主観的で機能主義的、優生的なもの。
B     絶望を招くもの
事前指示書にあらかじめ記載されている文章に従って、発症してまだ間がない患者に最終的な病態までを一度に見せてしまうことがある。絶望を招き一切の治療拒否を促してしまう恐れがあるもの。[2]
C     患者以外の者のためのもの
その作成方法や使用方法が本人の便宜や機能の喪失を考慮せず、病院や医師、家族にとって都合がいいもの。
D     書き換え困難なもの
その書き換えに、麻痺のある患者には困難な自書や捺印を義務づけるもの。
E     教育的なもの
使用方法について詳細な記載があり、その内容が教育的であったり指導的であったりするもの。
F     対話を阻止するもの
患者の得たい情報と、医療側が得たい情報には齟齬が生じることが多いが、その橋渡しをするのではなくかえって、対話が成り立たなくなり、記載を難しくしてしまうもの。
 
 
4-2、再検討を要する事前指示書の研究
事前指示書の在り方を調査していくうちに、再検討を要すると思われる研究をいくつか見つけました。
 
@       短期作成
ある学会で、病名告知から1週間以内に事前指示書を書かせているという事例報告がありました。告知とそれに続くインフォームド・コンセントの過程には、相当の月日を要し、患者の理解を見計らいながら慎重におこなわれるべきでしょう。そのような事前指示書作成の背景には、度々仕事を休んで、患者を診察に連れてくることができないという家族側からの要請があったといいます。しかし、家族の都合を優先させると、患者本人に早々と自己決定を迫ることになりかねません。呼吸器の装着は命にかかわる選択でもあり、事前指示書の作成前にこそ、十分に時間をかけてそのメリットとデメリットを説明し、利用者にも実際に合わせるなど具体的なイメージを患者に持たせることと、記入を開始するタイミングを計ることはICの重要なポイントです。また、療養をめぐっては利害対立者になりかねない家族がいつも患者の真意を正確に汲み取っているとは限りません。患者の真意を発見してそれを擁護することが医療専門職の役割と考えます。
A その結果の「死」を評価しない
その事前指示書を利用した結果、本人が死を自己決定した、あるいは文章の記載どおりに亡くなったことを評価するような事例研究がいくつか見られました。人の「死」を評価する研究は理解しかねます。(→事前指示書の評価参照)
B     「治療停止」のための事前指示書
本人の意思さえあれば、死に至らせる目的で人工呼吸器(TPPV)を取り外せるという事例検討は受け入れがたいものです。「治療の停止」を検討する前に、「治療の開始」が保障されていない社会的背景を先に解決する必要があります。患者は家族に遠慮して、呼吸器装着の決断にはなかなか至ることができません。また、いったん呼吸器を開始しても試練は続き、感情の起伏も見受けられるので、どのような患者や家族にも潜在的に常に療養の継続が困難であるという状況があります。呼吸器を外せるようになれば、そんな患者を支えている家族やケアワーカーの志気に影響がでます。特にケアの難しい患者では、ケアを担当する側から、患者のQOLを高める努力を諦めかねません。また、人工呼吸器の停止は、医師の倫理観や患者の福祉にどのように影響を及ぼすのか、海外の先行事例や社会制度の変遷を参考に社会科学的分析が必要です。  
 以上のように、患者の生を支えるために、先に解決すべき課題(新薬の開発、長期入院先の確保や在宅介護保障の充実、家族の所得保障、意思伝達装置の開発、ALSのスタンダードケアの確立、対応できるヘルパーの養成と配置、etc.)や研究は山積しています。 治療中断のための研究や報告は、現在ぎりぎりの介護状況の中でTPPVを行っている本人や家族、医師の動揺を招きかねず、控えるべきであろうと思われます。
また、今まさに呼吸器(TPPV)の選択を迷っている患者への心理的影響を考慮すれば、外せることも必要だろうという意見もあります。しかし、外せることが前提で呼吸器が開始できるほどの充実した社会保障がない現況では、かなりの確率で呼吸器を着けてしばらくしたら外すという状況が一般化するであろうと考えられます。海外の文献を参照すると、家族の転勤や生きる目的の有無等が理由で、患者から呼吸器が外されており、そのような理由がすでにALSの常識としてまかり通っています。しかし、それが果たして本当に患者の自己決定によると言えるのか否かを批判的に研究する必要があります。
C     意思決定の強制
病気の進行が特に早い患者は、ケアも日増しに困難になるので、早めに呼吸器の使用について決めないと、救命で呼吸器が着いてしまうと言われます。しかし、医師は患者に対して意思決定を急がせたり、事前指示書の作成期限を設定したりしないことが大切です。事前指示書の強制になりえるからです。
D 複写・配布・保管
事前指示書をコピーして関係機関への配布、設置し保管することには、注意すべき点をいくつも挙げることができます。
* 患者家族のプライバシーは保護できるのか。
* 原本以外の事前指示書のコピーが、本人の手元にあるものと同様の内容であることを、どのように保障するのか。複数のコピーの同時性と整合性をどのように担保するのか。
* 記載の前にコピーの保管場所や配布先の選定方法を明確にし、本人の同意を得ているか。
* コピーの複写の禁止をどのように保障するのか。管理が困難ではないか。
* 一斉に書き換えが必要となる場合にかかる経費について考慮しているか。手続きに手間がかかると、患者が望んでも、医師や家族によって書き換えが拒まれることも考えられる。 など。
 
4-3、医師と患者のコミュニケーション
呼吸器に関する説明には技術[3]を要します。たとえば、以下のような説明、
「一度付けたら外せない。」(自己決定)
「法律に反するので着けたら二度と外してあげら
れない」(責任回避)
「自分が決めた(決める)こと。」(自己責任)
「呼吸器を一度つけても外せるのなら、試しに付
けてみることができるのに」(推定)[4] 
これらは重要な説明かもしれませんが、生命尊重の視点から、内容を豊かに膨らませて救いを持たせることと、文脈と言葉を注意深く選ぶ配慮が求められています。ペシミズムに陥った医師が、不幸な側面ばかりを強調して上記の文言を述べるのでは、患者は見放されたような気持ちになります。しかし、自己決定が難しいという点において共感を示すだけでも、医師と患者のコミュニケーションは向上すると言われます。
また、治療選択の結果は自己責任には値いしません。患者はALSが好きで発症したわけではなく、また、療養を支えることが困難とわかっていても呼吸器を勧めた家族に対しても同様です。医師や看護師等からよく言われる言葉ですが、「自己選択の結果だから将来起こりうる不利益の責任を後で他者に転嫁してはならない」という説明は、当事者には大変に不当に聞こえるものです。
ALSの治療ガイドラインに従えば、医師は中立的な立場から敢えて主観を入れずに、説明をすることになりますが、人工呼吸器に頼る長期療養に対して、残念なことに多くの医療専門職が悲観的に捉えている傾向があります。
しかし、自宅では患者は別の顔をもち、障害がどんなに進もうとも、社会や家族の一員としての役割と責任を全うしようとしています。(生活モデル)医師の中立的な説明はともすれば、本人家族からは、医療側からみたALSの病態像(医療モデル)に終始しがちなため、患者を人格を有する一個人で幅のある人生を送ってきた人間と看做していないように聞こえる場合があり、医師に対する不信につながることがあるようです。
 
4-4、医師の裁量について
事前指示書の記載がたとえ患者主導であっても、医師の裁量として残される部分はたくさんあります。
@       定期的な書き換えの勧めや承諾
A       障害福祉制度における医師の所見
所見の内容により障害区分が認定され給付額も違ってくるので、介護負担の軽減に寄与できる。
B 意思決定能力の判定
口唇の麻痺のため本人の言葉が聞き取り難い場合、聞き取り手が恣意的に解釈してしまうことがあります。また、呼吸不全が始まっている状態を意思混濁時と見做し、患者には理性的な判断ができないから、あるいはまた本能的に救助を求めてしまう確率が高いから、土壇場で意思を覆されても家族が困るので、最終的な意思確認をしないという医師もいます。[5] 
C 医療代理人
事前指示書を補完するために代理人を指定しても、その人が義務を果たせないことも考えられます。家族は利害関係者でもあるため、家族以外の者も医療代理人に認めるなどの検討も必要でしょう。しかし、家族はまず医師に意見を聞く傾向があり、家族の同意というよりも、医師の判断に従う傾向があります。
D     正確さ・医療的根拠に欠ける説明
医療処置の説明を、専門用語を用いないで易しく行ったために、かえって正確さに欠け、主観的になる場合があります。(脳死判定もせずに、「脳死」という、また、予後を適当に設定する、など)
E     呼吸器を装着しないケース
終末期ケア導入のタイミングには基準がありません。意思変更を呼吸筋麻痺のぎりぎりまで待つか、本人は苦しむがその場合はどうするのか、などの判断に悩む医師の現実があります。しかし早すぎるオピオイドの使用等も考えられ、消極的な安楽死との境界があいまいです。[6]また、医師が本人や家族に終末期ケアを急かされることもあり、安楽死の要請になりかねません。
F     DNRの指示
TPPV開始後の終末期の定義も不明です。例えば、呼吸器を外さなくてもDNRを事前指示の項目に入れるのかなどが不明です。
G     重度コミュニケーション障害
すべての患者に発現する症状ではないので、最初からどの患者に対しても説明をする必要があるのでしょうか。絶望を招く恐れがあるともいいます。しかし、どうしても必要なケースでは、医師が生命尊重の倫理観に基づいて、きちんと説明すれば、患者は事前から心構えをして明るく対処できるケースもあります。
機能低下したALSには、生きる価値がないと思っている医師にALSの隠喩のように利用されている側面がありますが、大変に恐ろしい症状のように説明されれば、患者は不安になり呼吸器を選べません。そのような、重度の患者の生を無駄な延命や悲惨な状態と断定する意見は、一面的な判断に基づいており、その時点で患者の尊厳をおとしめているといえます。
在宅療養で重度コミュニケーション障害にも対処できている家族の助言が、同じ問題を抱える家族にとって有効な場合もありますので、ピアサポートとの連携が重要です。
H 不本意に呼吸器がついてしまった時
「外せないから我慢するしかない」という消極的な説明では、まったく力になりません。このような局面でこそ、周囲の者には明るい人生観が求められます。専門職は率先して前向きな意見やアイデアを出し合い、患者や家族の心身を癒すスピリチュアルケアや、ナラティブの変換を促す働きかけを、行わなければならないケースです。また、経済的支援は必ず力になるので、社会制度に熟知したMSWの活躍は不可欠です。
 
5、事前指示書の評価  
以下のような事前指示書の作成を有効と評価します。
@ 3、で述べたような認識をもって作られ、以下に挙げる最低限のルールを遵守している。
* 作成においては、本人が主体である。
* 作成には義務がないことと、法的に執行力がないことが明示されている。
* 書き換えに特別な費用や手間がかからない。
* 場所と時間を選ばず本人が、たとえ麻痺が強くあっても、主体的に書き換えることができ、口頭でも、いつでも廃棄できる。
A     本人や家族のナラティブの書き換えを促している。chaos narratives→the narrative surrender→quest story[7]
B     シンプルで利便性がある。
C     本人が治療の意味をよく理解して、満足できる選択結果が反映されている。
D     医師との信頼関係が深まり、心身の落ち着きを取り戻した結果、QOLが高まっている。
E     本人と家族のコミュニケーションがよくなっている。
F     療養の準備が障害の進行に間に合いタイミングよく進められる。
G 患者の自律性や実行性を待つ姿勢がある。
 
6、当事者および支援団体の役割
事前指示書作成に平行して社会的条件を改善し、より良い選択を促すためのピアサポートはALS本人と家族からの提案です。
@ 多面的な相談と支援
支援者は患者家族に具体的な療養方法につい
て、学ぶ機会を創るなどの啓発事業を通して
医師と本人、家族のコミュニケーションを支え
ること。 支援者に患者家族から事前指示書に
関する苦情が寄せられた場合は、同時に医療サ
イドの聞き取りもおこない公平な視点から総
合的な解決方法を探ること。
G     前向きな選択を可能とする環境整備
患者自身には改善不可能な状況も、より積極的な選択ができるように整える支援をすること。(ケアプランの提案、ヘルパー紹介、自治体との給付量増額交渉など)
H     問題ケースの対応
家族ではなく患者のアドボカシーとして、検討会や各相談機関、学会などで報告すること。また、当事者からみて評価できる事前指示書やその方法があれば、利用を勧め、広めること。
C       医療と連携したピアサポート
多職種の連携とピアサポートを診療過程に組み入れること。
D 自らも地域に働きかけ、療養環境の改善を要求できるように患者による患者のエンパワメント、家族による家族のエンパワメントを促進すること。
E 患者からの提案
「人生に絶望している本人に対し、自己決定の事前指示を求めれば、恐らく90%の人は呼吸器装着を拒否すると思われます。そこでピアサポートで、具体的に本人宅を訪問してその日常生活振りや介護の実際を見聞したり、本人家族のHPから情報を収集し、学習した上で自己決定ができるようにして欲しいのです。」(越川[2005]) 

◇ 参考文献(順不同)
1)Simmons Z, Bremer BA, Robbins RA, Walsh SM,Fischer S. “Quality of life in ALS depends on factors other than strength and physical function” Neurology. 2000;55:
2)Albert Murphy PL, Del Bene ML, Rowland LP. “Prospective study of palliative care in ALS: choice, timing, outcomes.”J Neurol Sci. 1999;169:108?13.
3)JennyM.Young,CarolynL.Marshall,ElizabethJ.Anderson”AmyotrophicLateralSclerosisPatients’PerspectivesonUseofMechanicalVentilation ”Health&Social Work/Volume 19,Nov.1993,253-260.
4)Edward A:“Decision -Making in the respiratory care of Amyothophic Lateral Sclerosis -Should home mechanical ventilation be used ?”,Palliative Medicine 7 Suppl 2:49-64 ,1993
5)Mark JR ,Robert M.W:“Should patients with neuromuscular disease be denied the choice of the treatment of mechanical ventilation?,”Chest 119(3):683-684,2001
6)Oliver D, Borasio GD, Walsh D (editors).” Palliative Care in Amyotrophic Lateral Sclerosis (Motor Neurone Disease).”Oxford: Oxford UniversityPress 2000.
7)Benditt JO, Smith TS, Tonelli MR. “Empowering the individual with ALS at the end of life: disease-specific advance care planning.” Muscle Nerve. 2001;24:1706?9.
8)Ganzini L, Block S. “Physician-assisted death: a last resort? “N Engl J Med. 2002;346:1663?5.

9)Veldink JH, Wokke JH, van der Wal G, Vianney de Jong JM, van den Berg LH. “Euthanasia and physician assisted suicide among patients with amyotrophic lateral sclerosis in the Netherlands.” N Engl J Med.2002;346:1638?44.
10)Silverstein MD, Stocking CB, Antel JP. “Amyotrophic lateral sclerosis and life-sustaining therapy: patients’ desires for information, participation in decision making, and lifesustaining therapy.” Mayo Clin Proc. 1991;66:906?13.
11)Oliver D. “The quality of care and symptom control: the effects on the terminal phase of ALS/MND.” J Neurol Sci.1996;139(Suppl 1): S134?6.
12)Emanuel EJ, Fairclough DL, Slutsman J, Emanuel LL.”Understanding economic and other burdens of terminal illness: the experience of patients and their caregivers.” Ann Intern Med. 2000;132:451?9.Robert S. Olick, Rihito Kimura, Jan T.
13)Kielstein,Hideaki Hayashi, Marc Riedl and Mark Siegler,”Advance Care Planning and the ALS Patients:ACross-Cultural Perspective on Advance Directives  Jahrbuch fur Recht und
14)Ethik Annual Review of Law and Ethics, Band 4”, Duncker & Humblot / Berlin, 1996, pp. 529-552. 
15)M.Konagaya,Y.Kawaguchi,H,Hayashi “Research on communication with Amyotrophic Lateral Sclerosis (ALS) Patients in a Totally locked−in state: Interviews with caregivers,Poster session at 16th International Symposium on ALS/MND,2005
16)BrasioGD,Weltermann B,Voltz R,Reichmann H,Zierz S.”Attitudes towards patients care at the end of life. A survey of directors of neurological departments”Nervenarzt,2004Dec;75(12):1187-93
17)Y.Kawaguchi,  "The Catcher on the WEB --Find an ALS Patient's Story through the internet--" Arthur W. Frank, Narrative Selves in a World of Stories 2005, 学術フロンティア推進事業プロジェクト研究シリーズNO.14、立命館大学人間科学研究所
18)Peter Singer, “Rethinking life & death : thecollapse of our traditional ethics”, New York : St.Martin's Press, 1994.,Oxford ; Tokyo : Oxford University Press, 1995、邦訳:『生と死の倫理』(樫則章訳)昭和堂,1997
19)Arthur W. Frank ,“The Wounded Storyteller : Body, Illness, and Ethics “,1995 邦訳:『傷ついた物語の語り手』(鈴木智之訳)みゆる出版,2002
20)Arthur Kleinman,”The Illness Narratives. Suffering, Medicine, and Psychiatry”, Berkley / Los Angeles / London: University of California Press, 1988. 邦訳:『病いの語り―慢性の病いをめぐる臨床人類学』(江口重幸・五木田紳・上野豪志訳)誠信書房、2004(第1刷1996)
21)Robert F.Murphy, THE BODY SILENT,1987  邦訳:『ボディ・サイレント―病いと障害の人類学』(辻信一訳)新宿書房、1997
22)浅井篤他 2004「「重症疾患の診療倫理指針」に関する提言書」重症疾患の診療倫理指針ワーキング・グループ(代表:浅井篤)
23)石田 玄2004「本人さんの意思決定を支える一員として」『難病と在宅ケア』VOL.10,NO.11;13-16
24)今井 尚志1997「III−2 筋萎縮性側策硬化症(ALS)のインフォームド・コンセント」(追加討論),厚生省「特定疾患に関するQOL研究」班主催公開シンポジウム、「ALS本人さんへの告知から在宅ケアシステムへ」,『難病と在宅ケア』1998、04-07(1998-10):08-09
25)──―「ALSを受容して強く生きる」,『訪問看護と介護』5-7:558-561
26)伊藤博明2005「在宅療養が困難なとき 病院にできること、求められていること」『難病と在宅ケア』VOL.10,NO.12、日本プランニングセンター
27)後藤玲子2002『正義の経済哲学:ロールズとセン』東洋経済新報社
28)清水哲郎 1997『医療現場に望む哲学』勁草書房
29)―――2000『医療現場に臨む哲学U』ことばに与る私たち、勁草書房
30)―――2005「医療現場における意思決定のプロセス―生死に関わる方針選択をめぐって――」『思想』2005-08、岩波書店
31)―――2005『生命と人生の倫理』,放送大学教育振興
32)立岩真也 2004『ALS 不動の身体と息する機械』医学書院       
33)―――2004「より苦痛な生/苦痛な生/安楽な死」『現代思想』32−14、青土社
34)―――2005「他者を思う自然で私の一存の死」『思想』2005-08;岩波書店
35)―――2006「他者を思う自然で私の一存の死・2」『思想』2006-01,岩波書店
36)中島 孝 2004「神経難病(特にALS)医療とQOL」『ターミナルケア』14:182−189,三輪書店
37)―――2004「神経難病とQOL」『神経内科の最新医療』先端医療技術研究所
38)―――2005「難病の生活の質(QOL)研究で学んだこと―課題と今後の展望―」『JALSA』64
39)―――2005「生をささえる共通基盤をもとめて−QOLの価値観は健康時から重症時へとどんどん変化していく」『難病と在宅ケア』VOL.10,NO.12:7-12,
40)西澤正豊2004「人工呼吸器の中止を巡って」『難病と在宅ケア』VOL.10,NO.11:27-31
41)―――2005「尊厳死と自己決定権」渡辺春樹2005「ALS(筋萎縮症側策硬化症)本人と尊厳死」『難病と在宅ケア』VOL.11,NO.5
42)井形昭弘2005「主治医の鬼手佛心には立法が不可欠」『難病と在宅ケア』VOL.11,NO.5
43)照川貞喜2005「意思の疎通が出来なくなったら」『難病と在宅ケア』VOL.11,NO.5
44)橋本 操2005「ALS本人の尊厳と人権」『難病と在宅ケア』VOL.11,NO.5
45)林 秀明2005「ALS本人の生命(いのち)をどのように考えるか」『難病と在宅ケア』VOL.11,NO.5
46)宮坂道夫2004「ALS医療についての倫理的試行」『医学哲学倫理』22、50−68
47)―――2005『医療倫理学の方法 - 原則・手順・ナラティブ』医学書院
48)「終末期医療をめぐる法的諸問題について」2003『国民医療年鑑平成15年度版−医療の質と安全確保をめざして』日本医師会医事法関係検討委員会

日本医師会第V次生命倫理懇談会報告1992「末期医療に臨む医師の在り方」についての報告」

49)日本学術会議1994「死と医療特別委員会報告―尊厳死について」19940625
50)日本尊厳死協会2004「ワークショップ報告書〜尊厳死運動の課題を考える〜」
51)三浦寿男2003「C委員会の2年間を振り返って」NO.21. p5,北里大学医学部倫理委員会ニュース


*厚生労働省科学研究費補助金、難治性疾患克服研究業「特定疾患のアウトカム研究:QOL、介護負担、経済評価」班平成14年度総括・分担研究報告書(主任研究者 福原俊一)
52)・正野泰周、成田有吾、浅井篤2004「意思決定とQOLに関する研究」
53)・萱間真美、大西美紀、大生定義2004「筋萎縮性側索硬化症本人の介護負担に関する質的研究」厚生労働省精神・神経疾患研究委託費「政策医療ネットワークを基盤にした神経疾患の総合的研究」班、平成15年度総括・分担研究報告書(主任研究者 湯浅龍彦)
54)伊藤博明他、国立病院機構箱根病院、「ALS本人の心理的サポート―自己決定過程において―」
55)塩屋敬一他、国立病院機構宮崎東病院「筋萎縮性側索硬化症(ALS) のための文書によるインフォームドコンセント改善の試み」


*厚生労働省科学研究費補助金、難治性疾患克服研究事業「特定疾患の生活の質(Quality of Life ,QOL)の向上に資するケアの在り方に関する研究」班、平成15年度総括・分担研究報告書(主任研究者 中島孝)
56)・難波玲子「在宅での終末期ケア―条件と課題」演題番号9
57)・西澤正豊「人工呼吸器の中止を巡る一考察」演題番号10
58)・荻野美恵子「緊急時の対処方法カード」(事前指示書)導入後の評価」演題番号12
    「神経難病理解に向けて医学部教育におけるとりくみ」演題番号22
59)・伊藤道哉「筋萎縮性側索硬化症等神経難病本人のQOL向上に資する終末期臨床倫理指針の検討課題」演題番号13
60)聖隷浜松病院「筋萎縮性側索硬化症の意思を尊重した予後を送るための事前意思決定確認書の作成と有用性の検討」2005、日本難病看護学会抄録p53
61)服部俊子2004「アドバンス・ディレクティブの倫理問題」日本医学哲学・倫理学会『医学哲学 医学倫理』第22号
62)赤林朗、甲斐一郎ら1997「アドバンス・ディレクティブ(事前指示)に関する医師の意識調査」『日本医事新報』
63)―――1997「アドバンス・ディレクティブ(事前指示)の日本社会における適用可能性―一般健常人に対するアンケート調査からの考察―、第8回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム 尊厳死とDNR『生命倫理』VOL.7NO.1
64)小長谷百絵2005「ALS(筋萎縮性側索硬化症)のTLS(totally locked in state)にある本人との意思疎通に関する研究―介護者へのインタビューから」2005年度勇美記念財団報告書
65)川口有美子2004「人工呼吸器の人間的な利用」『現代思想』32-14(2004-11):057-077、青土社
66)―――2005「在宅療養のナラティブにもとづいた人工呼吸器の選択」日本保健医療社会学会報告集
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68)―――2006「ALSの緩和ケアへの思い」『緩和ケア』第16巻2号:163、青海社


注:

[1]説明に「尊厳死」という言葉を使い、「尊厳死」の文脈において使用されているもの。

[2]難解な医療専門用語の羅列の中から選択を迫るものがある。すべての医療処置を一度に説明すれば本人家族を恐怖に陥らせることになりかねない。

[4] 社会に十分なリソースがない現状では、呼吸器を外せるようになっても抜本的な解決にはあたらない。家族も含めたケア提供者の苦境を見ている本人は暗に自己犠牲を強いられ、呼吸器を外す決意をうながされることも考えられる。本人は家族や社会への貢献を死によって達成しようとすることがある。このような理由による決断も、本人の自己決定と認めるのかを社会が問われることになるだろう。むしろ、呼吸器を外さないで済む療養環境と、重篤なコミュニケーション障害にも十分満足に対処できる技術や緩和ケア理論を確立することがALSにとっての喫緊の課題である。ALSの長寿を「過剰な」「徒な」「無駄な」「延命」などと呼ばず、機能主義に陥らずにその尊厳を評価する社会の到来が、治療拒否の議論を開始する前提にあり絶対条件である。「社会保障・福祉の目的は、「福祉的自由(福祉の達成可能な範囲)」の実質的な保障にあり、形式的な「選択の自由」にあるわけではない。」(後藤)

[5] 「死が差し迫っている場合、再確認を行うか」再確認する24施設(82.8%)、しない4施設(13.8%)、家族のみに再確認する1施設(3.4%)難波玲子ら「筋萎縮性側索硬化症の緩和ケア―国立療養所神経内科協議会のアンケートから―」平成11年度QOL班会議プログラム抄録集p43

[6] ドイツの神経内科医長411人に対する調査に回答を寄せた152人中、32%は呼吸緩和のための投薬を違法と考え、45%はモルヒネの使用は安楽死と同様と信じている。患者の4%しか事前指示書を完成しないが、88%の医師は事前指示書を有効と答え、回答者のおよそ3分の1が患者による安楽死や自殺幇助の要求に直面している。(Brasio GD,et al,Nervenarzt,2004Dec;75(12):1187-93)

[7] Arthur W. Frank ,1995 The Wounded Storyteller : Body, Illness, and Ethics ,=2002


「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 特定疾患の生活の質(QOL)の向上をめざす研究」班より研修費をいただいてまとめたものです。
◇ 謝辞「事前指示書の在り方に関するワーキンググループ準備会」で学ぶ機会を与えてくださった中島孝先生をはじめとする先生方に心より御礼を申しあげます。